目の前に大量のお金を積まれて、魔がささない自信はありますか? お金は時として、人の心を狂わせ、人間関係やもめ事などトラブルの元になります。そこで、「bizSPA!フレッシュ」で過去に掲載した記事の中から特に反響の大きかった「お金のやらかし話」にまつわる人気記事を再掲載します(初公開2021年05月21日、情報は掲載当時のものです)。

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 広々としたエントランス、充実した設備、部屋からの美しい眺め……。多くの人が憧れる、タワーマンション生活。住んでいるだけで“人生の勝ち組”になったような気分が味わえそうですよね。

タワマンからの景観
画像はイメージです(以下同じ)
 そんな「タワマン」に住む夢を20代にして叶えたのは、なんと派遣社員で現在はフリーターの丸山恵子さん(仮名・27歳)。決して高給取りとはいえない彼女が、タワマン暮らしを手に入れた方法とは…?

きっかけは女友達の「マウント」

「友達に、やたらとお金持ち自慢をしてくる子がいたんです。その子は大手企業に勤めるバリキャリ女子で、派遣社員の私を見下していて。どうにかして彼女を見返したいなと思い、ふと、タワマンに住んだらいいんじゃないかと……。きっかけは、本当にしょうもない思いつきでした」

 友達のマウントに対抗しようと、タワマンに暮らすことを決意した恵子さん。しかし、当時の恵子さんの月収は手取り18万円ほど。安めの部屋でも家賃が月20万円はかかるタワマンには、とても手が届きません。そこで恵子さんは、“副業”を始めます。

「仕事終わりに、キャバクラバイトをすることにしました。実は大学生の頃にラウンジで働いていた経験もあるので、抵抗は全くなかったですね。ただ、学生時代と違って好条件で雇ってくれるお店は少なくて……時給は2000円からのスタートでした」

時給2000円でキャバクラ週5出勤

OL

 幸い、本業はほぼ毎日定時退社できる環境だったため、恵子さんは週5でシフトを提出していたそうです。本業が比較的楽な職種だったとはいえ、1日8時間労働したあとのキャバクラ出勤はかなり大変なように思えますが……。

「体力的には結構しんどかったです。シャンパンテキーラを飲まされることもあったので、二日酔いで仕事に行くなんてザラでしたね。さすがにアフターは断っていたので、その分、お店での頑張りでお客さんをつけなきゃいけなくて。いま思うと、私なんであのときあんなに必死になれたんだろうって感じです(笑)

 毎日の努力が実を結び、少しずつ指名客を増やしていった恵子さん。時給もだんだんと上がり、半年後にはタワーマンションに住めるだけの月収と貯金を手にします

念願のタワマン暮らしがスタート。しかし…

「水商売専門の不動産屋さんを利用して、なんとか審査を通り、憧れだった豊洲のタワマンを契約しました。住む家が変わると、本当に人生が変わるんですよ。世界が一気に広がって、目に見えるもの全てがキラキラしていました。

 もちろん、マウントを取ってくる友達には真っ先に報告しましたよ。『どうやってそんなところに住めたの!?』と聞かれたので『恋人がお金持ちなの』と(笑)そのときの彼女は本当に悔しそうな顔をしてましたね。心底スカッとしました

 優雅なタワマン暮らしを楽しんでいた恵子さんでしたが、そんな彼女を悲劇が襲います。引っ越しから数か月後、新型コロナ蔓延による緊急事態宣言が発令。働いていたキャバクラが営業自粛に追い込まれ、収入が激減。さらに……。

もう普通のマンションには住めない

貧乏

いわゆる“派遣切り”にあってしまいまして、コロナ禍で無職になりました。すぐに次の仕事を紹介してもらいましたが、それもキャンセルされ……目の前が真っ暗になりましたね」

 幸せな生活が一転、コロナで大打撃を受けた恵子さん。それでも、タワマンを引き払うという選択肢は彼女の中になかったそうです。

「引っ越すにしてもお金はかかるし、何より、タワマンに住んでしまったらもう普通のマンションには住めないですよ。暮らしとともに、心も豊かになりますから。たとえ毎日の食事がカップラーメンになったとしても、タワマン暮らしだけは維持していくと心に決めました」

 お客さんと店外デートをしてお小遣いをもらったり、キャバクラの同僚の紹介でギャラ飲みに参加するなどして、恵子さんはなんとか生計を立てていきます。

タワマンでの貧乏暮らし

暗い部屋 パソコン 女性

 その後、お客さんの紹介で事務のバイトを始めることができ、緊急事態宣言後はお店も時短営業で再開。現在もなんだかんだタワマンに住み続けているそうです。

「タワマンに住んでいると話すとたいていの男の人からは引かれますし、収入のほとんどを家賃に費やす私に親は呆れかえっていますね。でも、今ではこの家で暮らすことが私の人生のモチベーションになっています。生活はかなりギリギリで、もちろん貯金なんてできませんが、なんとかやっていけてますし。将来のことよりも、今の暮らしが充実していることのほうが私にとっては大切です」

 現在は、節約のために家庭菜園で育てた野菜を食し、服はもっぱらGUやしまむら、コスメはダイソーを愛用しているそう。タワマンに住んでいる人とはとても思えないような生活スタイルですが、そんな貧乏エピソードを語る恵子さんの瞳はキラキラと輝いていました。

 幸せの形は人それぞれ。恵子さんは、今日もタワマンでせっせと豆苗に水をあげているそうです。

TEXT/渡辺ありさ イラストパウロタスク(@paultaskart)>

【渡辺ありさ】

1994年生まれ。ライタータレントアイドル雑誌「楽遊IDOL PASS」の編集を経て、「週刊プレイボーイ」「pop'n'roll」等で執筆。EX「全力坂」MXTV「真夜中のおバカ騒ぎ」等出演 Twitter:@Arisaaa_w