今年結成49年、デビュー48周年を迎えるTHE ALFEE(桜井賢・坂崎幸之助・高見沢俊彦)が7月30日・31日にぴあアリーナMM神奈川県横浜市)にて夏のライブを開催した。この「夏のイベント」と呼ばれるライブは彼らにとって恒例だが、有観客で開催するのは実に3年ぶり。両日あっという間にソールドアウトになり、数多くのファンがTHE ALFEEの世界を堪能した。テックインサイトでは31日の公演を取材した。

大きなステージから伸びる花道の先のセンターステージに、スモークが勢い良くクロスして噴射される。そこにTHE ALFEEの3人が登場、大きな拍手の中、夏のイベント『THE ALFEE 2022 Summer Genesis of New World 夏の天地創造』が幕を開けた。

オープニングは今年2月にリリースした最新アルバム『天地創造』からタイトルチューンの『天地創造』。振り返れば昨年の「夏のイベント」は横浜アリーナでの有観客ライブを発表するも、緊急事態宣言が発出されるなどの当時の状況からやむなく無観客の配信ライブへ変更。今回は3年ぶりの有観客での夏のライブとなるが、この曲は高見沢俊彦(68)が“アフターコロナの世界”という意味合いも込めて作った楽曲であり、復活した夏のイベント1曲目にぴったりだ。

続いて彼らを一躍スターダムに押し上げたヒット曲『メリーアン』、3人ともリードボーカルが取れる彼らならではの魅力が詰まったスイッチボーカルの楽曲『Orionからの招待状』と披露したが、客席を彩っていたのはスカイブルーの光。アリーナ席から4階までファンが手にしたグッズのマラカスライト「ミカエルの剣」のLEDライトが美しく客席全体を埋め、ときにはリズムに合わせて揺れて、まだ歓声を上げられない中でも有観客ライブであることを実感させる。

「さあ、始まりました! 48年目の夏、そして3年ぶりのみんなの前での夏イベ(夏のイベント)2日目でございます」と坂崎幸之助(68)が軽快に挨拶して盛り上げる。「みんな声をまだ出せないんで、拍手、手拍子だけが頼りでございます。どうぞ最後までよろしくー!」と呼びかけると、それに応えるように大きな拍手が沸き上がる。

THE ALFEEと言えば、幅広い音楽性で知られているが、このライブでもロック、ポップス、アコースティックプログレッシブロック…とさまざまな楽曲を唯一無二のコーラスで自分たちの色に染め上げた。新旧の楽曲を織り交ぜながら、坂崎がギターを持たずにハンドマイクで歌う『Funky Cat』、高見沢がヘッドマイクで振り付きで歌う『D.D.D!~Happy 65th Anniversary for Donald Duck~』、アコースティックギター2本でハーモニーを聴かせる『明日なき暴走の果てに』とスタイルも自由自在。ライブには欠かせない『SWEAT&TEARS』で3人並んでのヘッドバンギングも健在だ。

またラブソングバラード『あなたに贈る愛の歌』や圧巻の大作『組曲: 時の方舟』、胸に迫りくる楽曲『明日の鐘』など曲をしっかりと聴かせる一方で、サービス精神旺盛な彼らは花道をランウェイに見立ててファッションショー風にメンバー紹介したり、アンコールでは桜井賢(67)が出身地・埼玉県秩父の民謡『秩父音頭』を歌ったり、3人がはっぴを着て「はっぴぃお祭り三兄弟」となって昭和ムード歌謡を楽しんだり。高見沢がMCで「48年間、“好き”という気持ちが常に先にきていた。ライブが好き。ギターが好き。ハモるのが好き」「とにかく3人で歌うことが学生のときから好きだった。“好き”が乗じて48年」と語ったが、彼らが全力で楽しむ姿をファンも楽しんでいるようだ。

中盤には代表曲『星空のディスタンス』のサビを、マイクを通さずにアカペラで披露したTHE ALFEE。3人の生の歌声が伸びやかに会場に響き渡り、それを観客はダイレクトに自分の耳で受け取る。その場にいなければ味わえない、まさにライブの醍醐味だ。この曲を演奏し終えて客席いっぱいの青い光に「綺麗だね」と感じ入った高見沢は「これは1984年のシングルです。今から38年前。この楽曲は現役で僕らが歌い続けているからこそ色褪せない」と毎回ライブで歌い続けている同曲について語った。そして「個人的な感想」と前置きしてから「バンドの矜持というのは少しでも長くやること」と述べたが、この高見沢の言葉にTHE ALFEEそのものが表れているようだ。

この日、最後の楽曲は『ROCKDOM -風に吹かれて-』。この楽曲は1986年夏に当時「東京湾13号埋立地」と呼ばれたお台場でのライブ『TOKYO BAY-AREA』にて、この日のために作られた楽曲として最後に演奏された。約10万人の観客は初めて聴く楽曲にもかかわらず、ラストのフレーズ「俺達の時代を忘れないで 風に吹かれていたあの頃を」と大合唱した。しかし今回は観客はマスクをつけていて声を出せない。それでも客席を埋め尽くした大勢のファンの歌声をメンバー3人は感じ取っていたに違いない。

「来年は結成50周年です! まだまだアルフィーにゴールは見えない」と意気込むTHE ALFEEは、10月6日に埼玉・越谷を皮切りに全国21公演の秋の全国ホールツアー『THE ALFEE 2022 Autumn Tour Genesis of New World 秋の天地創造』を開催。そして12月には『THE ALFEE 2022 Winter Genesis of New World Final 冬の天地創造』として恒例の日本武道館および大阪城ホールでのライブを予定している。また10月5日には71枚目のニューシングルの発売も決定した。シングルとしては久しぶりにTHE ALFEEらしいハードな楽曲とのこと。真骨頂のライブという場所を取り戻したTHE ALFEE、ますます精力的な姿が期待できそうだ。

写真撮影:上飯坂一 7月30日に撮影
(TechinsightJapan編集部 取材・文:関原りあん)

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