日向坂46の“太陽”渡邉美穂の卒業セレモニーが28日、東京国際フォーラムホールAで開催された。


4月3日に自身のブログで卒業を発表、二期生初めての卒業メンバーが渡邉となったことで、おひさま(ファンの総称)やメンバーを驚かせ、「早すぎる」という声が一斉に高まったが、「先輩方や同期よりも早く卒業することを皆さんは何か不安に思うかもしれませんが、ちゃんと前向きな卒業です!」 と、文面からも渡邉の笑顔で報告している姿が浮かんだ。あれからまもなく3ヶ月、まだまだ卒業を惜しむ声が聞こえるが、彼女は最後のステージに向かい、日向坂46のかけがえのない仲間たちと舞台に立った。


影ナレは、渡邉、松田好花、富田鈴花のごりごりドーナッツが担当、いきなり松田が読むパートを渡邉が読み始め「あ!読んじゃった!」という声までばっちり。そこは松田がさすがのフォローで事なきを得、最後まで名ユニットぶりをみせた。最後は3人での「ミホワタナベのラストライブ始まりまーす!」のコールで会場は一気にヒートアップ。「overture」が流れると、ステージ中央の階段を降りる渡邉。メンバーの輪の中に入り、1曲目はいきなり『ハッピーオーラ』。弾けるような笑顔でメンバーが舞い踊る。


最初のMCでは「まだ(卒業の)実感が沸かない」という渡邉に対し、佐々木美玲はドラマ『青春っ!』の現場で「美穂は来ただけで空気が変わる。頑張ろうって思う」と振り返り、「だからいなくなると不安なの」と寂しそう。さらに「リハでまりいちゃん(森本茉莉)が号泣してた」と打ち明ける。宮田愛萌はオーディションの待ち時間での思い出を語り、キャプテン佐々木久美は「卒業セレモニーというものが初めてで嬉しいし、これが22人最後なんだって噛み締められるのは幸せ」と笑顔を見せた。


VTRでの思い出話しに続いて、加藤史帆+渡邉+上村ひなののユニット「リスペクトスリー」による楽曲 『やさしさが邪魔をする』を久々披露。さらに埼玉トリオ丹生明里金村美玖+渡邉によるユニット「カラーチャート」の楽曲『あくびLetter』、時折アイコンタクトして思い出を噛みしめるように歌った。金村+富田+松田が話す、二期生加入当時の懐かしいVTRのあと、けやき坂46時代に発表された二期生曲『半分の記憶』、続いて日向坂46デビュー曲『キュン』に収録された二期生が歌う、メジャーテンポながら切ないナンバー『沈黙が愛なら』が披露され、佐々木久美+齊藤京子+高本彩花の1期生トリオのVTRでは、渡邉の演技力の高さを絶賛し、その流れで日向坂46初の主演ドラマ『DASADA』の主題歌でファンの間では名曲として名高い 『青春の馬』を力強くパフォーマンスした。


丹生明里河田陽菜MCによる企画コーナー「ミホワタナベクイズ」では、2期生が出題者となり、1期生&3期生チームに渡邉にちなんだパーソナルクイズを出題。勝ったチームには渡邉と最後の共演パフォーマンスができるということで、日向坂46ならではの珍回答続出の激戦に。結果3期生が逆転勝利して『Right?』 をパフォーマンスすると、渡邉は「ずーと好きでやってみたかったの。願いが叶ってほんとに楽しかった」とご満悦。すると、1期生が舞台袖から低い声を出しながら恨めしく見つめており、影山優佳が「今日ばかりは先輩の圧力掛けるよ!」と、共演を要求。「ではやってもらいましょっか!」と丹生の可愛い決断で、『それでも歩いてる』の共演が実現した。


終盤は最新シングル『僕なんか』、ライブの定番曲『NO WAR in the future 2020』、二期生9人での最後の楽曲となった辛口ナンバー『恋した魚は空を飛ぶ』から、佐々木キャプテン&加藤史帆の「美穂のこと好きかー!!」の煽りで『誰よりも高く跳べ!』が流れると会場は最高潮に。いつもキャプテンが煽るCメロ間奏前の煽りを渡邉に譲り、「おひさま跳べー!!」と絶叫。感極まったのかここで涙腺が決壊、泣き顔でのパフォーマンスとなった。そしてVTRを交えての最後の曲振りで、MVも話題の渡邉の卒業ソング飛行機雲ができる理由』を熱唱し本編は終了。


アンコールに応えた渡邉は、こだわりのそらいろのドレスを纏って再度ステージへ。ひとり中央に立ち今の思いを語りだす。「卒業を発表してから、最後おひさまを目の前にして何を話そうかなと考えてたんですけど、伝えたいことがありすぎて結局決まらなくて、この場に立ってその時感じたことを素直に話すのが一番私らしいかなと思ってます。…なんか正直まだ卒業する実感が沸かなくて信じられないんですね。それくらい日向坂46が私の人生の一部になっていて、この先なくなるって全然想像できないからなんです。でもそれって寂しいけれど幸せだなと思って。私は入った時からすごいしっかりしてるとか思われがちで、自分もそう徹していたんですが、実際はすごい繊細で弱い部分もあったし…でもそれを全部受け止めてくれる人たちが周りにたくさんいて、この5年間でアイドルとしては勿論、人間としても大きく成長させてもらったなって思います。でも本当に成長できてるのか、誰かのためになれているのか、17歳当時は自分は何者にもなれないって、すごく悩んだりもしたんですが、卒業発表してから、自分の思っている以上に色んな人から愛を与えてもらって、自分ってこんなに愛されているんだなって初めて知りました。大げさかもしれないけれど生きてて良かったなって思います。ミーグリの時にはおひさまからいろんな言葉をもらいます。その中で「美穂ちゃんのおかげで人生が変わったんだ」「苦しいことを乗り越えられたんだ」って、涙を流しながら伝えてくれるんです。その時自分って誰かのためになれてたんだって。もし一人でも私の存在に救われた人がいたら、それだけでアイドルになってよかったなって思えます。おひさまのみなさん、私を見つけてくれて、好きって言ってくれてありがとうございました」と感謝のメッセージを贈った。


そして2期生が壇上へ、金村は「今のスピーチ聞いてたら寂しくて寂しくて仕方ない」と涙目に。「こんなに愛されてたんだって言ってたけど、それは美穂だからこそ、あなたがいたから。美穂がいつも誰かの支えになってくれて寄り添っている姿をずっと見てたから、これからも自信を持って輝いてほしい。あなたは本当にいい人だよ!」と投げ掛けた。ここで富田からサプライズがあると聞かされ目を丸くする渡邉。「私サプライズに弱いんだ」とすでに泣いている。富田がこの日のために極秘で練習していたピアノで『君のために何ができるだろう』を演奏し、上村ひなのも加わり合唱。みんな涙を必死に堪え、渡邉へ最後の歌のプレゼントを贈った。


1期生もステージに合流、キャプテンは「美穂がいなかったら日向坂46がどうなっていたかわからない」と、精神的支柱だったことをあらためて話し、「美穂がいなくなっても日向坂46をグループとして成長させると約束するね」と2人で指切り小坂菜緒は話しだした途端、込み上げるものが。「ひらがなけやき2期生で入ってきて、美穂といっしょに先輩方とお仕事することが多くって、悩んでたことや活動に対して思っていたことが共有できるような仲間に出会えて、私はそれがすごく心強くて。私が休養していた時もずっと離さないでいてくれて、それがグループに戻ってくるきっかけになっていました。それがなかったらもしかしたらここに立ててなかったかもしれないと思ってたので、今こうやって美穂のきれいな姿を見ることができて笑顔で送ることができて幸せです」とメッセージを贈った。キャプテンは「あーー。もう私が次の曲ですって言ったら終わっちゃう…」と、涙をこらえながら「言いたくないんだけど…言わなきゃいけないみたいで…」とつぶやき、ついに最後の曲『 JOYFUL LOVE』がコールされた。


歌の後もステージに残った渡邉は「この景色目に焼き付けたい」と、ファンに向け上手から下手へ、段上席にも丁寧に挨拶をし、キラキラの笑顔を残しステージを後にした。ステージの向こうに降りる時、最後の感謝を込め振り向かずに手を振り、渡邉美穂のアイドル人生は幕を下ろした。


メンバーが渡邉のことを話し、最後に言う言葉は「美穂には絶対幸せになってほしい」。ファンの総意でもあるが、メンバーにも愛された“日向坂46の太陽”は、グループを離れてもずっと照らし続けてくれるに違いない。


カメラマン:上山陽介

ドワンゴジェイピーnews