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首の痛みを訴えカイロプラクティックの施術を受けた女性が今年6月、脳梗塞を発症し体が麻痺してしまった。このほど女性の家族がインタビューに応じ、カイロプラクティックによる首の治療の危険性を訴えた。『People.com』などが伝えている。

ケイトリン・ジェンセンさん(Caitlin Jensen、28)は今年5月、米ジョージア州のジョージアサザン大学を卒業し、化学と生物学の学位を取得、アラスカ州シトカにあるサイエンスセンターにて1年の勤務経験もあることから将来を嘱望されていた。しかし6月16日、首の痛みを治療するために訪れたカイロプラクティック院にて悲劇が起きた。

カイロプラクターが首の調整を行った直後、ケイトリンさんは急に気分が悪くなり、同院から救急車ジョージアサバンナにあるメモリアルヘルス病院の緊急治療室へ搬送された。

病院で行われた検査では、首の血管が裂けてしまう「椎骨動脈解離」が認められ、脳出血を起こしていることが判明。その後脳梗塞を起こし、10分間以上も脈拍が確認できない心停止の状態が続いた。医師はケイトリンさんの蘇生に成功するとすぐに手術を開始、動脈の切断個所を処置し、そのうちの1本にはステント治療が行われた。

ケイトリンさんは外から頭部に強い力が加わって起こる「外傷性脳損傷」を起こしており、事故から1か月が経過した現在も神経集中治療室(Neuro ICU)に入院中で危険な状態を脱していない。しかし意識はあり、声をかけると瞬きをしたり親指を立てたり下に向けたりして反応しているそうで、わずかだが体の左側だけ動かすことができるという。

ケイトリンさんの母ダーリーンさん(Darlene)は「娘を診察した医師は皆、『首のマニピュレーション(治療)が脳梗塞を引き起こした』と言っています。実はカイロプラクターは緊急通報をした後、私に電話をしてきたのです。治療によって娘が何らかの反応を起こしたとね」と述べるも、ケイトリンさんが椎骨動脈解離を起こしたのは施術の前だったのか、それとも後だったのかなど正式な原因が判明しておらず、家族は弁護士を雇っている。

一方でケイトリンさんの治療を行った施術者はコメントを控えているが、ジョージアプーラーのカイロプラクター、スティーブ・ラニツキ医師(Dr. Steve Ranicki)は「ケイトリンさんのケースは非常に稀」と述べ、このように説明した。

「頭痛や首の痛みの原因が椎骨動脈解離の場合、患者が医師やカイロプラクターのもとを訪れると脳梗塞を発症するのです。椎骨動脈解離は、美容院で頭を後ろに倒したり、乗馬などでも起きるのですよ。」

なお家族は体が麻痺してしまったケイトリンさんの治療やリハビリのために、クラウドファンディングサイト『GoFundMe』を立ち上げており、今後はケイトリンさんをアトランタリハビリセンターへ転院させることを目標にしているそうだ。同サイトではケイトリンさんが最近、強く手を握り返してきたことや言葉がけに対してうなずいたことなどが報告されており、目を開けて少しの間起きていることもあるという。

ダーリーンさんは「娘はとても強い子。娘の今後について私たちはポジティブに考えている」と前向きに述べており、最後にこのように注意喚起した。

「娘のストーリーが注目されることで、同じようなことが二度と起きないように願っています。どうかカイロプラクティックで首の治療は受けないでください!」

ちなみに『GoFundMe』には、ケイトリンさんへの励ましの言葉や祈り、同じような経験をした人からの次のようなメッセージが届いている。

「まだまだこれからの人。負けないでリハビリに励んでほしい。」
「私の夫も11年前、カイロプラクティックで首のマニピュレーションを受けて脳梗塞を起こした。でも彼は回復したわ。あなたの回復を祈っている。」
「私の夫もカイロプラクティックで椎骨動脈解離、脳梗塞を起こし、誤診で治療が遅れてしまった。椎骨動脈解離はそんなに珍しいものではない。とにかく多くの人にこのことを知ってもらいたい。」
「私も2001年に動脈解離を起こした。かなり前から危険であることは分かっていたこと。カイロプラクターは首の治療を行うべきではない。」
「絶対あきらめないで! 幸運を祈っているわ!」

画像は『New York Post 2022年7月13日付「Georgia woman paralyzed, in ICU after routine chiropractor visit: report」(GoFundMe)(WJCL)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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