樹脂粘土で作るミニチュアの中でも、人気の高いジャンルフェイクフード。色々なスイーツや料理が本物そっくりに再現され、大好きなメニューをいつでも目にすることができ、幸せな気分にさせてくれます。

 リアルに再現されたフェイクフードの中でも、さらに別の意味でもリアルを追求した作品を作っているのが「居酒屋たあこ」さん。身近なお惣菜やお弁当など、材料の切り方まで本物そっくりに作られた、コミカルだけどきわめて本格的な作品です。

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 「居酒屋たあこ」という名前の通り、最初は居酒屋に出てくる料理や酒肴をモチーフに、様々なフェイクフード作品を作っていたそうです。現在の作風に至ったきっかけは「それができるまでの厨房の様子も再現したら、ストーリーが生まれてもっと楽しいのでは?と思ったこと」と語ってくれました。

 当初は食材の姿をそのまま再現した作品を作ってみたものの、見た目としては「食材」のミニチュア作品になってしまいます。そこで動きをつけようと、切っている途中のネギやかまぼこといった、調理の現在進行形を表現した作品が生まれたのだとか。

 アプローチ方法が定まったことで、作品数も徐々に増えていきました。「ある日お客さまから『わかる!家でのあるあるよね~』と言ってもらえて『あ、そうか。厨房の食材の動きって、家のキッチンでの食材の動きに似てるんだ』と思いました」と、新たな気づきを得たといいます。

 このことをきっかけに、作品はより日常生活に寄り添ったものが増えていきます。いつしか日常でのあるあるシーンを形にした「日常シリーズ」が生まれました。

 テーマを日常と定めたので、モチーフ選びは日常生活でよく見かける食材や風景を大切にしているといいます。「普段よく行くスーパーコンビニには何があるか、そこでいつも買う食材は何か。どんな調理をするか、そんなことを直接スーパーに行ってずーっと考えてます(笑)」とロケハンの様子を話してくれました。

 たあこさんの「日常シリーズ」は、とことんリアルを突き詰めているのが最大の特徴。作品を構成する素材の造形についても、パン粉ならば一度パンを作ってから削るなど、できるだけ実物と同じ工程で作られています。

 「たとえば玉ねぎみじん切りも、本当に刻むとちょっと大きいものとか、斜めに切れているものとか色々あると思うんです。それは自然にできた食材の動きだと思うので、そういう細かい部分の積み重ねがリアルに繋がると個人的に思ってたりします」

 ハンバーグの材料を混ぜる前、という状態をモチーフにした「ハンバーグ」では、カットした玉ねぎも、ボウルに入れたひき肉もパン粉も、それぞれ微妙に形を変えています。綺麗に揃えることもできますが、あえて不揃いな形状にすることで、作品に生々しいリアル感が生まれているように感じます。

 お惣菜の「ポテトサラダ」も同様。いったんミニチュアのジャガイモニンジンなどを作り、それをカットしてから作っていきます。並んだパッケージを見ていると、スーパーの調理場と見間違えてしまいそう。

 これらの作品は「構想、試作、練習、本番、完成という流れで、新作だと1か月以上かかったりします」とたあこさん。練習でうまくいかないと本物を買ってきて観察することもあるそうで、「観察した後の食材は美味しくいただくんですが、うなぎ蒲焼の時は幸せでした」なんてエピソードも。

 また、一度に作る個数は、その時によって大きくことなり「お客さまのお声とかも結構参考にして、毎回『うへー、今回どれだけ作ろうー』って悩みます」とのこと。結果、数十個の時もあれば数百個にまで膨れ上がることもあるのだとか。

 日常生活で目にすることが多いものだけに、目にした方からは「リアル」や「面白い」という言葉が多く寄せられるといいます。「ほかにも『友達に見せたら「なにそれww」ってツッコまれます!』ってお言葉は、コミュニケーションツールに使ってもらえてるんだと思えてめちゃくちゃ嬉しいです」とたあこさんは語ります。

 これからお目見えする新作をうかがうと「次は『お弁当のキーホルダー』を考えています」とのお答え。画像を見せていただくと、いかにもスーパーのお惣菜コーナーに並んでいそうな「豚の生姜焼き弁当」。調理されてから時間が経っているのか「おつとめ品」のシールも貼ってあり、お買い得になっています。

 居酒屋たあこさんの作品は、minne(@taako00)で通販されているほか、デザインフェスタなどのイベントでも展示即売されています。イベント参加の際は「居酒屋たあこ」の藍染のれんが目印。新作など最新情報はTwitterをぜひチェックしてみてください。

<記事化協力>
居酒屋たあこさん(@takotako_taako)

(咲村珠樹)

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