離婚当事者やDV相談支援団体、離婚相談の実務にあたる弁護士、研究者らが7月1日、家族法制見直し議論を進める法制審議会宛に要望書を提出する。

法制審では現在、家族法制部会で家族法制見直し議論を進めており、8月にも中間試案が取りまとめられる見込みだ。今回の要望書では、面会交流や共同親権について「離婚後の面会交流の命令や、父母双方の共同親権も選択肢とするような親権のあり方には看過しがたい問題がある」としている。

要望書を提出した「Kids Voice Japan」共同代表の小川富之・大阪経済法科大学法学部教授は「共同親権の『親権』が何を意味しているのか。『監護』には何が含まれているのかが明確にされていない。これらを示さず、実際には問題が起きているにもかかわらず『欧米ではうまくいっている』と乱暴な議論で進めることはありえない」と指摘した。

また、斉藤秀樹弁護士も「もし法律が(共同親権に)変わるのであれば、監護者は何が単独ででき、何が元パートナーの承諾が必要になってくるのか。現在の議論からはそこがわからない。明確にしないまま議論を進め、パブリックコメントなどで意見を求めるのは不誠実」と問題点をあげた。

●要望書の内容は

「Kids Voice Japan」が提出する要望書の主な内容は以下の通り。

・父母双方親権制度を選択できる制度を提案する以前に、「親権(者)」や「監護(者)」の権利義務の内容を定めた上で議論をしてください。

・面会交流実施や、別居親が子どもの生活に関われる制度の導入を検討/提案するのであれば、まずもってその際にどのように児童虐待や DV ケースを認定し、保護するのか、その手続き、対策を明確にして下さい。

・当事者だけでは、面会交流についての協議や実施が難しい場合に、どのようにして当事者を支援するかについて検討し、必要とされる支援制度の導入の議論をお願いします。

・共同親権選択制や、暫定的面会交流命令を導入しないでください。

・養育費以外の点について、別居/離婚時に規律を設けないでください。

・国による養育費立替払い、国による強制回収の導入を求めます。

離婚後の親権のあり方などめぐり、弁護士や研究者らが法制審に要望書提出