和ヶ原聡司のライトノベル作品「はたらく魔王さま!」のテレビアニメ第2弾「はたらく魔王さま!!」が、9年ぶりの地上波放送ということもあってか、初回放送中にいきなりトレンド入りするなど話題だ。本日7月28日(木)に第3話が放送となる本作は、魔王サタン真奥貞夫を演じる逢坂良太の高い演技力が存分に発揮されており、楽しませ、笑わせ、心を熱くしてくれる作品となっている。(以下、ネタバレを含みます)

【写真】まるで“普通の家族”のような真奥と恵美、そしてアラス・ラムスの3ショット

原作は、シリーズ累計発行部数350万部を突破したファンタジー作品。アニメ第1期は2013年4月から6月にかけて放送され、第2期は地上波での放送(毎週木曜夜11:30-深夜0:00ほか、TOKYO MXほか)の他、動画配信サービスディズニープラスでは地上波同時、見放題独占配信中だ。

■主要キャラに第1期からの変化も

新キャラクター“アラス・ラムス”の真の両親は、第2話終了時点ではいまだ不明ながら、彼女は愛されキャラとしてのオーラを全開にして皆にかわいがられている。勇者エミリア/遊佐恵美(CV:日笠陽子)はやたらめったら怒っていた第1期に比べ、はるかに心の大きさを感じさせるキャラに。悪魔大元帥アルシエル/芦屋四郎(CV:小野友樹)の献身ぶりにさらに磨きがかかったような気がするのも自分だけではないはず。

■魔王の威厳と人間の誠実さ

そして、やはり、物語の中心には魔王サタン/真奥貞夫(CV:逢坂良太)が位置する。思えば、なんと数奇な運命に彩られたキャラクターであろうか。サタンとして本来持っている「圧」「怖さ」「威厳」と、人間社会に転生してからの「温かみ」「謙虚さ」「誠実さ」、それらが、魔王サタン/真奥貞夫には同居してしまった。

世界征服への意欲はいまだに衰えてはいないものの、おそらく彼は、世界の誰も不幸にしたくはない。人間の女子高校生ちーちゃん”こと佐々木千穂(CV:東山奈央)からのあまりにも真っすぐな恋心にも可能な限り応えたいという姿勢ではある。たぶん毎日のように人間世界のなんらかを学んでいるのだろう。涙は悲しい時にしか流れないものだと思っていた真奥に、「人間は、うれしい時にも涙を流すんです」という説明をちーちゃんがして、気付きを増やしていく真奥の表情が実にいい。アグレッシブサタンと、おだやかでポジティブな真奥。それらを見事に演じ、キャラに説得力を与えるのが逢坂だ。

逢坂は学生時代、野球やソフトボールに熱中していたが、プレイステーション用RPG「テイルズ オブ エターニア」の主人公、リッド・ハーシェル(CV:石田彰)に感動して声優の道へ。第1期の「はたらく魔王さま!」に抜てきされたのは2013年、「つり球」の真田ユキ役でテレビアニメ初レギュラー・初主演を務めた翌年のことだ。

第1期当時は新進気鋭の声優だった逢坂は「ダイヤのA」シリーズの沢村栄純役、「グラスリップ」の沖倉駆役、「ぼくたちは勉強ができない」シリーズの唯我成幸役などを経て、すっかりアニメ界に欠かせない存在へと躍進し、このたび第2期となる「はたらく魔王さま!!」に帰ってきた。

また、プライベートでは第1期と第2期の間に父親になっている。「はたらく魔王さま!!」の真奥は“身に覚えなく親になった”ばかりだが、本物の親になった逢坂の包容力、深み、強さを加えた演技を、今後さらに楽しむことができそうだ。

◆文=原田和典

「はたらく魔王さま!!」第1話より/ (C)2021 和ヶ原聡司/KADOKAWA/MAOUSAMA Project