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ジャガーは今、何をしているのか?

ジャガーが長らく沈黙を守ってきた将来の計画について、ついに明かされるときがきた。

【画像】ブリティッシュ・スポーツカーの伝統【ジャガーFタイプとEタイプを写真で見る】 全104枚

2025年に3台の新型車が登場し、そのすべてが新しいプラットフォームをベースに開発され、EVとなることが決まっている。しかし、まだわからないことがたくさんある。

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2020年に公開されたジャガー・ビジョン・グラントゥーリズモSVコンセプト

ジャガーランドローバー(JLR)の車両プログラム責任者であるニック・コリンズ以上に、ジャガーの将来を教えてくれる人はいないだろう。

英AUTOCAR編集部はニック・コリンズに独占インタビューを行い、ジャガーの「今」と「未来」について尋ねることができた。

ジャガーは2025年に生まれ変わる

――ジャガー再興の課題はどれほど大きいものでしょうか?

「とても大きなものですが、当社は今、あるべき姿に近づいています。これまでジャガーの将来については触れてきませんでしたが、それは意図的なものでした。(ランドローバー)レンジローバー、レンジローバー・スポーツ、ディフェンダー130の発売を控えており、これを完了させる必要があったのです」

「今、雑念から解放された熱心なチームとともに、新しいジャガーに夢中で取り組んでいます」

――2024年という数字が出ましたね。その意義は何ですか?以前は2025年の改革が語られていました。

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ジャガーランドローバーの車両プログラム責任者、ニック・コリンズ

「どちらの年も重要です。2024年には、新しいジャガーがどのようなものかを世界に示し、2025年には、お客様にクルマをお届けすることになります。このクルマをどのように伝え、どのように販売していくかについては、まだ検討中です。アイデアはたくさんあるのですが、どのようにするかはまだ決めていません」

――2025年までの「道のりをキュレーションする」という話がありました。これはどういう意味でしょうか?

「既存モデルをどうするか、ということです。当社はサプライチェーンの問題から、バリエーション数を減らすことになりました。量よりも価値を重視する企業であることについて、多くを学んだのです。例えば、ジャガーFペイスでは、約55ものバリエーションから16に減らすことができます」

「最近の特別仕様車『FペイスSVRエディション1988』はもうご覧になられたかと思いますが、XFやXEでも、そのようなモデルをもっと出していきます。そして来年は、ジャガースポーツカー誕生75周年を記念して、Fタイプで何か特別なことをする予定です」

「これは、ジャガー最後のV8スポーツカーになるでしょう。もしかしたら、昔のランドローバー・ディフェンダーのように、とても大きな存在になるかもしれませんね」

新デザインはすでに決定 近くテスト走行も

――「無のコピー(a copy of nothing)」というのは、新しいジャガーがこれまでのモデルとデザイン上の繋がりを持たないということを意味しているのでしょうか?

「具体的なお話はできませんが、ブランドの中身を考えると、新旧の繋がりが見えてきます。ジャガーが常に生み出してきたエモーションを要約し、それを現代のプロダクトでどう表現するかを考える。わたしにとっては、新型ディフェンダーで行ったことに似ています。あのときは、旧型に邪魔されることはありませんでした」

「最近、当社はジャガーの価値をいくつかの言葉に集約しました。内容は明かせませんが、ブランドの絶対的な純度を維持するためのものです」

――ジャガーの新デザインが社内で承認されたというのは本当ですか?

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ジャガーFペイスの特別仕様車「SVRエディション1988

「はい、すべてのポートフォリオを承認しました。今は最終熟成の段階です。生産に向けたサーフェシングのほか、エアロダイナミクスや冷却といった実用的な要素に対応し、クルマを生産する準備を整えているところです。しかし、プロダクトにほとんど変更を加えないという会社の基本原則には忠実です。わたし達の仕事は、素晴らしいデザインを実現することだと考えています」

――ハードウェアやソフトウェアの開発は、どのような段階まで進んだのでしょうか?

「最初は、パートナー企業のプラットフォームを利用することを検討しましたが、オーダーメイドのアーキテクチャでなければ、『無のコピー』という目的を達成できません。しかし、すでに持っている要素を使って、プロセスを効率化することはできます。プロトタイプに関しては、レンジローバー・スポーツのボディを使って、今後2~3か月の内に走らせる予定です」

挑戦のリスク 価格は製品が決める

――2024年までにコンセプトカーを見せてくれるのでしょうか?

「わたしはコンセプトが好きで、社内でもたくさん話してきたことなので、もしかしたら何か発表するかもしれません。しかし、ジャガーの新戦略と同様に、わたし達はどのように発表するかを『再考(Reimagine)』しなければならないでしょう」

――最近のクルマで、新しいアーキテクチャ、新しい形のパワートレイン、新しい生産システム、新しいマーケティング戦略を持ち、新しいタイプの消費者向けに作られたものはありません。そのリスクは認識されていますか?

「リスクにはチャンスも含まれると考えています。いずれにせよ、現状を維持することの方が大きなリスクでした。当社は、ディフェンダーのように、まったく違うことをしなければならないのです」

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1960年代のジャガーの代表的なスポーツカー「Eタイプ」

「新型車は本当に素晴らしく、非常に示唆に富んだ提案であると言えます。デザインスタジオで新型車を目にするたびに、思わず息をのみます。しかしそれは、ジャガーがこれまでも常に持っていた魅力なのです」

――どのジャガーも20万ポンド(約3300万円)もするのでしょうか?

「価格を決めるのは発売直前で、何年も先のことですが、クルマをどのように位置づけようとしているかはよく理解しています。優れたプロダクトは自ずから価格が決まる、というのがわたしの考えです。いくらで売るかは、わたし達の仕事の質にかかっているのです」


先の見えないジャガー 将来の見通しが明らかに 2025年までの計画とは