累計発行部数150万部を突破した童話シリーズ「おばけずかん」が、『ALWAYS 三丁目の夕日』(05)、『DESTINY 鎌倉ものがたり(17)などの山崎貴監督によって、『ゴーストブック おばけずかん』として実写映画化。

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“どんな願いごとも叶えてくれる一冊の本=おばけずかん”を手に入れた子どもたちが、願いを叶えるため数々の試練に立ち向かう――。ちょっと怖くて目を離せない異世界冒険ファンタジーの本作で、子どもたちと一緒に冒険する小学校の先生を演じた新垣結衣おばけずかんを手に入れ冒険の旅に出る子どもたちに抜擢された、城桧吏、柴崎楓雅、サニーマックレンドン、吉村文香の4人にVFXが駆使された本作の撮影舞台裏や、山崎監督とのエピソード、お気に入りのおばけの話までたっぷり語ってもらった。劇中の雰囲気そのままに、和気あいあいとした雰囲気のインタビューの様子をお届けする。

■「全員のキャラが本人と重なるなと感じていました。特にサニーくんは、本当に役のまんま!」(新垣)

――城さん、柴崎さん、サニーさん、吉村さんは、現場で新垣さんとどんなことをお話されたんでしょう。また、新垣さんから生徒役を演じた皆さんの魅力をそれぞれ教えてください。それではまず、一樹役を演じた城さんから。

城「サニーと楓雅と文香ちゃんの動画を僕が撮っていた時に、後ろにピースサインをした新垣さんが映り込んでいて、明るくておもしろい方だな、と思ったのを覚えています。サニーが誤ってベンチコートを焦がしてしまったことがあるんですけど、その時もニンマリした顔でそれを見ていて、それも動画に映っていました(笑)」

新垣「私は4人全員に、劇中のキャラクターや役割、立ち位置などが、本人自身とちょっと重なるな、と感じていました。例えば一樹は、ふとした時に自分を客観視する瞬間があって。桧吏くんも現場を俯瞰で見ているなと感じる瞬間がある。と言っても一樹の場合はクヨクヨ悩んでいる時で、桧吏くんはそういうわけではないのですが。あと普段はとてもマイペースなのに、いざという時の主役としての存在感や頼もしい姿は、ジズリに立ち向かって行く一樹と重なります」

――柴崎さんは、新垣さんと現場でなにかお話をされましたか?

柴崎「みんなでアニメの話をしていた時に、新垣さんがあまりグロテスクな作品は好きではない、というのを聞いて、イメージと違うと思いました。僕は新垣さんに対して、凛としてカッコいいイメージがあったので、意外にかわいらしい一面があるんだな、と(笑)」

新垣「楓雅くんは、お芝居のプランが一番しっかりあるんだな、と思いました。演じた太一も“頭脳プレイ!”と言って率先しておばけたちをつかまえていきますが、同じようにみんなを引っ張っていく感じが重なって見えました」

――サニーさんはどうでしょう?

サニー「桧吏くんが言ったように、不注意でベンチコートを焦がして赤い布を縫ってもらっていた時、僕は恥ずかしいなと思っていました。でもそれを新垣さんがイジってくれたのがうれしかったです」

新垣「サニーくんは、本当に“サニー”という役のまんま。というのも、最初の台本では別の役名だったのが、リハーサルするなかで、監督が“サニー自身の明るさで、そのまま演じてほしい”となって、役名にも『サニー』を入れることになったようで。現場でも、まさにムードメーカーでした。劇中、一樹と太一が少し険悪な空気になる時があって、それをサニーが『また明日な』と言って止める。人の間に立って仲裁する感じや、とても平和主義なところ、楽しいのが好きなところも、本当に役そのままだと思いました」

――吉村さんは、新垣さんとの思い出はなにかありますか?

吉村「現場に、自由に食べられるお菓子が置いてあったのですが、私たち4人が苦手なお菓子があったんです」

城・柴崎・サニー「酢昆布だ!」

新垣「え、茎ワカメでしょ!?」

柴崎「あ、それです(笑)!」

吉村「新垣さんは、それがすごく好きで(笑)。私も大人になったらいろんな味のものが食べられるようになるのかな、と思っていました」

新垣「(笑) 。文香ちゃんも、湊という役同様、4人のなかでもっとも大人びていると思いました。どんなに大変でも諦めない、目の前のことにとても真っ直ぐで一生懸命なのも、湊と一緒でした」

■「『そのままやって』と言われたので、あまり意識せず自分らしくいました」(サニー)

――皆さんはそれぞれのキャラクターを、自分のなかでどう捉えて、どのように演じようとされましたか?

城「一樹は臆病な性格で、役立たずなところもあるんです。情けないようなところ、本当にビビりな面を出すには、どうしたらいいか監督と相談しました。ほかのみんなもやりましたが、台本を読んで演じるキャラクターについて紙に書きだし、みんなの前で発表したんです。それによって、役が掴みやすくなりました」

柴崎「僕が演じた太一は、大人を信用していないけど、友達のためなら前に出ていくタイプ。普段は、自分から話しかけることはあまりないのですが、今回は現場で自分から率先していろんな人と話すようにして、お芝居も楽しみました」

サニー「僕はもともと明るい性格で、『そのままやって』と言われたので、あまり役作りのために意識したことはないです。ただ一つ、迷惑をかけたくないな、とは思っていました。というのは、劇中のサニーが問題や波風を起こしたくない人だと思ったからです。現場では、自分らしくいよう、自分らしさを出し切ろう、と思っていました」

吉村「湊は、サニーに負けず劣らずの明るいキャラクターなので、明るくしようと頑張りました。撮影以外でも感情をもっと表に出せるようになろう、と思いましたが、なかなか難しかったです。頑張って出しているつもりでも、監督から“もっと明るく。いまの2倍で”と言われたりしました(笑)」

――新垣さんはみんなの臨時担任である、瑤子先生を演じられました。なにか意識はされましたか?

新垣「子どもに比べて、大人は長く生きているぶん、頭が固くなってしまうところがあるなと感じていて。目の前であり得ないことが起きた時になかなか受け入れられなかったりするのではと思ったので、瑤子先生のお化けたちに対するリアクションや怖がり方はみんなより増し増しに演じることを意識しました。それを監督がすごく気に入ってくださったのでうれしかったです(笑)。口では“大人だから”と言いながら、結局、子どもたちに助けてもらっている。そういうところがおもしろいキャラクターだなと思いました」

■「味方にするなら、時間を操ることができるジズリが最強!」(吉村)

――図鑑坊、山彦など、数々のおばけが登場します。もし味方にするなら、どのおばけがいいですか?

サニー「僕は、跳ね返せる力を持つ山彦を味方につけたいです。最近よく怪我をするんです。野球をしている時もですが、自転車を漕いでいただけなのに小石につまずいて滑って転んで。そんな時、山彦に地面を押して体制を立て直してほしいです!」

城「僕もサニーと同じで山彦です。山彦は空も飛べるし、跳ね返す力もあるから、守ってもらえそうな気がするので。あの能力がほしい。むしろ僕が山彦になりたいです(笑)」

柴崎「サニーと桧吏くんの話を聞いていたら、僕もやっぱり山彦がいいかなあ(笑)。僕はバレーボールをやっているんですが、やりすぎて右手が上がらないんです。だから山彦の跳ね返す力で、ブロックしてほしい(笑)。でもかわいらしい図鑑坊もいいな」

吉村「私は時間を操ることができる、ジズリがいいな。失敗しても昔に戻ってやり直せるなんて、最強じゃないか、と。実は中学一年の時、初めての英語のテストを甘く見過ぎて、ノー勉でテストを受けてズタボロだったんです。結構ショックだったので、過去に戻って問題を暗記したうえで、もう一度テストを受け直したい…(笑)」

新垣「私はいろいろ考えて…神木(隆之介)さん演じる、おばけずかんを扱う古本屋の店主が、もっとも強いんじゃないか、と。神木さんに味方についてほしい!」

4人「確かにー(爆笑)!!」

新垣「あの店主、あらゆるおばけとつながりがあって、最終的に支配していそうでしょ。予告編にもありますが、大きな古本屋を小さく畳めてしまう能力も欲しい。いつでも家を折り畳めたら、どんな地方ロケに行っても、安心していつでもお家で眠れるし、あの収納機能はすごすぎますね!」

■「校舎4階の高さからみんなで飛び降りた撮影は、もう一回やりたいほど!」(柴崎)

――CG合成のためのグリーンバック撮影も多かったと思いますが、大変だったシーンはありますか?

柴崎「空を飛ぶ雲梯(うんてい)が登場するシーンで、息を合わせて『せーの』で飛び降りるシーンは大変でした」

新垣「かなり高いところから飛び降りたよね!?」

城「ワイヤーを装着していましたが、かなりの高さでした」

柴崎「校舎4階くらいの高さまでクレーンで雲梯を吊り上げて、そこにぶら下がっていて。大変だったけど…」

城・柴崎「メチャクチャ、楽しくて、もう一回やりたい!!」

新垣「私は怖かったです!」

吉村「前を向いていれば怖さを感じないのですが、下を見た瞬間、なんかもう…背筋がフワーッとなって」

新垣「本当にそうだよ…」

柴崎「カットが掛かって、段々と地上に降りていく瞬間も楽しくて」

城「“わーい”って叫びながら降りて行って、最高でした!」

新垣「私はひたすら上を向いたままでした…」

4人「(爆笑)」

■「山崎監督はじっくり演技を引き出してくれる。『OK』と言ってくれると本当に安心します!」(城)

――山崎監督は日本のVFXの第一人者ですね。本作にも個性豊かなおばけが登場したり、不思議な世界が表現されていますが、完成した映画を観た時の感想や、監督との思い出を教えてください。

サニー「図鑑坊が逃げるシーンでは、捕まえようとした僕と太一と一樹が、順番に図鑑坊にやられてしまうんです。撮影している時はどんな仕上がりになるかわからなかったのですが、実際の映像を観たらうまくつながっていて、スゴイ!と思いました。また瑤子先生の家の窓から外を見るシーンでは、たくさんのおばけが実際にそこにいるかのようで…本当にCGってすごいなあ、と思いました」

吉村「最初に湊がみんなと出会うシーンで、三角コーンが魚みたいに泳いでいるカットがあるんです。現場にはなにもありませんでしたが、映画を観たら本当の魚のように滑らかにフワーっと泳いでいたので、こんなふうに出来るのかと驚きました」

城「CGだけじゃなくて、セットもスゴイよね」

柴崎「そうそう、本物の駄菓子屋さんかと思って入ったら、実はセットで作った駄菓子屋さんだった、ということがありました。美術部さんもスゴイなあ、と思いました」

城「山崎監督って、僕たちの魅力や個性をじっくり待ったうえで引き出してくれるんです。だから監督が『OK』と言ってくれると、本当に安心して『ちゃんと出来たんだな』と感じられた。ダメなら何度でも『もう一度』と言われるけれど、いいか悪いかがはっきりわかる分安心できて、そこもよかったです」

吉村「OKが出るまで、多い時は12、13テイクくらい重ねたことがあって。でも、そういう時も監督は責めるようなことは言わず、励ます言葉を掛けてくださるんです。監督が応援してくれている、と感じられるのが、とても心強かったのを覚えています」

新垣「私は19、20歳のころに『BALLAD 名もなき恋のうた』でご一緒したのですが、当時も、とても穏やかで話しやすい監督だと思いました。それ以降、監督の作品を観てきたなかで、どれもとても“少年性”があるなと感じていたんです。今回の現場でも虫を獲ったり、植物の名前を教えてくれたり、そういう少年の心を、いまもずっと持ち続けているんだな、と。それが作品にも滲み出ている。今回のようなファンタジーだけでなく、シリアスな作品でも少年心がくすぐられ、どこか沸き立つものを感じます。本作も“山崎監督ならではの作品”だ、と感じますね」

取材・文/折田千鶴子

『ゴーストブック おばけずかん』で先生と生徒を演じた5人を直撃!/撮影/興梠真穂 スタイリング(城桧吏、柴崎楓雅、サニーマックレンドン、吉村文香)/一宮理紗 スタイリング(新垣結衣)/道券芳恵 ヘアメイク(城桧吏)/松原美穂 ヘアメイク(柴崎楓雅)/奥平正芳 ヘアメイク(サニーマックレンドン、吉村文香)/朝岡美妃 ヘアメイク(新垣結衣)/藤尾明日香