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カイエンにコンバーチブル仕様? デザインスタディ初公開

ポルシェは、初代カイエンで検討されていたものの未発売に終わったプロトタイプを公開した。

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カイエン誕生20周年記念として公開されたこのプロトタイプは、「パッケージ・ファンクション・モデル」と呼ばれるもので、デザインと人間工学の研究に使用された。いわゆるデザインスタディである。

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初代ポルシェカイエンのデザインスタディ。2ドアのタルガ風ボディとなっている。    ポルシェ

そのため、リアエンドは左右非対称のデザインとなっている。左側はカレラGTの低く構えたテールをほぼ踏襲。右側は、2009年発売の初代パナメーラによく似たレイアウトを採用している。最大の特徴は、タルガ風のルーフと2ドアのボディを組み合わせだろう。

ポルシェによれば、このプロトタイプの目的は、「タルガトップのカイエンで後席乗員の快適性を保てるかどうかを判断する」ことと、「素早く格納できるソフトトップの開発」だったという。

ソフトトップについては、現行の911タルガと同様の機構を採用することにした。フロントとリアの両方から開けられるトランクリッドと、ルーフをZ字型に折りたたむための電動ローラーが使われている。しかし、このシステムは実際に市販車に搭載されることはなかった。

コンバーチブル仕様のカイエンは、収益性やスタイリングへの疑問から、それ以上開発が進められることはなかったという。

奇妙で挑戦的なスタイリング 7人乗りも視野

コンバーチブルSUVとして有名なのは、2011年に北米で発売された日産ムラーノクロスカブリオレや、2016年のレンジローバー・イヴォーク・コンバーチブル、2020年のフォルクスワーゲンTロック・カブリオレなどがある。カイエン・コンバーチブルが2002年頃に発売されていれば、ライバルの先を行くパイオニア的な存在となっただろう。

当時のCEOウェンデリン・ウィーデキングの目には、こうした先進的なモデルを発売するリスクはあまりにも高く映ったようである。ウィーデキングは、1990年代前半に倒産寸前だったポルシェを救ったことで知られており、カイエンの発売も彼が主導していた。彼は世界的な金融危機の影響を受け、2009年に解任されている。

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初代ポルシェカイエンのデザインスタディ。リアをどう見せるか、意見が大きく分かれていたようだ。    ポルシェ

ポルシェの現チーフデザイナーであるミヒャエル・マウアーは、「コンバーチブルとなったSUVは、外観的にも形式的にもチャレンジングなものです」と語る。

SUVは大きく重いボディを持っています。これを小さな上半身と組み合わせ、ルーフを切り落とすと、非常に奇妙な形が生まれるのです」

ポルシェは初代カイエンで、クーペ仕様とロングホイールベースの7人乗り仕様も検討したが、いずれも実現には至っていない。後に、クーペSUVというアイデアは再浮上し、2019年のカイエン・クーペの発表につながった。

一方、7人乗りは未発売である。しかし、ポルシェは最近、カイエンの上に位置する新たなモデルラインとして、この役割を担うことができる電動SUVの計画を認めた。次世代パナメーラやタイカンと並んで、フォルクスワーゲン・グループの新プラットフォーム「SSP」を採用する見込み。とはいえ、コンバーチブルSUVについては、実現の可能性は低そうだ。


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