ドラゴンボール

その言葉が本来持っていた意味が薄れて別の意味での用途が主流となり、現在では「多義語」となったフレーズも少なくなく、たとえば「ヤバい」などがその筆頭であろうか。

なお現在ツイッター上では、同じく多義語になりつつある「予想外の4文字」が世界規模で注目を集めているのだ。

【話題のツイート】これはクソゲー…いや、KUSOGEEE!?


■世界に羽ばたく「クソゲー」

大きな話題となっているのは、ツイッターユーザー八木さんが投稿した一件のツイート

こちらの投稿には「海外でどうやら『クソゲー』という言葉が『ありえね〜〜〜』みたいなニュアンスで使われてるらしく、EVO実況者が『KUSOGEEEEEE!』って叫んでてめちゃくちゃ面白い。世界大会やぞ」と綴られており、対戦格闘ゲームドラゴンボール ファイターズ』(以下、DBFZ)の対戦動画が貼られていたのだ。

動画を再生すると作中キャラクター天津飯ゴジータ超サイヤ人4)の対戦する様子が確認できたのだが、ゴジータメテオ超必殺技ヒットするや否や、外国人実況者の男性は「No Way!」とリアクションを見せ、続けて「KUSOGEEEEEEE!」(クソゲー!)とネイティブ全開な英語発音で絶叫し始めたではないか。


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■全国の格ゲー勢から「面白過ぎる」

「ハラキリ」や「カローシ」など、日本語読みがそのまま英語でも使用されるようになった有名な概念はいくつか存在するが、まさか「クソゲー」がこれらのワードと肩を並べる日が来るとは誰が予想できたであろうか。

さらにこちらの対戦動画は、今年は8月5日から7日にかけてアメリカラスベガスで開催された世界最大規模の格闘ゲームの大会「Evolution Championship Series」(以下、EVO)のものであり、そうした大会の壇上で「クソゲー」が発せられ、日本の格ゲー勢の度肝を抜いたというワケである。

件のツイートは投稿から2日足らずで2万件以上ものRTを叩き出しており、他のツイッターユーザーからは「夜中にめちゃくちゃ笑った」「発音めっちゃ良いな」「世界大会で『KUSOGEEE』は面白過ぎる」「ニュアンス的に間違っていないのがまた良い」といった反響の声が多数寄せられているのだ。

果たして実況者外国人男性は、なぜ「クソゲー」というフレーズを用いたのか疑問に感じた人も少なくないだろう。じつはこちらのエピソードには、さらなる衝撃展開が待ち受けていたのだ…。

■再評価著しい「クソゲー」の魅力

自身も『ストリートファイターシリーズを中心に、格闘ゲームプレイしているツイート投稿主・八木さん

元々は格闘ゲームに関する情報を多数発信している「HiFight」(ハイファイト)氏がこちらの動画をツイートしているのを見て自身も大いに衝撃を受け、この思いを人々と共有したいと感じ、件のツイートを投稿したという。

そもそも「クソゲー」とは本来、ゲームバランスがおかしかったり明確なバグが確認できるゲームなどを指すネガティブな表現であったが、近年では再評価が進み、「遊びたくないクソゲー」から「むしろ遊んでみたクソゲー」として認識するゲーマーも少なくない。

特にユーチューバーからすま氏は、クソゲーに対する理解やテンポの良いトーク、動画の随所に散りばめられた小ネタ、ギリギリを攻める姿勢はもちろん、自身の体に異変をきたしてもプレイを辞さないクソゲー愛が多くの視聴者ハートを掴み、「近代クソゲーの再評価」に大きく貢献した人物である。

またネット上では毎年「クソゲーオブザイヤー」(KOTY)という、その年一番のクソゲーを決定する祭典が開催され、多くのゲーマークソゲーの奥深さを啓蒙しているのだ。

さらに言うと「クソゲー」自体も近年では多義語になりつつあり、クソゲー界の征夷大将軍と名高い『デスクリムゾン』や『メジャーWii パーフェクトクローザー』などを指すのが本来の用途なのだが、格ゲーマーの間では「愚痴や文句」の類として使用されるケースも少なくない。

例えば多くの格闘ゲームでは、相手の投げ技に対してタイミング良くボタンを押すことで技を抜けられる「投げ抜け」(グラップ)と呼ばれる防御テクニックが存在するのだが、反応が一瞬遅れただけでも投げが成立してしまうため、当事者としては「投げ抜けしたのに投げられた」としか感じられない事態がしばしば起こり、エキサイトした格ゲーマーは「は? グラップしたわ!」「何だこのクソゲー?」といった好戦的な独り言を発してしまうのである。

つまり、本来であれば「クソゲー」と評価されるに値しない、対極の位置にある「神ゲー」に当たるバランスの作品も、場合によってはプレイヤーから「クソゲー」と揶揄されてしまうケースはじゅうぶんに起こりえるのだ。


■「後日談」も面白過ぎる…

また格闘ゲームには「ぶっぱ」(ぷっぱなし、パナし)という概念が存在し、これはセオリー通りの状況ならば使用しない必殺技などを発動する行為で、格ゲーマーの中では「当たれば正義」の名の下で施行される。

そして今回話題となった「KUSOGEEEEEEE!」の一幕では、フランス勢のWawa選手が突如、ゴジータメテオ超必殺技を「パナし」たワケなのだが、こちらの技は対戦中に特殊行動を7回成立させなければ発動できない代わりに、ヒットすれば最大20,000ものダメージ(作中の基本体力は10,000)を与えられる即死技。

そんなピーキーな性能をした技がEVOの大舞台でパナされ、見事クリーンヒットを決めたため、リアルタイムで見ていた観客・実況者がいかに興奮したかが伺えるというものだろう。

そのため、話題となった対戦のシチュエーションは広義では「クソゲー」に抵触するものと判断され、多くの日本人格ゲーマーは実況者に対して「日本語への造詣が深い」というポジティブな意見を寄せているのだ。

なお「KUSOGEEEEEEE!」で一躍「時の人」となった実況者はTy Hazard氏というプロレスラーで、大きなバズりを見せた八木さんツイートに対し「ゴジータのこのムーブに対して、私はいつもこうして叫んでいるんです」「DBFZを応援してくれてありがとうございます」と紳士的なリプライを送り、「KUSOGEEEEEEE!」が彼にとって鉄板ネタであることを明かしてくれたのだ。

ちなみに海外勢とも交流がある格ゲーマー・DESORA氏に海外のクソゲー事情について確認してもらったところ、フランス勢からは「よほど日本のカルチャーに詳しい人物なら分かるが、大半のゲーマーは『KUSOGE』の概念を理解できないだろう」との回答があったという。

また中国勢からは「垃圾游戏」(直訳でゴミゲーム)という単語があるにはあるが「格ゲーの対戦中に用いるようなフレーズではない」との回答が返ってきたそうだ。

日本から世界に羽ばたきつつあるクソゲー。各国に誇るべきこの文化を後世に受け継いでいくのが、我われ日本人ゲーマーの務めではないだろうか。

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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ

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