甲子園の主役候補でも、地方大会で姿を消してしまうのが夏の高校野球。大人の事情で不可解選考が頻発する春センバツと違って、負ければ終わりの夏の予選は、どの学校に対してもフェアで、非情だ。

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 高校通算74本塁打の花巻東の2年生スラッガー、佐々木麟太郎内野手の夏は不完全燃焼で終わった。23日の岩手県大会準決勝で盛岡中央に敗れ、優勝まであと2勝届かず。高校野球史上かつてないペースで本塁打を量産しているだけに、聖地でのプレーを楽しみにしていたファンは多かっただろう。

 だが、エンゼルス大谷翔平ロッテ佐々木朗希らを育んだ岩手はなぜか、新たな怪物候補が次々と出てくるから不思議だ。岩手大会の大本命、花巻東を倒したのが、盛岡中央152キロ右腕、斎藤響介(3年)だった。

 177センチ72キロと細身の体ながら、最速は152キロ。奥玉真大監督が「軽自動車のボディーにF1のエンジンを積んでいる」という逸材。今夏に入って急成長し、3回戦盛岡市立戦では150キロ台を連発。プロスカウトが見守る前で19三振を奪い、一躍ドラフト候補に浮上した。

 盛岡中央には、2人の偉大な先輩がいる。あこがれのプロで活躍する楽天の銀次。競技は違うが、スキー・ジャンプで2月の北京五輪ノーマルヒル金メダリスト小林陵侑(25)の母校でもある。小林の影響?かはともかく、ジャンプトレーニングを取り入れて足腰とバランスを徹底して強化した斎藤が、抜群のスタミナで勝ち上がってきた。

 注目された佐々木麟との「怪物」対決では、真っ向勝負を挑んだ。146キロ、143キロの直球を2安打されたが、残りの2打席は外野フライに打ち取った。9回9安打2失点と粘りの投球で逆転勝ちし、盛岡中央を14年ぶり決勝に導いた。準決勝まで5試合37回2/3を投げて47奪三振、3失点。防御率は0.72。

 盛岡中央のユニホームはベースが白系で、アンダーシャツがえんじ色。「えんじ色の斎藤」といえば、甲子園ハンカチフィーバーを巻き起こした早実・斎藤佑樹が思い出される。「佑ちゃん」ならぬ、音楽好きの斎藤の父が名付けた「響(きょう)ちゃん」と呼ばれる日がくるかも?

 県内の滝沢市出身。成長著しい岩手のニュースター候補を覚えておいて損はない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

岩手にまた新星!花巻東の怪物を倒した盛岡中央152キロ右腕・斎藤にプロが熱視線