食品事業などを展開するヤクルト本社(東京都港区)が製造する乳酸菌飲料「ヤクルト」を愛飲している人も多いと思います。腸内環境を整える飲み物として知られ、甘くて飲みやすいことから幅広い世代に親しまれています。最近では、独自の乳酸菌を高密度に含む「Yakultヤクルト1000」「Y1000」が、睡眠の質向上に役立つとして連日話題となり、品薄状態が続いています。

 一方で、容量が小さく、物足りないと感じる人もいるようです。なぜ、ヤクルトは小さい容器に入っているのでしょうか。また、大量に摂取すると、体調にどのような影響があるのでしょうか。同社お客さま相談センター長の宮岡素朗さんに聞きました。

一度に大量摂取しても、乳酸菌が定着せず

Q.現在、何種類のヤクルトを製造しているのですか。

宮岡さん「全部で8種類製造しています。内容量は65ミリリットル、80ミリリットル100ミリリットル110ミリリットルの4種類のサイズがあり、製品によってサイズが異なります。このほか、『ヤクルト』をアイスクリームにした『アイス de ヤクルト』という商品もあります」

Q.ヤクルトなどに含まれる乳酸菌の働きについて教えてください。

宮岡さん「そもそも、乳酸菌は乳糖やブドウ糖などの糖類を代謝し、乳酸を作る菌の総称です。一般的な乳酸菌は胃液や胆汁といった消化液に弱いため、生きて腸に届きません。しかし、ヤクルトに含まれる、当社独自の『乳酸菌 シロタ株』は、胃液や胆汁に負けないよう強化培養しているため、生きて腸まで届き、腸内で乳酸を作ることで腸管の運動、食物の消化・吸収を促進するだけでなく、有害菌の増殖を抑制します」

Q.なぜ、容量が小さいのでしょうか。

宮岡さん「ヤクルトは、毎日続けて飲んでいただくことを目的とした製品です。毎日、飽きずに飲み続けられるように、また、衛生面から1回で飲み切れるよう、小さめの容器を採用しています。サイズは小さいですが、1本で十分な量の乳酸菌を摂取することが可能です」

Q.それでは、1日に複数本飲んでもいいのでしょうか。

宮岡さん「ヤクルトに含まれる乳酸菌 シロタ株をたくさん取ること自体は、害になることはありません。食事に支障のない範囲であれば、1日2本以上飲んでも構いませんが、体の外から取り入れた乳酸菌は腸に定着しないため、一度にたくさん飲むのではなく、毎日1本ずつ継続して飲むことをおすすめしています」

Q.1日1本で十分ということですが、「ヤクルトを好きなだけ飲んでみたい」と思う人もいるようです。1度に大量に摂取しても問題ないのでしょうか。

宮岡さん「先述したように、乳酸菌 シロタ株自体をたくさん取っても害になることはないため、食事に支障のない範囲でお飲みいただくのであれば、特に問題はありません。ただし、糖質が含まれているので、大量に飲むことで糖質の取り過ぎやカロリー過多につながる可能性もあります。また、冷蔵保存していたヤクルトを一度に大量に飲んだ場合、おなかが冷えてしまうことも考えられます。ご注意ください」

Q.ヤクルトを摂取するのに最適な時間帯はあるのでしょうか。

宮岡さん「ヤクルトは食品のため、基本的にいつ飲んでも構いません。毎日の生活の中で、継続的に飲める時間帯を選んで飲んでください」

Q.冷蔵庫から出した直後に飲んだ方がいいのでしょうか。また、加熱したり凍らせたりしても問題ないのですか。

宮岡さん「ヤクルトは10度以下で冷蔵保存して飲むことを想定した製品です。冷たいまま飲むことをおすすめしていますが、冷たいものが苦手ということであれば、冷蔵庫から出して、しばらく室温になじませてから飲んでも問題ありません。ただし、常温で長時間放置すると品質が劣化するためお気を付けください。

また、人肌程度までの温度であれば問題ありませんが、温度が高くなり過ぎると、乳酸菌 シロタ株の数が減ることが考えられます。なお、じか火加熱や電子レンジを使用するなどして加熱すると、液温のコントロールが難しくなり、容器の破損にもつながるほか、冷凍した場合も内容液が膨張することで容器が破損し、液漏れする恐れがあります」

Q.ヤクルトを他の飲み物や食べ物と一緒に摂取したり、調理に使用したりすることはできるのでしょうか。また、ヤクルト本社の製品である「ミルミル」をヤクルトと一緒に飲んでいる人もいるようですが、問題ないのですか。

宮岡さん「他の飲料と混ぜて飲んだり、熱を加えて調理したりすると、ヤクルトに含まれる乳酸菌 シロタ株が死んでしまったり、弱ってしまったりすることがあるため、おすすめできません。生きた菌を腸まで効率よく届ける最もよい方法は、そのまま飲むことです。

乳酸菌 シロタ株は主に小腸で働く一方、ミルミルに入っている『ビフィズス菌 BY株』は主に大腸で働くため、この2つの製品を毎日一緒に飲み続けても問題ありません。両方飲む際は、ヤクルトとミルミルを混ぜて飲むのではなく、それぞれの容器のままお飲みください。同じ時間帯に飲んでも、それぞれ別の時間帯に飲んでも構いません」

オトナンサー編集部

(左から)「ヤクルト400」「ヤクルト400LT」「ヤクルト400W」(ヤクルト本社提供)