
メンズファッションバイヤー&ブロガーのMBです。洋服の買いつけの傍ら、「男のおしゃれ」についても執筆しています。連載第385回目をよろしくお願いします。
◆「セールで買ってはいけないもの」の特徴
いよいよ7月になり夏のセールが一斉に始まりました!
新宿伊勢丹クリアランスセール初日には大勢のお客様がグルリと建物を囲んで行列していたそうで、盛り上がりを感じさせます。
今回はそんなセールに対する心構え「セールで買ってはいけないもの」をレクチャーします。
◆セールのNGアイテム①「春コート、春アウター」
今年は上海ロックダウンなどの影響で物流が大混乱となり、アパレルブランド各社では春アウターの納品ズレが多発。1~2月頃に届くアウターが5~6月に発売というところも決して珍しくありませんでした。
そのため、今回のセールでは軒並み良品春アウターが値下げされています。
しかし、「これはお得!」と食いつく前にちょっと待った。コットン素材の春アウターなどは今買っても活用の場はおよそ1年持ち越しです。
◆ファッションのトレンドはすぐに変わる
もちろん季節感が合えば、春アウターを次の秋に着ることもできるでしょうが、春らしい色合いや素材感のトレンチコートやマウンテンパーカーなどであれば、次の春を待たねばならないでしょう。
次の春、つまりおよそ1年先になるわけですが…その頃には今と気分が変わっているはず。ファッションにはトレンドがあります。トレンドとは我々の気分を反映したものです。
つい先日までスキニーパンツがいかにもカッコよく見えていたのに、今ではワイドパンツやルーズなテーパードパンツがきれいに見えているではないですか。
◆生鮮食品同様、服にも旬がある
次の秋冬くらいならともかく、「来年まで持ち越す」となると購入時の気分とまったく同じとはなりにくいはず。
服が好きファッションが好きな人であれば、なおさら夏のセールで春コートを買うのはやめましょう。
来年まで持ち越しって言っても、いざ来年になったら気分が変わり「腐っちゃう」もの。生鮮食品と同じで味わう期間が決まっているのがファッションなのです。
◆セールのNGアイテム②「セール開始から1週間すぎたもの」
アパレルのセールは大変お得なもの。入荷からわずか3か月ほど経っただけで30%OFFになるという大判振る舞いの慣習がもう何十年も続いています。
もちろん消費者もそれに慣れていてお得だからとセール初日は行列ができるもの。そして、当然のことながら「良いものほど初日や二日目などに早く売れていく」わけです。
使いやすい服、トレンドライクな服、今季の「当たりデザイン」などは軒並み初日に完売。あとは着る人が少ない特殊なサイズだったり変な色だったりが長生きするものです。
◆「セールは1週間経つと焼け野原」が販売員の常識
「残り物には福がある」などと便利な言葉がありますがとんでもない。消費者行動は「常に得をするように動く」のが常識。いいものから早く売れていくに決まってるのです。
アパレル販売員なら誰もが知っている「セールは1週間経つと焼け野原」だと。セールに行くなら開始から1週間以内。
それ以降は余程の審美眼か運がないと良品には辿り着けません。頭に叩き込んでいきましょう。
◆セールのNGアイテム③「サイズや色の妥協品」
セールに行くとよく売れるサイズ・色はすっかり欠けてしまうため残ったもので妥協しようとします。
しかしちょっと待った。特にメンズにおいてはサイズは肝心要の要素です。レディースと異なり装飾が少なくシンプルデザインが多いメンズにおいてはしっかりとサイズを整えることが重要。
本来Mでコーディネートするのが理想なところをLにしたりSにしたりとサイズで妥協すると途端に野暮ったくなります。
◆上級者でなければ、ズラす着こなしは難しい
上級者であればあえてサイズをズラす着こなしも可能ですが、コーディネートに自信がないのならまずはサイズをしっかり自分に合わせていくことを考えましょう。
セールはついつい値段に惹かれてサイズや色を妥協しがち。でも、結果それをすることで着る機会のない無駄買いをしてしまうものです。
以上、「セールで買ってはいけないもの」でした! ぜひご参考に!
【MB】
ファッションバイヤー。最新刊『MBの偏愛ブランド図鑑』のほか、『最速でおしゃれに見せる方法 』『最速でおしゃれに見せる方法』『幸服論――人生は服で簡単に変えられる』など関連書籍が累計200万部を突破。ブログ「Knower Mag現役メンズバイヤーが伝えるオシャレになる方法」、ユーチューブ「MBチャンネル」も話題に。年間の被服費は1000万円超! (Twitterアカウント:@MBKnowerMag)

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