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◆あまりにも盛り上がらない参議院選挙

 書くことが無い。あまりにも参議院選挙が盛り上がらないので。しかし、野党第一党党首の泉健太君の今の状況があまりにも忍びないので、書く。結論を一言で書く。泉よ、相談なら乗るぞ! 本来なら、もっと早く相談してくれれば……。

 私事だが、立憲民主党の泉代表は、大学の弁論部の後輩にあたる。私は中央大学辞達学会、泉は立命館大学雄弁会だが、当時の弁論部はインカレサークルだったので、大学は関係ない。

 今は立憲民主党の当選3回の森山浩行代議士が当時は明治大学雄弁部にいて、関東中の弁論部が集まった全関東学生雄弁連盟の委員長だった。学年で言うと、森山3年、倉山2年、泉1年。その森山さんが全関東だけでなく、関東以外の弁論部を集めて「全日本にしよう」と言い出したので、私は仙台から福岡まで日本中飛び回り、全日本学生弁論討論交流会を設立した。初代会長が森山さん、第三代会長が泉だった。ちなみに私は初代事務総長。という仲なので、泉の今の状況は、あまりにも忍びないので、御忠言申し上げる。

◆工夫もなく普通のことだけやっていれば、ジリ貧は当たり前

 昨年の衆議院選挙の大敗で枝野幸男前代表が退陣、4人の候補が乱立した選挙で泉代表が選ばれた。しかし、対立候補の3人全員が執行部入り。党内融和だけを演出する人事となった。初手から間違え方を間違えている。立民の多くの議員が、「この党は参議院選挙の後は、どうなるかわからない」と怯えていたが、参議院選挙の後は自民党にとって「黄金の3年間」だ。野党に未来など、ありはしないのに。参議院選挙を勝ち抜くことがすべてだったのに、泉ら幹部たちは普通の事を普通にやって、普通に負ける態勢が出来上がっていた。何の工夫もしなかったのだから、ジリ貧は理の当然だろう。

 泉執行部では若返りができた。泉代表は当選8回。当選9回以上の「みんなが想像する民主党」の面々は役職を離れ、8~2回の中堅若手だけで国会運営他すべてを切り盛りしていた。結果、泉体制を支えるべき中堅若手は疲弊、それを旧幹部は高みの見物。元気いっぱいで参議院選挙後に権力を奪い返す気が満々だ。既に「蓮舫・辻本清美で立て直し」の名目で党を乗っ取ろうとの動きが露骨だが、そうした勢力の発言力は日に日に増している。

◆今や立憲民主党には、もはや解党するエネルギーすら無い

 泉代表は国会で「金融緩和をさっさとやめろ」「防衛費倍増など、とんでもない」などと自民党に頓珍漢な迫り方をしているが、本心なのだろうか。むしろ、パヨクの寝言に付き合わねばならないのが、実態ではないのか。

 正直、立憲民主党には一刻も早く潰れてほしいと思う。彼らがマイノリティーの代表でありたいならば、野党第一党の地位に居座り国政を混乱させるべきではない。しかし今や立憲民主党には、もはや解党するエネルギーすら無いではないか。

 ならば、泉には何が何でも代表の地位にしがみついてもらわねばならない。参議院選挙の結果が、どんなに無残であっても。絶対に代表の座をパヨクに売り渡されては困る。

◆野党第一党でいることが勝利条件だと勘違いしている時点で、病気が深刻

 そもそも、選挙に何回負けても反省せず野党内政局で勝って権力を独占してきた連中に対し、たった1回だけ参議院選挙に負けたくらいで代表の座を渡す必要はない。ちなみに勝手に負けた前提にしているが、今の立民が与党をねじれ国会に追い込めるなど、誰も想像できまい。「みんなが想像する民主党」の連中は、野党第一党でいることが勝利条件だと勘違いしている時点で、病気が深刻だ。野党にとって参議院選挙の勝利とは、与党から第一党の地位を奪うこと。かの土井たか子など、1回の参議院選挙自民党を過半数割れに追い込んだ。そういうのを勝ちと言うのだ。菅直人岡田克也小沢一郎と言った人々も、参議院選挙自民党から第一党の地位を奪ったことがある。それが、いつしか何が勝利なのかすら忘れてしまったのが、なんちゃら民主党の成れの果てだ。

 ただ、即座に代われる政党が無い。政策において秀逸だった国民民主党は、予算に賛成しながらトリガー条項発動(つまりガソリン値下げ)に応じてもらえなかったことで、与党に利用されただけの格好になってしまった。日本維新の会は徐々に党改革が進み、躍進の機会を狙うが、3年ごとに半数改選という参議院の制度上、1回の選挙で野党第一党になるのは難しい。となると、選挙後も立憲民主党が潰れない限り野党第一党だ。この状況で、絶望的なまでに頭がオよろしいパヨク勢力に野党第一党党首を譲れば、それだけで日本の憲政は不健全となる。

共産党に同調しかねない人間が野党第一党党首では国家の危機

 秋以降、皇室の問題が本格化する。そんな時に、共産党に同調しかねない議論を持ち出す人間が野党第一党党首だと、国家の危機だ。この点では、与党に鋭く迫りながらも、皇室の問題では冷静な議論を行っている日本維新の会こそ野党の模範的な態度だろう。見習うべし。

 安全保障に関しても、そうだ。ウクライナ事変で日本は、米英支持の態度を鮮明にしている。先日も岸田首相はNATOに招かれていたが、その場で米欧はロシアを敵認定、中国を仮想敵呼ばわりしていた。そんな状況で軍事抜きの外交で舞い上がっても意味が無い、と健全な批判を行える野党第一党でなければ困る。

 泉は「民主党以来、ブルーバッジをつけて代表選挙に出た唯一の候補」ではないか。ブルーバッジとは、北朝鮮拉致被害者を奪還する人々のバッジだ。マトモな野党第一党党首たりえる人士は、泉健太をおいて他に誰がいる。

◆泉代表は味方を集め、「党を割るぞ」と恫喝するくらいの根性を

 では、どうするか? 絶対に裏切らない23人の衆議院議員を固めるのが、すべての始まりだ。この場合、1秒で思想信条を変えるような、日和見主義者は不要。何があっても泉代表と行動を共にする人々で固めねばならない。

 主要野党の代議士は、立民97人、維新41人、国民11人。仮に23人が脱党して維新国民と組めば、残った74人よりも数が多く、第一会派を組める。もちろん、反乱分子を追い出してもよし。44人がいれば、第一党堅持だ。そこまでいなくても、31人いれば、国民と組めば維新より多い。だから、23、31、44という数字を固めることが、至上命令になる。

 かつて三木武夫首相は弱小派閥ながら政権奪取、数で勝る反主流派を「ならば自民党を割るぞ」と脅し、反乱を叩きのめした。

 泉代表は本当に信頼できる味方を集め、「党を割るぞ」と恫喝するくらいの根性を見せる局面が来ている。

【倉山 満】
’73年、香川県生まれ。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中より国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務め、’15年まで日本国憲法を教える。ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰し、「倉山塾」では塾長として、大日本帝国憲法や日本近現代史、政治外交についてなど幅広く学びの場を提供している。著書にベストセラーになった『嘘だらけシリーズ』のほか、『嘘だらけの池田勇人』を発売

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参院選の公示日である6月22日、立憲民主党の泉健太代表は第一声で「立民は物価高と闘う。そのためにも、いま必要なのは緊張感のある国会だ」と強調したが…… 写真/産経新聞社