命の危険すら感じられるような猛暑が続く昨今。熱中症のリスクを抑えるためにも、小まめな水分補給を怠らないよう気をつけたい。

水分補給といえば、毎年この時期にはツイッターを中心に「信じてはいけない都市伝説」が話題となっていることをご存知だろうか。


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■ポカリ=青春の味

ポカリスエット

今回注目したいのは、日本が世界に誇る大塚製薬のスポーツドリンク「ポカリスエット」(以下、ポカリ)の飲み方である。

スポーツドリンクの中では独特な甘みを持つポカリ。学生時代に運動部に所属していた人の中には「ポカリ=青春の味」という方程式ができあがっていることだろう。

現在「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載中の大人気青春漫画『アオのハコ』でもポカリは非常に印象的に描かれており、中でも同作の読み切り版ではキスシーンの後に「凍らせたポカリの溶け始めの味がする」というとんでもなくエモい台詞が登場し、全国の読者にポカリと青春の親和性を改めて認識させたものである。

しかし毎年夏になると決まって、こちらのポカリをめぐる危険な都市伝説が囁かれているのだ…。


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■「この飲み方はやめて」と何度言っても…

その都市伝説というのが「ポカリは薄めて飲んだほうが良い」というもの。前述の通りポカリは独特な甘みをしており、確かに人によってはやや薄めて飲んだほうが好みの濃度になるかもしれない。

…だが「ポカリスエット公式サイト」内にて公開されている「よくあるQ&A」のページを見ると、大塚製薬はこちらの飲み方を全力で否定しているのだ。

例えば「子供に飲ませても良いですか? また、飲ませるときは薄めた方が良いですか?」という質問に対しては「離乳食が完了したお子様でしたら、お飲み頂けます。飲ませるときは薄めずにそのまま与えてください。ポカリスエットを薄めて飲むと『水分とイオン(電解質)のスムーズな吸収』が損なわれてしまうため、薄めずにそのままお飲みになることをおすすめいたします」と回答。

さらには「ポカリスエットは薄めて飲んでも熱中症対策になりますか?」「ポカリスエットを薄めると吸収スピードは変わりますか?」といった質問にはそれぞれ「ポカリスエットを薄めてお飲みになることはおすすめしておりません」「水で薄めてしまうと『水分とイオン(電解質)のスムーズな吸収』が損なわれてしまうのでおすすめしておりません」とバッサリ切り捨てており、「絶対薄めて飲むな」という強い意志が感じられるのだ。

ポカリスエット

まさに「ポカリ薄めて飲むの絶対許さないマン」とでも呼ぶべき確固たる姿勢を受け、それまでポカリを薄めて飲んでいたユーザーの多くが考えを改めるようになったのだが…それでも毎年夏になると「(熱中症対策には)薄めたポカリが一番」などの流言が、ネット上を飛び交っているのが現状である。

そこで今回は、ポカリの「正しい飲み方」について学ぶべく、大塚製薬 広報部に詳しい話を聞いてみることに。すると一連のデマを受け、大塚製薬がいかに苦労を重ねてきたのか明らかになったのだ…。

■苦労のほどが伺える…

まずは前出の「よくあるQ&A」ページ内で、明らかに「ポカリを薄める」行為に関する言及が多い背景について尋ねたところ、担当者は「ポカリスエットは発汗により失われた水分と電解質(イオン)をスムーズに補給できる健康飲料です。体液に近いイオンバランスですばやく吸収でき、カラダを潤します。この働きは、研究でも明らかにされています」と前置き。

続いて「しかし、薄めることでこの機能が発揮できず、必要且つ適切な水分、電解質の補給ができない場合があるため、このようなお願いをしているところです」と回答してくれたのだ。もちろんこれらの取り組みには、「熱中症を防いでほしい」という同社の強い思いが込められている。


■新時代の「熱中症対策」も取り入れていた

ポカリスエット

1980年に誕生し、以後長きに渡って日本人の水分補給をサポートし続けているポカリ

42年の歴史の中での改良・チューンアップ箇所などを尋ねると、担当者からは「社会環境の変化により飲食料に求められる事柄が変化してきますが、ポカリスエットは『水分、電解質補給に適した飲料』という機能は変えず、容量・容器・剤型などが時代に応じて変化してきました」という回答が得られた。

中でも注目したいのが、2018年に展開された「ポカリスエット アイススラリー」なる逸品で、大塚製薬は「汗をかいて体温を下げることができないシーンや職業があることへの気づきから生まれた『カラダを芯から冷やす』タイプのポカリスエットです」と、同商品について解説している。

ポカリスエット

「アイススラリー」とは、細かい氷の粒子が液体に分散した状態の飲料を指し、流動性が高いことから通常の氷よりも体の内部を効率よく冷やす効果があるというのだ。

なお、同商品は近年注目を集める「プレクーリング」という新たな熱中症対策とも非常に相性が良く、担当者は「運動、活動前に一時的に深部体温を下げる『プレクーリング』の概念が近年提唱されており、その方法としてアイススラリーが用いられています」「活動前に飲むだけで、あらかじめ深部体温を下げることができ、その後の体温上昇を抑制するアイススラリーは、熱中症対策の新しい選択肢として日常の様々なシーンでの活用が期待されています」と、太鼓判を押している。


■今年の夏は特に気をつけて

今年は7月を目前にして真夏のような暑さが各地を襲ったかと思えば、突然の「戻り梅雨」で気温が一旦落ち着き、そして再度真夏の日差しが照りつけており、まさに「暑さに翻弄された夏」と言えるだろう。

大塚製薬は「今年の夏は暑熱順化(体が暑さに慣れること)ができないまま、いきなりの酷暑を迎えました。梅雨明けは特に注意しなければならないとされていますが、今年は急な高温続きで、さらなる警戒が必要です」と、従来の夏とは異なることを強調しつつ、「小まめな水分、電解質補給はもちろんですが、様々な冷却グッズもありますので、上手く活用して、熱中症を防いでください」と、熱中症対策のコツについてコメントしてくれたのだ。

ポカリスエット

夏休みの宿題も水分補給も、後で苦しまないよう「コツコツ」継続していくのが基本中の基本。ポカリを飲む際は、大塚製薬が明言している「正しい飲み方」で水分補給を行なおう。

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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ

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