気象予報士・千種ゆり子

「まるで梅雨が戻ってきたみたい」という声も聞かれる最近の日本列島。まさにその実感通りで、この先も梅雨のような天気が続く予想です。7月中旬といえば、例年なら梅雨の末期。3連休にかけては「梅雨の大雨」に警戒が必要です。気象予報士千種ゆり子が解説します。


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■「まるで梅雨」この時期らしい天候が戻る

「最近、まるで梅雨が戻ってきたみたい」と、知人から声をかけられました。まさにその実感通りで、この10日間の日照時間は、関東から西で、平年並みかやや少なくなっています。

日照時間10日合計

7月上旬~中旬といえば、例年ですと梅雨末期・最盛期にあたる時期ですから、例年のこの時期らしい天候が戻っているといえます。


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■3連休にかけて激しい雷雨のおそれ

あさって16日(土)の天気図をみても、日本付近に停滞前線が伸びています。

天気図

今回厄介なのが、上空の寒気です。3連休にかけて、上空の寒気が居座りそうなので、大気の状態が不安定となり、「局地的な大雨」の恐れがあります。

 ■超・局地的な豪雨は12日にも

12日には埼玉県鳩山町周辺で、局地的に雨雲が発達。3時間で263.5mmの記録的大雨となりました。しかしこの豪雨が降ったのは、非常に局地的でした。

解析雨量

鳩山町ひし形のような形をしていて、対角線でみると5km×10km。面積だと約25㎢で、気象屋からすると、かなり狭い範囲に集中して降ったという印象です。これだけ狭い範囲の豪雨の場合、正確な予報が難しく、「きょうは鳩山町で豪雨となりそうですよ!」というレベルの予報は、現時点では不可能です。


■「雷雨リスクの予測」は十分可能

「〇〇市で局地的な豪雨」というレベルの予報は難しくても、「〇〇地方のどこかで激しい雷雨になりそう」というレベルでのリスク予測であれば十分に可能です。似たような大気の状態の不安定さが、15日から予想されます。

発雷確率

激しい雷雨・ひょう・竜巻などの突風に警戒してください。


■3連休最終日は西から低気圧が接近

低気圧

3連休の最終日は、寒気は去るものの、九州に別の低気圧が近づき、大雨の恐れがありますので、引き続き注意が必要です。

最後に、こぼれ話的に。6月下旬に気象庁から梅雨明けの発表があり、今は梅雨明けしていることになっているのですが、例年であれば今の時期はまだ梅雨であり個人的には「まだ梅雨っぽい」と考えていること、上空の寒気が悪目立ちしていて強く作用しそうなため、あえてこの記事では「梅雨の大雨」と表現した部分があります。

梅雨が戻ってきたと思って、大雨情報にも気を配るようお願いします。

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(取材・文/Sirabee 編集部・千種ゆり子

3連休にかけては「戻り梅雨」激しい雷雨に警戒を 気象予報士が解説