TOKYO MX地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。7月1日(金)放送の「モニフラZ議会」では、Z世代の論客が、来る参院選に向け“賃上げ”について議論しました。

◆諸外国に比べ上がらない日本の賃金

新型コロナに加え、物価高の影響で家計への負担が増していますが、そうしたなかで世間の人々の多くが求めているのは“賃上げ”です。現状では、今年の春闘で賃上げ率が2000年以降2番目の高さとなる2.09%アップしたものの、4月の実質賃金は1.7%減。これはどういうことかといえば、物価上昇に賃金の上昇が追いついていない状況です。

街頭の声を聞いてみると、「基本給が上がればもう少し頑張れる」(23歳 女性・接客業)、「労働に見合った給料や制度を整えてもらえると安心して社会に出ていける」(21歳 男性・大学生)、「給料が高くなればなるほど税金を払う必要があり、そこはどうにかしてほしい」(25歳 女性・事務)といった声に加え、「期待していない」(24歳 男性・不動産業)という辛辣な意見もありました。

これに対し、アフリカの紛争問題を研究する東大院生の阿部将貴さんは「アメリカをはじめ、海外の賃金上昇率は軒並み安定して3~4%を出している」と世界と比較し、「どうして日本がここまで上がらないのか気になる」と首を傾げます。

パラスキーヤーで起業家の青木大和さんは、アメリカは、雇用の流動化が激しく、コロナ当初は多くの企業が大規模な解雇を行い、失業者が増えたと解説し、一方で日本は「アメリカと近しい状況だったと思うが、日本は労働者が守られている。経営者の立場からすると、給料を下げたり、会社が苦しいからといって解雇することは難しい」と話します。

また、物価上昇も肌で感じているものの、コロナ禍の2年は多くの企業が経営的に本当に苦しく、にわかに賃上げすることは困難。青木さんは「一概にアメリカと比較できる問題ではないと思う」と語ります。

臨床心理士のみたらし加奈さんも青木さんに賛同しつつ「雇用の流動化もそうだし、もう少し融通が効くようにしていかないと、民間企業もしんどいのではないか」と案じます。

独立行政法人労働政策研究・研修機構が出している「G20先進国における20082019年の実質賃金平均指標」を見ると、日本の賃上げ率は緩やかに下降し、特に2010年代以降は非常に厳しい状況です。一方、韓国やドイツオーストラリアアメリカフランスカナダなどは先行きの見えない世界情勢の中でも賃金上昇を成し得ています。

独立行政法人労働政策研究・研修機構のグラフを見て、阿部さんは「日本は賃金が下がっているし、海外の伸びに全く追いついていないが、唯一利点があるとすれば(諸外国に比べ)失業率が圧倒的に低いこと」と指摘。「要するに、賃金が高くなると失業率が上がるので、僕らがやらないといけないのは、失業率をそのままに賃金を上げること」と訴えます。

街頭の声を聞いてみると、「基本給が上がればもう少し頑張れる」(23歳 女性・接客業)、「労働に見合った給料や制度を整えてもらえると安心して社会に出ていける」(21歳 男性・大学生)、「給料が高くなればなるほど税金を払う必要があり、そこはどうにかしてほしい」(25歳 女性・事務)といった声に加え、「期待していない」(24歳 男性・不動産業)という辛辣な意見もありました。

この“期待していない”という言葉に「これは学習性無力感のようなもので、もうないのが当たり前」とみたらしさん。「私たちの世代は上の世代から、『なぜ車やマイホームに興味がないのか』と言われ、“いや、買えないんだよ”といつも思っていたが、本当にそういう社会になってきた」と現状を案じます。

また、堀は経営者である青木さんに「賃上げはしづらいのか?」とストレートに質問すると、コロナの影響もあって「とてもしづらい」と苦しい返答が。ただ、地方の中小企業と話していると跡継ぎ問題などもあってM&Aが活発化しており、デジタル庁創設の流れで業務のデジタル化が加速したことで、利益幅の改善や体質改善が進み、収益構造も変化。青木さんはその成果が「あと2~3年には少しずつ出てくるのではないか」と自身の手応えを語ります。

◆日本は30年間成長していない!?

参院選における各党の賃上げ政策を見てみると、「最低賃金」に関してや「企業への補助金」、そして「人への投資」などが挙がっています。堀は「減税か補助か具体的な政策かなどいろいろ富んでいる」と語りつつ、「全部やったらいいんじゃないか」と熱望。

これらの政策のなかで、阿部さんが注視していたのは「最低賃金」。「必ずしも上げればいいというものではないと思う」と異議を唱えます。というのも、最低賃金で働いている人のなかには、お小遣い稼ぎ程度の人から生活の糧としている人までグラデーションがあるだけに「それを全て上げてしまうのは経営者のリスクに繋がる」と危惧。「例えば、長く働いている人、週40時間以上働いている人には給料を上げるといったシステムがあってもいいと思う」と提案します。

アメリカでは一昨年から去年にかけて4.2%、去年から今年にかけて5.0%賃金がアップしていますが、なぜ日本では上がらないのか。専門家のみずほリサーチ&テクノロジーズ酒井才介上席主任エコノミストに聞いてみると、「日本は30年経済成長していない」との厳しい言葉が。円安や燃料価格上昇により値上げしていますが、本来はもっと上げなければいけないところ、なかなか上げることが出来ず、値上げができないから賃上げできず、賃上げできないから消費も上がらないという“悪循環”が起きているとの指摘も。一方、アメリカは好景気で、消費が強く、労働者が売り手市場であることが大きいとか。

では、日本は今後どうすればいいのか。酒井さんはデジタル化や人材の創生で企業価値を上げ、経営体力を上げ、賃金アップに繋げていくべき」と話しています。

こうした状況に、みたらしさんは「民間だけに頼りすぎないこと」と行政の支援を求めます。さらには、臨床心理士として「経済状況はメンタルヘルスに関わってくることだと思う。個人のお財布は自殺率に繋がることもあると思うので、(経済対策は)本腰を入れてやっていかなければいけないところ」と危機感を募らせます。

最後にZ議会を代表し、阿部さんが提言を発表。それは「賃上げ税制の見直しを!」阿部さん曰く、現状では中小企業向けの賃上げ促進税制として、従業員の賃金の総額を前年度比1.5%上げると法人税が減税されるものの、「これは賃金の総額が1.5%上がればいいので、全員の給料を上げず、一部だけ上げても成立する」と問題点を示唆。そして、「全員の賃金の上昇率を見るような制度に変えるだけで広く等しく賃上げが行われると思う」と期待していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter@morning_flag

諸外国は賃金アップしている一方で、日本はなぜ上がらないのか #参院選