日本の低成長、その一因に少子高齢化に伴う人手不足があります。この先さらに高齢化が進めば、日本の経済成長はありえないでしょう。そのような状況を脱却するためにキーワードは、フィリピンにありました。みていきましょう。

コロナ禍で経済が停滞…それでも人手不足の日本

フィリピンの人材を、仕事を国内に引き込んでくる「インバウンド」と、国外に出て外資を稼いでくる「アウトバウンド」に分けて、説明していきます。

インバウンドは、いわゆるBPO、ビジネス・プロセス・アウトソーシングのこと。アウトバウンドは、いわゆるOFW、オーバーシーズ・フィリピノ・ワーカーズのことを指します。この両方がフィリピン経済の発展の礎となっているといっても過言ではありません。

そして日本の課題として「人手不足」があげられます。コロナ禍で飲食店や宿泊業を中心に営業が非常に制限されるなか、人手不足については改善したかのように見えます。しかしコロナ禍の2021年7月時点の調査で、「従業員が不足している」と回答している企業は40.7%にものぼりました。

経済活動が元に戻りつつあるいま、人手不足の傾向は強まることになります。コロナ前の状況を思い出していただければ分かる通り、各産業どこも人手不足が深刻化していました。

世界的に見ても日本はダントツの超高齢化社会です。人口オーナスともいい、労働人口が非常に少ない状態にあります。コロナで人手不足感が一時的に下がったものの、経済が完全にフル稼働で回復してくると人手不足感はまた高くなることが予想されます。

業種別に見ると、建設や飲食といったセクターで、コロナ前であれば60~70%近くの企業が人手不足を感じていました。

またコロナによって世の中のDX化、IT化は進み、リモート会議などは日常的なものになっています。情報サービス分野においては、コロナによってITエンジニアなど不足感が高まっています。コロナ前も74%と非常に高い数字であるが、より一層高まるのではないかと考えられます。

みずほ情報総研のデータを引用すると、IT人材は、2020年の段階で41万2,000人ほど足りない状況でした。前述のとおり、高齢化が進む日本では、労働人口は減少し、人手不足感が増していく状況。しかし社会のIT化は加速していき、IT人材が足りないという状態が発生しているのです。この点、日本経済の成長においても大きな課題といえるでしょう。

それに対してフィリピンは世界的に見ても労働力人口が増える期間が長い=人口ボーナスが長い国として知られています。大卒の人口は毎年70万人ほどいて、そのうち60%ほどがITについて学んでいます。つまり毎年42万人のITエンジニアが供給されている状況です。

人口ボーナスの長いフィリピンでは、少なくてもこのような状態が20年近くは続きます。日本が不足しているIT人材の人数と、フィリピンが供給できるIT人材の人数は一致しています。不足するIT人材をフィリピンから採用すれば、日本の課題のひとつが解決できるというわけです。

海外で活躍するフィリピン人材…その規模、4兆円/年

海外で働いて外貨を稼ぐフィリピンの人たちであるOFW。この人たちがどれくらいの金額を国(フィリピン)に送金しているのでしょうか。

海外送金額はコロナ禍でも安定していて、金額ベースではなだらかな上昇傾向が続いています。日本円に換算すると約4兆円にもなります。

世界中の国で活躍しているのですが、現在は北米や中東が特に多くなっています。日本にも多くの人が来ていることは知られていますが、今後はより多くのフィリピン人材を活用していく必要があると考えられます。

日本とフィリピンの人口を比べてみると、ほとんど同じで1億1,000万人くらい。ただ人口構造はまったく異なり、日本は労働人口の割合が減少していく人口オーナスの状態。一方フィリピンは、労働人口の割合が増えていく人口ボーナスの状態です。

平均年齢も異なり、日本は47歳くらいなのに対して、フィリピンは23歳と、非常に若い国です。

日本は、少数民族はいるものの単一民族の国といわれ、異文化との交流が難しく、移民政策も取りづらく、人手不足が恒常化しています。

それに対してフィリピンは人口ボーナスの状態にあり、これから経済成長を遂げていきます。フィリピン経済は1970年代初頭の日本くらいの水準です。日本は製造業が発展し、それらを海外に輸出するという産業モデルで経済を発展させました。一方、これから経済発展していくフィリピンは、アウトバウンド人材とインバウンド人材が経済成長の中心になると考えられます。

今後は日本の人手不足という課題を、海外の優秀な人材を活用して解決していくことが大切であることは明白です。その中で特定技能や技能実習といった制度が整えられました。コロナ収束に伴い、これらの制度を活用して、海外から優秀な人材をいかに活用していくかが、今後の日本の経済成長にとっても非常に重要であるといえるのです。

■動画を観る~フィリピン人材が「日本の人材不足問題」を解決する