小栗旬主演の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(毎週日曜夜8:00-8:45ほか、NHK総合ほか)の第26回「悲しむ前に」が7月3日に放送され、前半の主要人物である“鎌倉殿”源頼朝(大泉洋)が息を引き取った。政治のトップに君臨していた男の側に最後までいたのは、妻の政子(小池栄子)。2人の間に流れる強いきずなと、最後に政子へかけた頼朝のセリフに注目が集まった。(以下、ネタバレが含まれます)

【写真】頼朝(大泉洋)、最期の微笑み

■頼朝の死が近付き、御家人たちがソワソワし始める

三谷幸喜が脚本を務める「鎌倉殿の13人」は、源頼朝(大泉洋)に全てを学び、武士の世を盤石にした男・北条義時(小栗旬)と、彼を中心に鎌倉幕府将軍“鎌倉殿”を支えた13人の家臣団の生きざまを描く物語。放送後のTwitterトレンドランキングは毎週1位を記録しており、今週も話題独占状態であった。

頼朝の死が近付くほどに、御家人たちが次の“鎌倉殿”の座を狙う不穏な空気が漂い始める。頼朝は前回の放送で、突如意識を失って落馬してしまったのだ。御所に運ばれた頼朝が眠る横で、医師は「もってあと数日」と予想し、義時や政子らは息を飲む。

事情を知る者たちを最小限に食い止めようとする義時だったが、こういったうわさの広まり方は早い。能員(佐藤二朗)は頼家(金子大地)の時代が近いと喜び、時政(坂東彌十郎)はりく(宮沢りえ)に詰め寄られ、全成(新納慎也)と実衣(宮澤エマ)夫婦に「鎌倉殿の跡を継いでくれ」と伝える。義時は、落ち着かない様子の御家人たちを懸念し義村(山本耕史)へ「北条と比企の間に立って欲しい」と告げた。

■頼朝の近くにはいつも政子がいた

周囲が落ち着きを失いかけている中、眠りから覚めない頼朝の近くには政子がいた。政子は頼朝がうっすらと汗をかいている、顔に赤みが戻ってきている等、細かい変化に気付き、身体を拭いてきれいにして献身的に見守っていた。

政子はかつて、突然、北条家に流罪人・頼朝が現れたときから、一貫して頼朝の味方だった。初めて会ったときから頼朝の雅な雰囲気に引かれ、政子は献身的で“デキる女”をアピール。身を潜めている頼朝の部屋にひとりで行って果物等を差し入れたのが出会いだった。

伊豆の地で取れた果物を手に「これは、なんですか?」と尋ねる頼朝の横で、しゃなりしゃなりと身をよじり、女性の魅力で誘惑していたのは第1話のことだ。そこから時は流れ、政子は頼朝の妻となり、女好きの夫に悩まされ嫉妬で暴れたこともあったが、どんなに頼朝が傍若無人な振る舞いをしていても、政治事に関しては腹を括り静観しているようなところがあった。

■政子と初対面時の会話をして逝った頼朝

気に食わぬ者や身内でさえも消して、頂点にたどり着いた頼朝は孤独だったに違いない。心を開く相手は義時や政子、落馬の瞬間に立ち会った従者の盛長(野添義弘)くらいだったのではないか。一時代を築いた頼朝が一人であの世へ旅立つのはあまりにも寂しい。しかし、最期の瞬間には政子が側にいた。

看病に疲れた政子が一瞬うたた寝をして目が覚めた時、まげを切り、臨終出家を済ませた頼朝が、政子の差し出したお菜を手に縁側に座っていた。そして夫妻が初めて出会ったとき手にとった果物を見て「これは、なんですか?」と政子の方をじっと見たのだ。初対面のときの会話そのものが、頼朝の最期となった。

視聴者は「鎌倉殿の頼朝で何度楽しませてもらったか分からない。ありがとう大泉“頼朝”」「大泉洋小池栄子のペアが本当に最高だった」「あんなひどい奴だと思っていたけど、最後に決まって惜しい人を亡くしたと思わせる脚本がすごい」等、SNSでも頼朝の死を悼むコメントが多数並んだ。

頼朝(大泉洋)を献身的に支える政子(小池栄子)/(C)NHK