第72回ベルリン国際映画祭に正式出品され、フランスで大ヒットを記録した鬼才カンタン・デュピュー監督最新作『地下室のヘンな穴』より、本予告と場面写真が解禁された。

【動画】謎の穴が大人たちの欲望を呼び覚ます 『地下室のヘンな穴』本予告

 本作は、欲望に満ちた大人たちが織りなす世にも奇妙な物語。監督は“フランススパイク・ジョーンズ”の異名をとるカンタン・デュピュー。殺人タイヤの『ラバー』、鹿革男の狂気『ディアスキン 鹿革の殺人鬼』などの異色作、怪作で知られ、新作ごとに同国でスマッシュヒットを記録している。Mr. Oizo名義のフレンチエレクトロ・ミュージシャンとしても世界的に知られる鬼才だ。

 そんなデュピュー監督がこの最新作で創造したのは、「時間軸が半日進み、肉体が3日若返る」という微妙すぎるパワーを持ったヘンな穴。この穴にハマったせいで、平凡な夫婦の、胸の奥底に封印していた欲望、衝動が呼び覚まされていく。しかも若さと老い、男女の性(ジェンダー/セックス)をめぐる風刺も盛り込まれている。

 この不思議な最新作に、同国の名だたる人気俳優が集結。デュピュー監督作品の常連俳優アラン・シャバ、『ジュリアン』のレア・ドリュッケール、『彼は秘密の女ともだち』のアナイス・ドゥムースティエ。中でも主人公の上司を演じたブノワ・マジメルの怪演は見逃せない。かつて希代の美青年として一世を風靡(ふうび)したスター俳優が、持ち前のイケメンぶりをかなぐり捨て男の滑稽さと悲哀を体現している。

 本予告は、「新居の地下には謎の穴がありました」という意味深なナレーションで始まる。不動産屋から、この家は人生が変わると案内されたフランス人中年夫婦のアランマリー。地下室にあるぽっかり空いた穴に入ると「12時間進んで3日若返る」という摩訶不思議な<セールスポイント>を聞いた妻は、「無性に気になるの」と穴に入りたい衝動を抑えられず蓋を開けてしまう…。

 その後は、「『パラサイト』より奇妙」(VARIETY)、「独創的、ばかばかしい」(THE HOLLYWOOD REPORTER)、「癖になる」(INDIEWIRE)といった本作に寄せられたメディアのコメントが挟み込まれる中、果物が皿に吸い込まれていったり、時計の針がものすごいスピードでまわったりするなど奇妙な印象を与える映像や、登場人物たちの多彩な表情が立て続けに映し出されていく。最後は「これは、欲望に堕ちた大人たちの、世にも奇妙な物語」というナレーションで締めくくられる。

 場面写真は9点。どこか滑稽さが漂う中高年の登場人物たちや、なぜか新居に住み着き主人公の行く手に出没する“ネコ”、手の傷口から無数のアリが出てくるシーンなど、デュピュー監督ならではの独創的な世界観を切り取った写真となっている。

 映画『地下室のヘンな穴』は、9月2日より全国公開。

映画『地下室のヘンな穴』場面写真 (C) ATELIER DE PRODUCTION‐ARTE FRANCE CINEMA‐VERSUS PRODUCTION ー 2022