このコラムでもよく書いているが僕はアニメを見ることがほとんどない。自分から見ることはまったくない。もっと言うとドラマ、漫画、小説もほぼ見ない、読まない。ドラマで見るのは史実に基づく「大河ドラマ」のようなもののみ。「かねやんもエンタメやっているんだから『トップガン』と『シン・ウルトラマン』は見たほうがいい」と言われ映画館に来てみたが、つい河井継之助(編注:「峠 最後のサムライ」)を見てしまった。つまりフィクションに感情移入することが苦手なのだ。感受性が低いのでしょう。
 僕は海外で絵画を鑑賞するのが好きなんですが、それはその絵画が書かれた背景、その美術館が建設された権力者の意思などを学んでから絵を見る。決して絵そのものに感情移入できていない。この仕事に没入できるのも、エンタメを梃にして、ビジネスを拡大していこうという人たちに魅力を感じているからだと思う。リアルな欲望、羨望、憎悪に勝って感情が揺さぶられることはないと固く信じているところがあります。よってアニメどころか自社で制作しているコンテンツも、あまり見たり聞いたりしません。ラジオ局に勤めていた時もニュース以外のラジオ番組は接しませんでした。
 ただ最近、さすがにいやいやでも一応見ておくか、と何話かでも強制的に見るようにしています。「なんでこんなもの大のオトナが見て喜ぶんだ?」という視点で……。
 弊社は今年4月から放送され6月末に終了したテレビアニメ恋は世界征服のあとで」の製作委員会に参加させてもらいました。そこで放送前の試写会でアニメを鑑賞しました。「恋は世界征服のあとで」は、野田宏さんが原作、若松卓宏さんが作画を担当するマンガが原作で、2019年から「月刊少年マガジン」で連載中。世界平和を目指すヒーロー戦隊・ジェラート5のリーダー・相川不動と、世界征服をもくろむ秘密結社・ゲッコー戦闘員リーダーである死神王女こと禍原デス美の禁断の恋を描くラブコメディです。正直、僕のもっとも興味のない話なのだが、試写を見てみて驚いた。ヒロインのデス美のしぐさ、表情にこれまで感じたことのない感情の揺さぶりがあったのです。揺さぶりの後で相手のヒーロー相川不動がいうのです。「可愛さよ」。
 僕ももちろん男ですからリアルな女性を見て、愛おしさや可愛さを感じることはあります。ただアニメ表現で愛おしさ、キュンとくることは初めての経験でした。絵、動き=間、そして、デス美を演じる声優・長谷川育美さんの演技が相まってこの感情を生むのだろう。アニラジ人生25年、初めて「アニメを見る大人の気持ち」が少しわかった気がします。でもこれが、ちょっと絵が崩れたり、間がずれたり、声優の演技が違ったり、ほんのちょっとしたずれが生じたらこの感情は生まれないんだろう。そう考えると、アニメがかなり薄皮を一枚一枚積み重ねていくような作業なんだなとあらためて感じた次第。「だからつくるほうも見るほうもあきないんだな」と、多くのベルガモの番組を聴いたり見たりしている方は「なにを今更」と思われるかもしれない。ただ僕には新鮮な感情でした。
 僕がキュンときた死神王女こと禍原デス美ちゃんの故郷は福岡・博多。そこでデス美凱旋イベントをやろうということになり、8月7日に福岡の中心部天神のホールで行います。「恋は世界征服のあとで デス美凱旋 可愛さよ祭りin博多」。デス美役・長谷川育美さん、相川不動役・小林裕介さんは勿論、轟大吾役・間島淳司さん、鋼鉄王女こと黒百合凶子役・金元寿子さん、そして今回声優初挑戦、モデル女優として活躍中の断罪王女こと乱乱役・桃月なしこさんが一堂に会したイベントです。アニメは見ないし興味もないけど、25年この分野で仕事をしてきた僕がこの作品への愛をこのイベントで発揮したいと思います。
 皆さん、九州の方はもちろん、他地方の方もコロナ禍の2年間、家に閉じこもっていた鬱憤を晴らす意味でも福岡にお越しください。そして「可愛さよ」を共有しましょう。お待ちしています。

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ベルガモ公式YouTubeチャンネルが開設されました。各番組の無料パートをお楽しみいただけます。
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「恋は世界征服のあとで」キービジュアル (C)野田宏・若松卓宏・講談社/恋せか製作委員会