一時のような状態ではないものの、もう少しかかりそうです…。

物流の混乱は「複合的な要因」?

アメリカ・ロサンゼルス中心部から約30km南に立地するロサンゼルス港、そしてそれに隣接するロングビーチ港は、北米、そして世界有数の“物流の要所”です。ただし、新型コロナウイルス感染拡大による“巣ごもり需要”などを発端とし、大きな混乱が生じ、多くの貨物船が沖合に滞留する事態が発生しました。2022年6月末、その現状を見てきました。

こうした貨物の停滞は、物流を滞らせるだけでなく、物価高の原因にもなっています。ロサンゼルスの港で起こっている船の混乱は「複合的な要因」と話すのは現地の関係者。同氏の言葉をまとめると、原因として挙げられるのは次のようなものだそうです。

・積み下ろし作業をする担当者の不足。
・トラックと鉄道に積み付ける人と場所の不足。
・運転手がいないことに加え、トラックが牽引する、コンテナを乗せる車台(シャシー)の管理が追いついていない。シャシーは船会社が管理していて、需給調整をしていて製造も十分ではない。
・世界的な船が滞留していることによるコンテナ問題。本来アメリカ着のほうが貨物の取扱量は多く、空のコンテナを送り返さないといけない状況の中、船便の流れが滞っていることで、米国側にコンテナが溜まった状態に。搭載時には、積み上がった状態のコンテナを整理しなければいけないので、いっそう遅れる。

航空輸送は頼りの綱となるのか?

船の滞留はピーク時よりも落ち着いており、6月末に滞留している船は20隻程度ですが、ピークは120隻だったといいます。「条件が重ならないと改善は難しいだろう」というのが、同氏の弁。なお、ロサンゼルス港の発表によると、2022年6月には、6月期としては過去最高となる87万6611TEU(20フィートコンテナの数)を取り扱ったとのことです。

この一方で、なかば海上輸送混乱の“代替案”として、売上を伸ばしているのが飛行機を用いた航空輸送です。ただ、こちらについても物量の面では船と比べて圧倒的な差がある、と事情に詳しい人は話します。

「貨物専用機は大型のもので20フィートコンテナ6個分、重さにして120t程度を運べるのに対し、コンテナ船は1度に4000個ものコンテナを輸送できます。つまりこう考えると、コンテナ船1隻が1度に運ぶ量は、“貨物機1機が毎日運航し1年運べる量”に相当するんですよね。太平洋間の国際物流において、航空輸送が占める割合はたった1%といわれています」(先出の人物)

ロサンゼルス港(2022年6月、乗りものニュース編集部撮影)。