新型コロナウイルスの感染第7波の到来で、プロ野球界を襲うウイルスの猛威も、一段階上がったようだ。ヤクルト高津臣吾監督や、山田哲人青木宣親ら主力を含むチーム内関係者28人が一気に集団感染。9、10日の阪神戦(神宮)を2試合続けて中止にした。

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 事の発端は8日、2軍にいた石山泰稚と育成契約の丸山翔太の2人が陽性判定を受けた。翌9日に前述した3人や、田口麗斗清水昇ら1、2軍16人が感染。続く10日にも中村悠平塩見泰隆ら9人が陽性となり、主力の離脱者が相次いだ。

 チームは13日の中日戦から、選手を大幅に入替えてリーグ戦を再開。最下位チーム相手に主力離脱が響いた形で連敗し、歴代最速で点灯させたリーグ連覇への優勝マジックは消滅してしまった。集団感染の影響がもろに響いた格好だ。

 ヤクルトだけではない。西武では12日に松井稼頭央ヘッドコーチの感染が判明。翌13日には源田壮亮増田達至ら選手6人、スタッフ2人の計8人が陽性判定を受けた。先のコロナ集団感染の影響で失速していた首位ソフトバンクを捕らえようかというタイミングで、こちらも主力にウイルスが直撃である。

 これまでもコロナ下においての1年目であった2020年から、チーム内での集団感染はたびたび起こってきた。しかし、今回のヤクルトでの集団感染は過去の事例とは異質の規模の大きさとなった。

 一つには報じられている通り、オミクロン株の中でも感染力がより強いBA5株の広がりがあるだろう。日本全国で見ても感染者数の激増が続いており、1日の全国の感染者数は10万人に迫る勢いだ。

 また、そんな中でもヤクルトの規模のクラスター発生は、これまで球界にはなかった。コロナ慣れからの感染対策への気の緩みが指摘されても仕方のないところだろう。逆に無防備でいれば、たった一人のキャリアから瞬く間にこれだけの数の人間へ感染させたということで、改めてBA5株の恐ろしさが浮き彫りとなった。

 NPB内においては、現役選手の3度目の新型コロナウイルスワクチン接種が思うように進まない、というジレンマもある。機構側はコロナ禍となって以降、指導を仰いできてた専門家チームの指示の下、選手たちへの接種を促してきたが、これが進んでいない。アスリートにはどうしても副反応に対する嫌悪感が強いというのだ。

 「幸い前半戦が終われば、わずかな間ではあるがオールスターブレークを迎える。そこで何とか接種を進めてもらえるように訴えるしかない」とNPB関係者は口を揃える。昨夏は東京五輪が開催されたため、約1カ月間の中断期間があり、その間に多くの選手らが2度の接種を済ませることができた。その効果ももう薄れてきているところではある。

 停滞していた3度目のワクチン接種は、球界に突如広がった集団感染に対する効果的な処方せんとなるか。また昨夏のオールスターでは、その副反応の影響で一部の選手たちが出場を辞退せざるを得なかった。2年連続で夢の球宴がそんな事態に陥らないよう、祈るばかりである。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]


球界でも猛威振るう第7波、頼みのワクチン接種で昨夏に続き球宴辞退者続出か