登山・山登り・悪天候

人間は心停止に陥ったとき、1分1秒でも早く心肺蘇生を開始する必要がある。しかし、ある男性は驚くべき長い時間、心停止であったにも関わらず軌跡の生還を果たしたことで、話題を集めている。『Manchester Evening News』『Dailystar』など海外メディアが報じた。


■ブリザードの中を登山

イギリス・マンチェスターにあるサルフォード大学でライフガードとして働くトミープライスさん(27)は、1月6日に友人のマックスさんとイギリス湖水地方にある標高868メートルのブレンカトラを登っていた。

ところが、凍てつくような寒さのためか、登山開始直後にトミーさんは朦朧とし始めた。当時を振り返り「覚えているのは、立ち上がろうとして1oメートルほど落下してしまったことだけです」「ブリザードだったので視界が全くききませんでした」と語っている。

そして急激に体温が低下したトミーさんは、心停止に陥った。


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■長時間に渡る心停止

即座に助けを呼ぼうとしたマックスさんは、トミーさんと自分の携帯のバッテリーが切れてしまったことに気づいた。仕方なく心停止状態のトミーさんをその場において、助けを求めて下山を始めた。

山岳救助隊が瀕死のトミーさんを発見したのは、それから1時間15分後のことだった。発見当時のトミーさんは、心停止状態のみならず深刻な低体温症に陥っており、救助ヘリコプターの到着を待ちながら、懸命の心肺蘇生と3度の電気ショックが施されたという。

■交通事故にでもあったのかと…

緊急搬送されたトミーさんの深部体温は18℃しかなく、即座にECMO(体外式膜型人工肺)に繋がれた。医師が蘇生は厳しいと感じる絶望的な状況の中、5日間の昏睡を経てトミーさんは目を覚ましたという。

倒れてからの記憶が全くなかったトミーさんの最初の一声は、「コーラをくれ」だった。また、ICU(集中治療室)に入院しているという現状を把握すると、交通事故にでもあったのだろうと考えていたそうだ。


■奇跡の回復劇

現在では手足に残る神経ダメージを除き、回復しているトミーさん。救助隊は「奇跡ですし、救助に関わったすべての人の高いプロ意識の賜だと思います」と語っている。

いかなる理由があっても荒天の中での登山は、救助に向かう人々の命すらも脅かす危険があるという認識が必要だろう。

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(文/Sirabee 編集部・原田パラン

3時間心停止した男性が奇跡の生還 悪天候の登山で体温が18℃まで低下も…