安倍晋三元首相が亡くなった8日の事件は、日本国内だけでなく世界各国にも衝撃を与えた。
総理として2期9年近く務めた功績は計り知れず、それは弔問に訪れる人が絶えないことからも十分に理解できる。しかし、安倍氏が積み重ねてきた功績は、外交・安全保障上、とてつもなく重い。
■米国以外の関係強化に尽力を注いだ
仮に、安倍氏が総理を務めていなかったら、おそらく今日にはない日米関係、その他諸国との外交関係があったと言っても過言ではない。
安倍氏は地球儀外交を展開し、自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、日本と米国以外の国々との関係強化に尽力を注いだ。
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■日本のプレゼンス示すことに成功
東南アジアや南アジア、中東やアフリカ、中南米など地球儀を俯瞰する外交を次から次へと展開し、国際社会での日本のプレゼンスを強烈に示すことに成功した。
また、自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、米国とインド、オーストラリアの4ヶ国からなる枠組みクアッドの創設にも尽力を注ぎ、それは今日でもバイデン政権や岸田政権に受け継がれている。
■実現した集団的自衛権の行使
さらに、安倍氏の功績で忘れてはならないのが集団的自衛権の行使を認める憲法解釈の変更だ。
日本への直接的な攻撃に対して最小限の武力行使しか許されなかった自衛隊は、親密な他国が攻撃を受けた場合でも、(1)日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由と幸福の追求権が根底から覆される明白な危険がある、(2)日本の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がない、(3)必要最小限の実力行使にとどまる、という3条件をクリアすれば集団的自衛権を行使できるようになった。
■外交・安全保障上の大きな財産
歴代政権は憲法上の制約からそれはできないとしてきたが、中国の台頭や科学技術の発展など日本を取り巻く安全保障環境の変化を柔軟に的確に捉えた安倍氏の判断だった。
こうした安倍氏の功績は、日本の外交・安全保障上の大きな財産といえるだろう。
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