メキシコ、バハ・カリフォルニア州メヒカリのクリニックで今月6日、停電が発生した。産科の分娩室では妊婦の帝王切開が始まる直前だったが、医師は手術を強行し、生まれた男児の耳を切り落としそうになっていたことが明らかになった。『Reporte Indigo』などが伝えた。

バハ・カリフォルニア州に住むカーラ・ユリザンディさん(Karla Urizandi、19)は6日午前11時頃、予定されていた帝王切開の手術を受けるため同州メヒカリにあるクリニック「Mexicali International Specialties Clinic」を訪れた。

ところがカーラさんが分娩室に入って8分後に停電が発生、発電機が作動しなかったにもかかわらず、医師はすでに麻酔下にあったカーラさんの手術を開始した。

カーラさんは「分娩には産科医であるデイヴィッドサントヨ医師(Dr. David Santoyo)と婦人科医師、他にもう1人の医師が立ち会いました。突然の停電で辺りが真っ暗になり、私は恐怖で怯えていました。医師には『死にたくないから、どうか手術はしないで!』とお願いしましたが、彼らは3つの携帯電話のライトを腹部に当てて手術を始めたのです」と語り、このように続けた。

「そして数分後、赤ちゃんの泣き声が聞こえたのです。私は医師が赤ちゃんをすぐに私の胸に置いてくれるものとばかり思っていましたが、そんな気配はなく『私の赤ちゃんは?』と聞いてみたのです。」

カーラさんは医師やスタッフから何も知らされないまま待たされ、しばらくしてやってきた夫に「誕生した息子フアン・アドリエル・ソリス君(Juan Adriel Solis)に何が起きたのか」を説明され愕然とした。

実はサントヨ医師が携帯電話の光だけでフアン君の血管腫(赤あざ)を切除する手術を行い、左耳をもう少しで切り落とすところだったという。停電の時間は約26分だったが、同医師は電気が復旧するのを待たずにフアン君にメスを入れ、手術後は夫妻にこう言ったそうだ。

「血管腫を切除したことであなたたちは手術代を節約できた。耳を切ったのは私ではなくスタッフのミスだった。」

なお当時の様子を撮影した動画には、携帯電話を持って光を当てるスタッフや、耳を切られ血を流しているフアン君の姿が見て取れる。フアン君は医師にブランケットの上に乗せられているが、身をよじらせて泣いており、まるで激痛に耐えているかのようである。

親子はすでに退院しているものの、カーラさんの祖母ソニアマルティネスアンドレードさん(Sonia Martnez Andrade)は「サントヨ医師はひ孫の耳を切り落としそうになったのにもかかわらず、何もせずにその場を去ったのです。耳の傷を縫ったのは別の医師で、フアンはその後、頭部が腫れ上がり、別の病院で治療や検査を受けたのです」と憤りを隠せない。

この事故を受け9日、夫妻はクリニックと医師に対し医療過誤で訴えを起こしているが、病院側からのコメントはないという。

ちなみに昨年6月には米コロラド州の病院で、緊急帝王切開で誕生した女児が手術時のメスにより顔に13針を縫う傷を負った。傷は左頬に横一直線に入っており、家族は医師の説明に「納得がいかない」と激怒していた。

画像は『Ara Urizandi 2022年6月18日付TikTok「Mi chiquito, te amo tanto, todo lo que haga siempre sera pensando en ti」』『Reporte Indigo 2022年6月16日付「Realizan cesárea sin luz en Mexicali y cortan oreja de recién nacido; familia denuncia negligencia」』『Aline Corpus 2022年6月16日付Twitter「Con leve luz de celulares,」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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