キッコーマン食品「大豆麺」香る生姜かきたま・かきたまチゲ風・汁なし担々麺風・濃厚ボロネーゼ

キッコーマン食品「大豆麺」香る生姜かきたま・汁なし担々麺風・かきたまチゲ風・濃厚ボロネーゼ

キッコーマン食品は8月10日、しょうゆや豆乳の主原料である大豆を50%配合した「大豆麺」を新発売する。

総合調味料メーカーとして、「うちのごはん」や「具麺(ぐーめん)」など具材入り調味料のノウハウを活用し、和・洋・中の家庭では簡単に作れない専用スープやソースをセットにした時短、簡便商品だ。老若男女でたん白質の摂取意向が高まる中、たん白質を主食でしっかり摂る提案を行う。

同社として初の麺商品となり、「香る生姜かきたま」、「かきたまチゲ風」、「汁なし担々麺風」、「濃厚ボロネーゼ」の4品をラインアップする。秋にはテレビCMの放映も予定しており、数年後には10億円規模の金額目標を掲げる。プロダクト・マネジャー室の福田大悟新規事業グループ担当マネジャーに開発秘話と販売戦略を聞いた。
キッコーマン食品プロダクト・マネジャー室 福田大悟新規事業グループ担当マネジャー

キッコーマン食品プロダクト・マネジャー室 福田大悟新規事業グループ担当マネジャー

――大豆麺を開発した狙いについて
 

当社はしょうゆや豆乳を製造・販売している。それらの主原料である大豆を使って、おいしさと健康を両立できる商品を発売したいと考え、3年ほど前に開発プロジェクトをスタートした。高齢化や食生活が変化する中で、たん白質への関心が高まっており、大豆を使ってたん白質摂取量の減少という栄養課題を解決していく発想だった。健康にはいいが、おいしくないというトレードオフではなく、おいしさを満たした上で調理の簡便化や時短が求められるので、主食1品で健康とおいしさを両立できるような商品を目指した。
 
――開発にあたっての苦労話は
 

小麦の麺と違って、大豆の麺には特有のクセのある香りとザラつきがあり、コシも出しづらい。おいしさをどう担保するかが課題だった。大豆の種類を選別し、配合割合についても試行錯誤を繰り返した。当社はしょうゆメーカーとして、さまざまな大豆についての知見を有している。その知見を活かし、麺に合いそうな米国産の大豆を選んだ。大豆の配合はなるべく高めたかった。しなやかさとコシ、おいしさのバランスから、配合率50%に決定し、協力工場で製造している。
 
――乾麺タイプにした理由は
 
乾麺にはおいしさを想起するという調査結果があり、常温で保存できる利点もある。冷凍麺だと冷凍庫のスペースを取り、チルド麺は賞味期限が短い。「大豆麺」は5分で茹でることができ、レンジ対応容器を使えば電子レンジでも調理できる。時短商品で簡便性も持たせている。
 
〈具材入り調味料のノウハウを活用、和・洋・中の幅広い味のソースで本格感を〉
――商品特徴について

 
大豆の麺をおいしく食べさせるために、「うちのごはん」や「具麺(ぐーめん)」といった具材入り調味料のノウハウを合わせて、和・洋・中の幅広い味で展開したかった。汁麺や和え麺など、さまざまな麺にラインアップを広げた。汁なし担々麺やチゲなど、家庭では簡単に作れないソースで本格感を持たせている。
 
――主食でたん白質を摂取するという提案について
 
たん白質の摂取は肉や魚が中心になるが、食卓の皿数は減少傾向にある。主菜や副菜が少なくなり、カレーや麺類といった主食だけで完結するメニューが増え、たん白質が摂りづらくなっている。そこで、主食でたん白質を摂れるようにして、栄養課題を解決したいと考えた。たん白質が摂れる選択肢を広げていく提案だ。「大豆麺」は1袋でたん白質が19.3g摂れる。
 
厚生労働省の推奨する1日のたん白質の摂取基準は、年代や性別で差はあるが、成人で50~65gが推奨されている。一般的なうどんは1食で7~8gしか摂れないが、「大豆麺」はさらに10gほどオンできる。また、通常の麺類はたん白質が足りず、糖質を摂ることになるので、そのバランスも変えられる。
 
――流通からの反応は
 
秋冬の棚割りに向けたプレゼンを開始した段階だが、コンセプトの共感と理解をいただいている。陳列される売場はまだ分からないが、「うちのごはん」と同じ棚か乾麺売場、低糖質などテーマを設けた売場に並ぶ可能性もある。商品特徴からすると、ドラッグストアでも採用が見込める。
 
――想定するターゲット層と販売施策は
 
たん白質を摂取したい人は多い。20~30代の女性は美容意識が高く、高齢者にはフレイルの問題がある。老若男女問わず、忙しい中でも美容や健康に関心が高く、たん白質を摂りたい人、糖質制限したい人がターゲットになる。
 
コミュニケーション施策は、9月末からテレビCMの展開を予定しており、20~40代に向けてデジタルツールでもしっかりと情報発信していく。
 
――定量的な目標は
 
調味料の横展開商品として、意気込みを持って取り組んでいく。数年で10億円規模を目指したい。
 
――商品化の候補はどのくらいあったのか
 
数ある中で絞り込んだ。ソースは麺との相性で決まってくるが、「大豆麺」の特徴に合うものを選んだ。上市前には消費者向けの試食調査も実施したが、「大豆のにおいがしない」、「舌触りや歯切れは蕎麦っぽい」といった評価をもらっている。
 
――一番売れると考えている商品は

 
秋冬の新商品になるので、身体がポカポカ温まる「香る生姜かきたま」には期待している。
 
――麺のみを販売する可能性は
 
考えていない。おいしく継続してもらうために、ソースと合わせて販売することにした。例えば、「生姜かきたま」はスープとろみがある。大豆麺の舌触りはそばのようなザラつきがあるが、とろみがあることでツルっと食べられるようになっている。「濃厚ボロネーゼ」には牛肉と大豆ミートを併用している。麺とソースの組み合わせで、いかに満足してもらえるかだ。
 
〈大豆油糧日報2022年8月4日付〉

キッコーマン食品「大豆麺」提案、“主食でたん白質をしっかり摂る”初の麺商品、数年後に10億円規模に/福田大悟マネジャーに聞く開発秘話