幸せに暮らしていた一家の母親が突然がんに。これからどうする?その時家族は?「がんサバイバー」という言葉もあるように、がんと闘病・共存しながら日常を送る生き方が注目されている。そんな中、自らのがんとの闘病や家族との触れ合いを漫画「鼻腔ガンになった話」にし、Instagramにアップして反響を呼んだのが、やよいかめさん(@yayoi_kame)。そのリメイク版を描いていく。

【漫画】脱毛は?手術は?抗がん剤治療を前に不安が増すばかり

やよいかめさんはご主人とお子さん2人の4人家族。なぜかなかなか治らない鼻詰まりの症状が気になっていた。精密検査を受けたところ、鼻腔がんと告げられる。

今回は、入院の準備や抗がん剤治療前の不安などを描いていく。まずは、鼻の精密検査の後に訪れたレストランで出血したエピソードの続きから。

治療による脱毛の対策や、知人への告知を迷うなど気が重くなるばかり。そんな中で、ネットで見かけるがん患者の前向きな体験談に励まされていく。

放射線が余計なところに当たらないよう固定する樹脂製のマスクを作成。治療中に鼻がかゆくなったり眠くなったりしても顔を動かさないようにするためのものだ。

やよいかめさんが不在の間、代わりにお義母さんが子供たちの面倒を見てくれることになった。2人がちゃんと素直に言うことを聞いてくれるか、ちょっと心配だ。

■手術で鼻が削げてしまう不安もあった

抗がん剤治療による脱毛だけではない。やよいかめさんはこう話す。「腫瘍が鼻だったので、手術で顔が変わってしまうのがとにかく怖くて不安でした。鼻が削げてなくなったらどうしようか、と」。そうなったとしても、自分が家族みんなをサポートしたり、子供たちを育てることはできたりするはずと前を向く。「どんな顔になってもできることはある!顔が変わっても生き抜こう!と決意をして通院していました。ですが、術後に元の顔に戻れるかどうか(やっぱり心配で)、顔を復元する整形についても調べていました」

通販サイトのウィッグのレビューなど、がん患者の体験談にも勇気づけられた。「『抗がん剤治療で髪の毛が抜けてしまったので、こちらのウィッグを買いました。自然なつけ心地でよかったですよ』といった書き込みです。ただそれだけのなんてことのない一言だったんですが、『一緒だ!』と思えて心がフッと軽くなりました。それまでは『自分だけが大変!』っていう思いが無意識にあったのかもしれません」。若いがん患者さんの意見が聞けてうれしいと感じた経験が、がんの漫画を描くきっかけの一つになっているという。

がん告知以降、お子さんに変化はなかったのだろうか。「いつも通り元気でした(笑)。逆に『ママ、がんなんですけど?』って何回か申告したくらい。『ママが入院する前にしっかり甘えとくね』というちゃっかりさんたちでした」。やよいかめさんは、まだ幼かったため実はがんについてよく分かっていなかったのでは、と語る。「数年後、『はたらく細胞』のがん腫瘍の回を見て、『ママって、ヤバかったんやなぁ』と言ってました」

この後、間もなく入院。不安だった抗がん剤治療が始まる。

取材・文=折笠隆

がんと闘っているのは自分だけではないと気付き、少しだけ気が楽になる