本書は、太宰治をこよなく愛する作家の高橋源一郎さんが、1947年に発表され爆発的ブームを巻き起こした『斜陽』に、太宰文学の核心を見る1冊です。

本書で注目する『斜陽』の登場人物は3人。酒におぼれる小説家・上原、既婚者・上原に恋するかず子、麻薬中毒に苦しむ弟・直治。『斜陽』に描かれた彼らの葛藤とその「声」に、太宰治が込めた思いを読みといていきます。

そもそも太宰治は、『斜陽』をどんな人に読んでほしかったのでしょうか。次の高橋源一郎さんの文章に心当たりのある方は、ぜひ本書で続きを読んでみてください。
  • 本書より抜粋                                                   心の底から「生きていたい」と願う人たちすべてに向かって、『斜陽』という作品は書かれている。『斜陽』の中で、太宰治がやろうとしたのは、ひとことでいうなら「革命」だと思う。政治的な「革命」じゃない。人間のもっと深いところからの「革命」を、太宰治は小説の中に書きこもうとした。それができるのは、ほんとうに絶望したことのある人間だけだ。                          この社会はおかしい。この世界はどうかしている。そんな気持ちを人びとが抱きつづける限り、『斜陽』はいつまでも読まれるだろう。もちろん、現在もだ。                         では、太宰が書こうとした「革命」とは何だったのか。さあ、頁を開くことにしよう。

NHK出版のコンテンツサイト「NHK出版デジタルマガジン」では、本書の「はじめに ~ぼくたちには太宰治が必要なんだ」を試し読みできます。ぜひご覧ください。
https://mag.nhk-book.co.jp/article/10753
  • 内容紹介
はじめに ぼくたちには太宰治が必要なんだ
第1章 「母」という名の呪縛
第2章 かず子の「革命」
第3章 ぼくたちはみんな「だめんず」だ
第4章 「太宰治」の中にはすべてが入っている
特別章 太宰治の十五年戦争
おわりに
  • 著者紹介
高橋源一郎(たかはし・げんいちろう)
1951年広島県生まれ。作家。1981年「さようなら、ギャングたち」で第4回群像新人長篇小説賞を受賞しデビュー。1988年『優雅で感傷的な日本野球』で第1回三島由紀夫賞、2002年『日本文学盛衰史』で第13回伊藤整文学賞、2012年『さよならクリストファーロビン』で第48回谷崎潤一郎賞を受賞。他の著書に『一億三千万人のための『論語』教室』『「ことば」に殺される前に』(河出新書)、『これは、アレだな』(毎日新聞出版)、『「読む」って、どんなこと?』(NHK出版)など多数。
  • 商品情報

書名:NHK「100分de名著」ブックス 太宰治 斜陽 ~名もなき「声」の物語
出版社:NHK出版
発売日:7月25日
定価:1,100円(税込)
判型:四六判並製
ページ数:144ページ
ISBN:978-4-14-081903-6
URL⇒ https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000819032022.html
Amazon⇒http://www.amazon.co.jp/dp/4140819030

配信元企業:株式会社NHK出版

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