米グーグル持ち株会社である米アルファベット7月26日に発表した2022年4~6月期の決算は、売上高が前年同期比13%増の696億8500万ドル(約9兆5400億円)、純利益が同14%減の160億200万ドル(約2兆1900億円)だった。

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ポラットCFO「不確実性を反映している」

 増収率は、新型コロナウイルス禍で旅行分野などの広告需要が低迷した20年4~6月期以来の低水準。また、これで2四半期連続の減益となった。

 全体の8割を占めるネット広告事業の売上高は、前年同期比12%増の562億8800万ドル(約7兆7100億円)だった。このうち、動画共有サイト「YouTube(ユーチューブ)」の広告売上高は同5%増の73億4000万ドル(約1兆48億円)となり、伸び率は過去最低を記録した。

 同社のルース・ポラットCFO(最高財務責任者)は「一部の広告主が支出を抑えている。分析することが難しい多くの要因があり、不確実性を反映している」と述べた。

ツイッターは減収、赤字転落

 一方、米ウォール・ストリート・ジャーナルは今回のグーグルの決算について次のように報じている

 「インターネット検索やナビゲーション、動画ストリーミング配信の市場で圧倒的なシェアを持つグーグルは、オンライン広告市場の先導者とみられている。だが、最近の米ツイッターと米スナップの四半期決算が期待外れだった。グーグルの決算は市場の低迷ぶりを浮き彫りにした」(同紙)

 これに先立つ7月22日にツイッターが発表した22年4~6月期の決算は、売上高が前年同期比1%減の11億7600万ドルで、事前の市場予想を下回った。ツイッターの同四半期の最終損益は2億7000万ドルの赤字で、3四半期ぶりに赤字転落した。

 写真・動画共有アプリ「スナップチャット」を運営するスナップの22年4~6月期売上高は11億1000万ドル。前年同期から13%増えたものの、市場予想には届かなかった。

グーグルの強さは回復力のある検索広告

 ただ、ロイター通信は今回のグーグルの決算について、「市場予想とほぼ同水準の売上高を計上したため、スナップなど競合の決算ほど失望を誘う内容ではなかった」と報じている

 その理由として挙げられるのが検索広告事業のようだ。同社ネット広告事業の7割以上を占める検索広告の売上高は前年同期比14%増の406億8900万ドル(約5兆5700億円)で、市場予想を上回った。ウォール・ストリート・ジャーナルは別の記事で、「YouTubeの5倍以上の規模を持つ検索広告事業の強さは、アルファベットの株価を押し上げる十分な材料になった」と報じている。

採用抑制で危機に備える

 同紙によると、検索広告はオンライン広告の中で、より回復力のあるセグメントの1つとみられている。ただ、景気減速の懸念が強まる中、グーグルも世界経済の影響を免れることはできないという。検索広告部門の増収率は、過去8四半期の平均を13ポイント下回っているという。

 ポラットCFOは決算発表の電話会見で、「採用の抑制は来年より顕著になる」と述べた。これについてウォール・ストリート・ジャーナルは「グーグルさえも危機に備えているということは、大きな嵐が近づいている兆候かも知れない」などと報じている。

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