これを見てすぐにカニ!と即答できる人はどれくらいいるだろう?じっくり見れば白いハサミがちょっとだけ見えているのでもしかしたらと思うかもしれないが、もはや生物というより、ぬいぐるみのようだ。
このカニは、スポンジ・クラブ(Furred sponge crab)の新種だそうだ。スポンジ・クラブはカモフラージュのために海綿を身に着けることで知られている。
新たに発見された種は、おしゃれ上級者のようで、全身を覆うほどに海綿をたっぷりと身にまとっている。
New crab species discovered off the coast of Australia
主にオーストラリアの海岸に分布しているスポンジ・クラブの新種が、西オーストラリア州南部オールバニーの海岸で発見された。
西オーストラリア博物館によると、「ラマルクドロミア・ビーグル(Lamarckdromia beagle)」と命名されたこの新種は、他のスポンジ・クラブ同様、外骨格に細い毛が生えていて、フック状になっている先端で海綿や藻類を取り付けているという。
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仲間のカニと比較して圧倒的に異なるのが、そのモフモフ度だ。
同博物館の甲殻類・ワームの専門家、アンドリュー・ホージー博士はこのように述べている。
スポンジ・クラブは、海綿をはさみで整えて形を変え、体の形に成長させ、帽子や保護毛布として使用し、タコや魚などの捕食者から身を守ります。
カニ科の中では、カモフラージュ自体は広く行われていますが、スポンジ・クラブは生きている海綿を持ち歩くという珍しい行動をするカニです。
これらのカニの仲間は、ある程度毛深いですが、その中でもラマルクドロミア・ビーグルはかなりの量を身に着けています。
ラマルクドロミア・ビーグルはかなりのおしゃれ上級者のようで、別の海綿を帽子のように被ったりなんかもする。
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カモフラージュしていない時の姿は実にシンプル
全身をびっしりとモフモフの毛で覆っているラマルクドロミア・ビーグルのありのままの姿は、とってもシンプルだ。
だが、一旦カモフラージュすると、全身が海綿のようになるため、さすがにこれでは捕食者もカニとはわからないかもしれない。
この種が、なぜここまでモフモフにしているのかは、まだ解明できていないようだ。
ちなみに、ラマルクドロミア・ビーグルの”ラマルクドロミア”は属名だが、ビーグルは1836年にオールバニーを訪れたチャールズ・ダーウィンの調査船ビーグル号にちなんで名付けられたそうだ。
今のところこの新種はオールバニーとナチュラリスト岬の間でのみ見つかっている。
で、みんなが知りたいところはあれだよね、食べたらおいしいかどうかだよね。まったく別種だけどある程度は毛がある毛ガニはおいしいから、期待しちゃうところだよね。
でも希少種だし、海綿には多様な細胞毒性物質が含まれているというから、味見は無理かな?
この研究は『journal Zootaxa』誌に発表された。
References:Can you spot the crab in this photo? (Hint: It's under the fuzz.) | Live Science/ written by Scarlet / edited by / parumo
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