カナダ、ユーコン準州の金採掘場の永久凍土から、きわめて保存状態のいい赤ちゃんマンモスのミイラが発見されたそうだ。
地元政府のプレスリリースによると、マンモスの女の子の赤ちゃんは先住民族が住むユーコン川流域で発見されたことから、長老たちによって「大きな動物の赤ちゃん」を意味する「ヌン・チョ・ガ(Nun cho ga)」と名付けられた。
北米で発見されたものとしてはもっとも完全なマンモスのミイラで、腸と最後の食事まで残っているほど保存状態が良かったそうだ。
「ヌン・チョ・ガ(Nun cho ga)」は3万年以上前の氷河期に生き、死んでから永久凍土の中で氷漬けになった。
おそらくは野生の馬や、ホラアナライオン、ステップバイソンなどと一緒に大地を歩き回っていたと考えられる。
カナダ、ユーコン準州で発見されたほぼ完璧な赤ちゃんマンモスのミイラ/ / image credit:Yukon Government
発見者は、クロンダイク金鉱地帯で働く若い炭鉱夫だ。彼が掘っていた永久凍土の泥の中から発見され、その後専門家によって回収された。
ユーコン政府の古生物学者グラント・ザズーラ博士によると、「北米の古生物学にとってもっとも重要な発見」であるという。
マンモスの赤ちゃんはおそらく母親と一緒にいたが、少し遠くに行き過ぎて、泥にはまり込んでしまったようだ。
またマンモス発掘チームのダン・シュガー教授(カルガリー大学)は、「これまで参加した中で、一番ワクワクする科学的出来事」と語る。
彼によると、赤ちゃんマンモスは、足の爪・皮・被毛・胴体だけでなく、腸までが保存されていたという。その中には、なんと最後に食べた草まで残っていたそうだ。
Being part of the recovery of Nun cho ga, the baby woolly mammoth found in the permafrost in the Klondike this week (on Solstice and Indigenous Peoples’ Day!), was the most exciting scientific thing I have ever been part of, bar none. https://t.co/WnGoSo8hPk pic.twitter.com/JLD0isNk8Y
— Prof Dan Shugar (@WaterSHEDLab) June 24, 2022
今週、夏至で先住民の日に、クロンダイクの永久凍土で発見された赤ちゃんマンモスの回収に参加。これまで参加した中で、文句なしで一番ワクワクする科学的出来事
マンモスはなぜ絶滅したのか?
ユーコン準州は、氷河期の化石が保存されていることで有名だ。しかし、ここまで完全な遺体が見つかることは滅多にない。
ザズーラ博士は、「氷河期の古生物学者として、本物のマンモスに対面することは生涯の夢の1つ」「その夢が今日叶った。ヌン・チョ・ガは美しく、世界的にももっとも素晴らしい氷河期動物のミイラだ」と述べている。
アフリカゾウほどの大きさのマンモスは、4000年前まで地上を闊歩していた。
私たちの祖先も彼らと一緒に生きており、ときに食糧としてマンモスを狩り、その骨や牙でアート・道具・住居などを作っていた。
マンモスが絶滅した原因については、気候変動か人間による狩猟か、専門家でも意見が分かれている。
References:Mummified baby woolly mammoth found by gold miner in the Klondike | Government of Yukon / 30,000-Year-Old Baby Mammoth Found Almost Perfectly Preserved in Canadian Gold Fields / written by hiroching / edited by / parumo
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