異常なまでに衝突が多い2路線とは?

対策してるのに、とにかく多い鹿被害

JR東日本 盛岡支社は2022年6月29日(水)、シカなどの動物との衝突による輸送障害の発生状況について発表しました。列車と動物との衝突事故は以前から各地で増加傾向にありましたが、同支社管内では、一部路線でかなり深刻になっているようです。

2021年度に盛岡支社管内で発生した動物との衝突事故件数は801件で、前年度から47件増加。そのうちの大半を、シカ・カモシカが占めています。

線区別で見ると、山田線(盛岡~宮古)、次いで釜石線(花巻~釜石)とで、事故件数の9割を占めるとのこと。山田線は394件、釜石線282件発生しているといいます。山田線に至っては、前年度の294件から大幅に増加し、毎日1件以上の事故が発生している計算になりました。

列車への影響は、事故1件あたり16分ほどの遅れが発生。30分以上の遅れになった事例も27件あったそうです。

当然ながら、盛岡支社もこれまで両路線で、ライオンのフンから抽出した成分を含む忌避剤の散布、侵入防止ネットの設置、さらには動物へレーザー光を照射する「クルナレーザー」の設置なども行ってきました。それでもなお両路線のほぼ全線にわたり衝突が発生し、なかでも多い区間では年間80件前後に上っています。

今後は、山田線の一部列車に搭載している「忌避音吹鳴装置」を拡大運用するといいます。これは、列車に取り付けたスピーカーから、シカが仲間に危険を知らせるときに発する警戒声と、シカが嫌うイヌの咆哮を組み合わせた忌避音を流しながら走行するというものです。

山田線のキハ110系(乗りものニュース編集部撮影)。