3年ぶりにアメリカ・サンディエゴの会場で開催された今年のコミコン・インターナショナル。なかでも“ホールH”と呼ばれる大人数を収容できるホールでは、今後の映画やシリーズ作品など様々な最新情報が披露された。3日間にわたって行われたポップカルチャーの祭典から、期待の新作情報やクリエイター、出演者のコメントなどを拾ってみよう。

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■「ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪」新予告編上映

ロード・オブ・ザ・リング』の前日壇シリーズ「力の指輪」からは、新しい予告編といくつかのフッテージ映像が上映された。LOTRの大ファンを自認するスティーブン・コルベアがMCを務め、21名のアンサンブルキャストとショーランナーのJ.D.ペインとパトリック・マッケイ、そして制作総指揮のリンゼイ・ウェーバーが登壇。作曲家ベア・マクレリーが25人編成のオーケストラと16人の合唱団を率いてステージに登場し、シリーズのサウンドトラックをライブ演奏し、「ホールHを中つ国に変える!」というファン垂涎のイベントを行った。今作の舞台は、J.R.R.トールキンの『ホビット』と『ロード・オブ・ザ・リング』の時代より何千年も前の時代。いままで映画では観られなかった中つ国の領域や、新しいキャラクターなどが紹介された。9月2日(金)よりアマゾン・プライムにて世界240以上の国と地域で独占配信、毎週新しいエピソードが配信される。

■『スター・トレック』のオリジナル・シリーズ「Strange New World」が「Lower Decks」とのクロスオーバーを発表

パラマウント・プラスは、『スター・トレック』の新シリーズ「Strange New World」シーズン2に、アニメシリーズ「Lower Decks」のキャラクターが登場するクロスオーバーを発表。サンディエゴコミコンには「Lower Decks」で声の出演をしたトウィー・ニューサムとジャック・クエイドが登壇し、エンタープライズ号への搭乗を予告した。「Star Trek: Strange New World」と「Star Trek: Lower Decks」は、米国、英国、ラテンアメリカ、オーストラリア、韓国、北欧などではパラマウント・プラスで配信中。日本での配信は未定。

■『ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り』日本公開決定

人気ゲームの世界を映画化した『ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り』のパネルに、ミシェルロドリゲスクリスパイン、ジャスティス・スミス、ソフィア・リリス、そしてヒュー・グラントらが登壇し、自身のゲーム歴や製作秘話を明かした。悪役を演じるヒュー・グラントは、「私は“ダンジョン・マスター”で、英国風の時間つぶしとして楽しんでいます。私はネガティブ思考で、すべての脚本を却下することで知られていますが、驚いたことにこの脚本は本当におもしろく大笑いしてしまいました。まるで『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』を彷彿とさせるようでした」とコメント。主演のエドガンを演じるクリスパインは、「この映画の話をもらうまでゲームをプレイしたことはなかったけれど、13歳の甥が大ファンで、ゲームを送ってもらったんです。そうしたら、ゲームに縁のなかった父や姉までプレイしはじめて、家族全員がダンジョン・マスターになってしまいました。こんなにおもしろいものを、42歳まで知らなかったことが悔やまれます(笑)」と語っていた。『ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り』は、2023年3月3日に日本公開される。

■『シャザム!~神々の怒り~』新予告編公開

DCコミック原作の『シャザム!』のヒットを受けて作られた、第二作目の予告編がお披露目になった。ビリー・バットソン役のアッシャー・エンジェルビリーが変身するスーパーヒーローのシャザムを演じるザッカリーリーヴァイ、ビリーの親友フレディ役のジャック・ディラン・グレイザー、今作から登場するカリプソ役のルーシー・リュー、監督のデヴィッド・F・サンドバーグ監督らが登壇し、新予告編やクリップ映像を交えながら新情報を明らかにしていった。ルーシー・リューのほかにも悪役を率いるヘレン・ミレン、『ウエストサイド・ストーリー』のレイチェル・ゼグラーも出演する。リーヴァイはスーパーパワーを持った仲間たちを「シャザミリー(シャザム+ファミリー)」と呼び、前作から数年後にシャザミリーが直面する、アイデンティティクライシスや成長痛を描いたものになると語っている。『シャザム!~神々の怒り~』は、今冬日本公開予定。

■『ジョン・ウィック:チャプター4』予告編公開&キアヌ・リーブス登壇

ジョン・ウィック』シリーズを共に作り上げたチャド・スタエルスキ監督が登壇したパネルにキアヌ・リーブスが飛び入り参加し、『ジョン・ウィック:チャプター4』の最新予告編がサプライズ公開された。スタエルスキ監督は「ニューヨークを離れ、世界各国でロケーションを行ったことがチャプター4の見どころ」と言い、キアヌ・リーブスは「ストーリーテリングはもとより、キャラクターの背景にも迫っていく物語になる」と述べた。スタエルスキ監督がいうように、今作はベルリンやパリ、そして日本でも撮影が行われている。新しい登場人物として、ドニー・イェン、真田広之、リナ・サワヤマ、ローレンスフィッシュバーンが出演することが発表されている。『ジョン・ウィック:チャプター4』の北米公開は2023年3月24日に予定されている。

■『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』3作目の予告編披露

ホールHには、ジェームズ・ガン監督と共に主演のクリス・プラット、ネビュラ役のカレン・ギラン、マンティス役のポム・クレメンティエフ、宇宙犬のコスモを演じるマリア・バカローヴァ(『続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』)らが登壇。ジェームズ・ガン監督は、今作がガーディアンズの最終章になることを明言、ホールHを埋めた6500名超の観客のどよめきが響いた。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.3』は、2023年5月5日北米公開予定。

■『シェアハウス・ウィズヴァンパイア』テーマのヴァンパイアパーティ開催

先頃発表された第74回エミー賞で、優秀コメディーシリーズ賞など7部門にノミネートされている『シェアハウス・ウィズヴァンパイア』。タイカ・ワイティティによる2015年の映画を原作としたドラマシリーズで、Disney+でシーズン3まで配信されている。サンディエゴコミコンではヴァンパイアたちのヴァンパイアナイトクラブを再現、主演のマット・ベリー(ラズロ役)、ハーヴィーギレン(ギレルモ役)、マーク・プロクシュ(コリン・ロビンソン役)などのほか、“ボーナスヴァンパイア”として『フロム・ダスク・ティル・ドーン』(96)のダニー・トレホと『ヴァンパイアダイアリーズ』のポール・ウェズレイも飛び入り参加した。『シェアハウス・ウィズヴァンパイア』シーズン4は現在北米で配信中。

■いよいよ配信、「GOT前日譚「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン

8月22日より日米同時配信となる「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン」のパネルでは、原作者で制作総指揮を務めるジョージ・R・R・マーティンやショーランナーライアン・コンデル、ヴィセーリス王を演じるパディ・コンシダインや、デイモン・ターガリエン王子を演じるマット・スミス、レイニラ・ターガリエン王女を演じるエマ・ダーシーらが登壇し、大人気シリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」の世界を引き継ぐ抱負などを語った。ジョージ・R・R・マーティンの小説「炎と血」を原作に、「GOT」の200年前の物語を壮大なスケール感で映像化する。

「このシリーズの見どころは?」と聞かれたライアン・コンデルは「炎と血です(笑)」と言い、ジョージ・R・R・マーティンは「そしてドラゴン!」と会場を笑いで包んだ。「『GOT』でもほのめかされていたが、実態は明かされていないターガリエン王朝の歴史に迫り、王朝の絶対的な頂点、権力と富と影響力の絶頂期から物語が始まります。彼らはかつてないほど多くのドラゴンを所持していますが、それはバラから花びらが落ちる直前だといえるでしょう。これは王位継承ゲームです。みんなそれぞれ政治的な意図を持っていて、権力や力強さ、影響力を欲しているわけです。特にパティ(・コンシダイン)が演じるヴィセーリスは、非常に現代的な支配者だと思います。権力、強さ、男らしさを尊ぶ中世の時代においては、彼の資質は忌み嫌われることでした。ヴィセーリスについて記録されていることは、必ずしも彼の王国統治とは一致していなかったのでしょう」とコンダルは語る。「ゲーム・オブ・スローンズ」は、エミー賞を合計59部門受賞している、アメリカのエンターテイメント界の金字塔的作品。この名作ドラマシリーズのDNAを引き継いだ「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン」は、8月22日(月)よりU-NEXTで日米同時配信される。

Apple TV+のドラマシリーズもサンディエゴコミコン参戦

エミー賞で14部門の候補となった「セヴェランス」からは製作総指揮と監督を務めたベン・スティラーや主演のアダム・スコットが登壇し、「奇妙なワーク・ライフ・バランス」を描いた前シーズンの舞台裏やシーズン2の展望などを語った。「セヴェランス」のセットを体験できるコーナーも作られていた。現在シーズン3まで配信中の「フォー・オール・マンカインド」はシーズン4の製作が決定、今夏から撮影が開始されるという。また、ジェイソン・モモア主演の「See 〜暗闇の世界〜」は8月26日(金)から配信されるシーズン3がラストシーズンとなり、最新予告編が発表された。ジェイソン・モモアは「See 〜暗闇の世界〜」ラストシーズンの後、同じくApple TV+で「Chief of War」の主演を務める。モモアが主演、脚本、製作総指揮を務め、先住民の視点からハワイの統一と植民地化を描く。

文/平井伊都子

サンディエゴ・コミコンで発表された話題の新作をまとめ!/[c]Jerod Harris/Getty Images for Lionsgate