「これがオールスターゲームなのか…」。ネット上に野球ファンの失望の声があふれている。26、27日に行われる真夏の祭典・マイナビオールスターゲーム。夢の競演が、新型コロナウイルスの感染拡大の影響をもろに受けている。

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 各チームでの集団感染の影響を受けて、巨人は大勢、菅野智之岡本和真丸佳浩中田翔が辞退。故障の坂本勇人も辞退した。パ・リーグでもコロナ感染した西武・増田達至日本ハム野村佑希が辞退。松本剛又吉克樹は負傷によって辞退した。大会前日の25日には、ロッテ東條大樹も感染によって辞退した。

 先発投手にも疑問符が付いた。第1戦の舞台はペイペイドームであることから、ソフトバンクの育成出身の大関友久が全パの先発に指名された。今季6勝5敗、防御率2・70の左腕だが、直近2連敗中で、最後の20日楽天戦は2回8失点と大炎上したばかり。パ・リーグではファン投票でロッテ佐々木朗希と、昨季沢村賞オリックス山本由伸の2人が選出されている。両右腕で先発マウンドを分け合うと見られていただけに、地元選手とはいえ起用に首をかしげるファンが多かった。

 また代替選手は多くが辞退選手と同じチームから選出された。そこで所属チームにこだわる必要が、果たしてあったのか。西武・増田の代役は本田圭佑ロッテ・東條の代役は小野郁となり、「無理な代役選出は、元々低いオールスターの権威を下げることにならないか?」との声が相次いだ。

 BA5株への置き換わりに伴い、オールスター直前になって新型コロナの感染が大きく拡大した。開催自体に疑問の声や危ぶむ声が上がる中、プロ野球は21日にオーナー会議を開催。議長を務めた巨人の山口寿一オーナーは「オールスター戦は必ず行います」と開催への強い決意を示した。

 その上で「出場予定の選手が感染すれば影響を受けるが、できるだけファンのみなさまをがっかりさせないように開催したいと考えている」と代替選考を進める考えを明かしていた。

 結局辞退者が相次ぎ、代替選手の発表にがっかりするファンを多く出す事態に。そもそも日本はオールスター戦の権威がメジャーリーグに比べて低いと言われ続けてきた。メジャーリーグが1試合の開催なのに対し、日本では2試合開催。これはオールスター戦が日本野球機構NPB)の重要な収入源であるためだ。仮にスター選手に感染が広がろうとも、どんな事態に陥っても中止することはできない事情がある。

 セ、パの選手たちが直接対決する交流戦が導入されて以降、オールスター戦でしか見られない夢の対決はただでさえ消滅した。加えてコロナでスター選手の事態が相次ぎ、主催のNPBサイドは目の前のお金のために開催へ強硬な姿勢を示す。「オールスターの価値をますます下げて、野球人気の足を引っ張る自傷行為でしかない」と冷ややかな野球ファンは多い。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

コロナ感染拡大でボロボロのオールスター強行開催にファンも呆れ顔