深セン証券取引所の創業板への上場を目指している、北京中科潤宇環保科技(301175深セン)が6月28日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。3億6722万株を発行予定で、公募価格は3.82元。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。
 
 同社は2012年に北京潤宇環保工程有限公司として設立し、17年には国有企業である中科実業集団の傘下に入り、20年に株式会社化した。国の「グリーン発展」生態環境保護戦略に奉仕し、中国科学院が持つリソースや先進的な技術成果を活かし、専ら行政、社会向けに廃棄物処理総合サービスを提供している。生活ゴミの焼却処理と、焼却に伴って発生する熱、電力の供給が主業務だ。厨房廃棄物、汚泥、医療廃棄物などさまざまな廃棄物を共同処理する循環経済産業パークモデルを構築した。また、危険廃棄物処理業務の開拓も積極的に進めており、設備の販売と技術サービスの両輪からなる業務構造づくりに取り組んでいる。

 主にBOT、BOOなどのライセンス経営方式にて生活ゴミ発電プロジェクトの投資、建設、運営を実施している。目論見書発行時点で浙江、四川、山西、広西、遼寧、雲南といった省、自治区で10件のライセンス経営契約を結んでおり、1日あたりのゴミ処理能力は7750トンだ。
 
 中国では都市化の取り組みが続いており、都市の規模が絶えず拡大するとともに、都市経済の実力も高まっている。2000年に4億5900万人だった都市人口は20年にほぼ倍の9億200万人にまで増加し、人口の都市化率も36.22%から63.89%にまで上昇した。これに伴い、都市部における生活ゴミの輸送量も増加しており、04年の1億5500万トンから20年には2億3500万トンにまで増えている。今後も都市人口の増加、生活水準の向上に伴って都市部の生活ゴミが増加し、ゴミ処理設備市場は拡大を続けるものとみられる。
 
 また、2010年代前半までは衛生的な埋め立てが大部分を占めていた生活ゴミの処理方法に変化が生じ、20年には焼却処理率が62.29%にまで達した。そして、焼却が生活ゴミ処理方法として普及するにつれて、焼却による発電も盛んに行われるようになり、都市の生活ゴミ焼却・発電所の数量は10年の104カ所から20年には4倍以上の463カ所にまで増え、焼却能力も1日あたり56万7800トンに達している。
 
 同社は中国科学院の関係企業である中科実業集団を親会社としており高い技術力、開発力を持っていること、国内業界で早い時期から生活ゴミ焼却発電産業に従事してきたこと、中国環境衛生協会生活ゴミ焼却専門家委員会メンバーなどハイレベルな専門人材を確保していることなどを強みとする一方で、会社の急速な発展ニーズを満たす資金力の不足、業界内で専門人材の育成が遅れていることなどがボトルネックとなっている。

 2021年12月期の売上高は15億980万元(前期比119.93%増)、純利益は1億7249万元(同29.67%増)。22年1〜3月期の売上高は3億602万元(前年同期比10.04%減)、純利益は4873万元(同10.37%増)。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)

【深センIPO】都市生活ゴミ焼却・発電事業の北京中科潤宇環保科技が28日に公募開始、3億6722万株を発行予定