ハイイログマやオオカミ、コヨーテなど、様々な野生生物の群れが生息するアメリカのイエローストーン国立公園で、この1か月間で3人の訪問者がアメリカバイソンに攻撃されるという出来事が発生した。
いずれも、推奨されている距離より近付き過ぎたことが原因だ。幸いどの負傷者も命に別状はないが、公園当局側は野生生物との距離を十分取るよう、改めて注意喚起を促している。
Bison charges tourists in Yellowstone
イエローストーン公園管理局は、最近の1か月で3人の公園訪問者が公園内に生息しているアメリカバイソンの攻撃を受け、負傷したことを明らかにした。
一番新しい事故は6月29日で、71歳の女性がバイソンに突かれて負傷した。女性は救急車で病院に搬送され、治療を施された。
また28日にも34歳の男性が家族と遊歩道を歩いていた際に、バイソンに突進され、角で腕を突かれて怪我をした。
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5月30日には、バイソンに近付いた女性(25歳)が、角で突かれて3メートル投げ飛ばされたという。
幸い、この3人の命に別状はなかったが、いずれのケースも訪問客とバイソンの距離が近過ぎたことで起こったようだ。
人間が遭遇し得る最も危険な野生生物
アメリカバイソンは、ウシ科の草食動物だが、体重640キロを超え、湾曲した角は最大で角長60センチメートルに達する。
同公園では、人間が遭遇しうる最も危険な野生動物とされており、イエローストーン国立公園にてバイソンとの接触で事故になった事例はヒグマの3倍以上記録されている
これまで、毎年少なくとも1件の事故が発生していたが、近年ソーシャルメディア用にと、バイソンや他の野生生物に近付いて自撮りをする訪問者が増えており、負傷者件数も複数に上っているようだ。
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警戒心が強いバイソンは、人の行動に刺激を受けやすく、ストレスや脅威を感じると、人が故意に近付いてない場合でも突進する可能性があるという。
人の3倍の速さとなる最高速度56km/hで走ることができるバイソンから突撃された衝撃は、決して小さくない。
突撃時には、角で突き、強力な首の筋肉を使って人を空中に投げ飛ばすことができる。
バイソンによる攻撃で人が致命傷を負うことは稀だとされているが、それでもやはり攻撃されれば危険に変わりはない。
公園管理局は、バイソンから少なくとも23メートル離れるよう警告するだけでなく、他の野生生物にも敬意を持って距離を保つよう注意を促している。
ちなみに、アメリカバイソンは1900年代初頭には、米軍の駆除によって個体数がわずか20頭ほどまで減少したが、その後大規模な保護活動のおかげで個体数が上昇し、2021年夏の時点で公園内には5450頭が生息、また北米全体では約3万頭にまで数が増えているということだ。
References:Three people gored by bison in a month at Yellowstone National Park. Why do these attacks happen? | Live Science/ written by Scarlet / edited by / parumo
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