第26回参議院議員通常選挙」(以下、参院選)の実施から早や一週間が経過。

選挙といえば投票数や投票率に注目が集まりがちだが、ツイッター上では投票所の張り紙に施された「仕掛け」に注目が集まっていたのをご存知だろうか。

【話題のツイート】一件、普通の張り紙だがよく見ると…


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■少し変わった「矢印」を発見

話題を呼んでいたのは、プログラマーとして活動中の夢野ハダリさんが投稿した一件のツイート

こちらの投稿には「投票に行ったとき、感動することがあった。案内の標識の方向を示す矢印が『–』だけ印刷されていて方向は手書きだった。印刷時点ではなく貼る段階でその紙の設置場所に依存した情報を評価できるので、事前に設置場所を覚えてその枚数印刷する必要もない。思わず立ち上がって拍手してしまった」と、投票所での発見について綴られている。

投票所

「方向は手書き」というフレーズに首を傾げつつ、添えられた写真を見ると即座に納得。一件すると「印字された矢印」に見えた張り紙の表記だが、じつは矢印の先端部分のみ「手書き」で表記されていたのだ。


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■「絶対仕事ができる人」と称賛

夢野さんのツイート本文にもあったように、本来は「投票所は」と書かれた下に「–」が印字されただけの張り紙。これだけでは道案内に使用することができないが、進行方向を追記すれば「どんな場所にでも使用できる」という汎用性が秘められていたのだ。

件のツイートは投稿からわずか数日で5,000件以上ものRTを記録しており、他のツイッターユーザーからは「これまさに、現場の知恵ですね」「あらゆるイベントの看板とかで応用できそう」「これはグッドデザイン」「原紙を作った人、絶対仕事できる人だわ」といった称賛の声が相次いでいる。

投票所

中には「どうせ手書きにするなら『–』も印刷しないので良いのでは」と感じた人もいるようだが、この「–」があるかどうかで、意味合いが大きく変わってくるのだ…。

■「プログラマー」は思わず共感?

ツイート投稿主・夢野さんは神奈川県の某投票所でこちらの張り紙に遭遇したそうで、発見時の様子について「矢印の棒線だけ書かれているので、後から方向を書けば良いデザインになっている、印刷段階ではなく貼る段階で方向を決められるので、事前に印刷枚数を決める必要もない、ということに気づき、興奮してしまいました」と振り返っている。

そして夢野さんが「情報系学部」の出身であることも、今回の発見に繋がっているようで…。


■この「–」があるだけで

前述のように「『–』も印刷しないので良いのでは」という意見も目にした夢野さんだが、この『–』表記には大きな意味があると主張する。

その内容というのが「実際には『–』があることによって『ここは方向を手書きで加える場所』という紙としての役割が、貼る人の立場から一目で分かるような設計になっています」というもの。

投票所

確かに「–」を印刷せず、後から矢印全体を手書きで書くことも大した手間ではないが、たった一つの棒線が加わるだけで紙本来の役目が即座に理解できるデザインに対し、夢野さんは「とても綺麗だと思いました」と賛辞を惜しまない。

というのも、情報学部出身である夢野さんはこちらの張り紙の仕様を受け、コンピュータプログラムの設計や実装における「オブジェクト指向」の継承やインターフェースの考え方に近しいものを感じたというのだ。

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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ

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