長谷川重典商品戦略部ホームユース課長

長谷川重典商品戦略部ホームユース課長/ 日清オイリオグループ

長谷川重典商品戦略部ホームユース課長に聞く〉
日清オイリオグループは、オイルで気軽に味つけを楽しめる「日清やみつきオイル」と「BOSCOシーズニングオイル」の両シリーズを「味つけオイル」と呼び、「かけるオイル」に続いて、食用油市場創造に向けた新カテゴリ創出に取り組んでいる。

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今夏からターゲット世代層に合わせた販売施策を本格的に開始していく。料理の初心者は中食や総菜にかけることで手軽に味変が楽しめ、料理ベテラン層にも、本格的な味つけが気軽に出来るアイテムとして支持されると期待する。「味つけオイル」の提案を通じて、「油が料理をおいしくしてくれる」という期待をさらに高め、将来的にはオイルを料理の基本「さしすせそ」や「だし」に次ぐ調味料として、もっと身近な存在になることを目指していく。長谷川重典商品戦略部ホームユース課長に、「味つけオイル」の開発秘話やコミュニケーション戦略、今秋新発売となる新商品の狙い、今後の目標について話を聞いた。

――ビジョン2030で家庭用食用油市場成長のキーワードとして掲げた「味つけオイル」への取り組み進捗は

2015年から発売している「かけるオイル」シリーズの提案を通じて、食シーンにおいて「オイルをかける」使い方もだいぶ浸透し、一つの大きなカテゴリを創出するまでに成長している。さらに、「かけるオイル」の楽しさ、おいしさへの期待に応える商品ラインアップが、オイルで気軽に味つけを楽しめる「日清やみつきオイル」シリーズ、そして「BOSCOシーズニングオイル」シリーズで、これらを「味つけオイル」と呼び、今後の食用油市場創造に向けて現在コミュニケーションや店頭販促など、お客さまへの提案を進めているカテゴリになる。

当社では今夏を「味つけオイルの本格浸透期」のスタートと位置付けており、テレビ番組タイアップ企画、CMスポット、キャラクターボトルの採用、料理動画アプリ活用、ウェブ・SNSへの仕掛け、そして何よりコロナ禍で難しかった「まずは実際に味わって頂くための仕掛け」など、ターゲットとなる世代別にあわせてコミュニケーションを開始した。

――具体的なコミュニケーションの内容は

「かけるオイル」、そしてその楽しみ方を広げてくれる「味つけオイル」のターゲットや可能性は、従来の食用油提案よりも広いと考えている。普段あまり料理をしない層にとっても、中食、持ち帰りの総菜にかけて味変を楽しんでもらえるし、料理が好きな人にとっても、本格的な味つけが気軽に出来るアイテムとしてご愛顧いただけるものと考えている。

従って、お客さまの世代もそうだが、食との携わり方、距離感も踏まえたコミュニケーションを意識しており、例えば「料理初心者」にはテレビCMやウェブ動画広告を通じて、シンプルに「旨そう」、「楽しそう」を感じてもらい、さらに実際にイベントなどで食べていただくことで商品に興味を持ってもらうことを目指している。料理に慣れているが、長引く内食傾向に少々マンネリを感じていたり、さらなる探求心をもつ「料理ベテラン層」に向けては、料理誌や料理動画アプリとの連携で、レシピ提案を通じた新たな発見や気づきを示唆する取り組みを中心に進めている。

テレビCMは「おいしそう」にとことん集中した作りにこだわった。また、今夏久し振りにテレビ朝日の「サマーステーション」が開催され、そこに「NEWニューヨーク水うまグルメPowered by 日清やみつきオイル」ブースを出展している。新しい味わい方を楽しんでもらい、ぜひ家庭でも実践してもらえれば幸いだ。
テレビ朝日「サマーステーション」に出展している「NEWニューヨーク水うまグルメPowered by 日清やみつきオイル」ブース

テレビ朝日サマーステーション」に出展している「NEWニューヨーク水うまグルメPowered by 日清やみつきオイル」ブース

さらに店頭における仕掛けとして、世代を選ばず人気のキャラクター「ポケモン」のデザインを採用した期間限定ボトルを発売した。SNSを中心に話題に取り上げてもらっている。
 
〈「オイルが実現できるおいしさ」の可能性を探求、絶妙なバランスの風味を作り上げる〉
――コミュニケーションの手応えは

 
今回の「味つけオイル」提案については、当社のオススメとして押し付けるのではなく、お客さまからの声、支持が自然に広がっていくことを目指しており、SNSでも当社アカウントではなく、テレビ朝日と連携した番組タイアップアカウントを中心に訴求を進めている。通常一定の影響力を持つフォロワー数1万人を集めるのに一つの谷があるが、特に若年層からTikTokアカウントの支持が集まり、早期にフォロワー数目標を超えたことは自信になった。
 
SNS上の話題拡散状況も逐次確認しており、数値的な上昇ももちろんだが、「やってみた」、「この味やみつきだ」、「〇〇にかけたらおいしかった」など、実際の喫食体験の声が広がっている事が、食品メーカーとして何より嬉しい。
 
――味つけオイルの商品開発までの道のりと苦労、フレーバー選定のための市場調査や研究は
 
当社ビジョン2030を踏まえて、「もっとお客さまの近く」で事業を展開するには、生活者の皆さまが何を期待して、どんな調理や食事を望んでいるかを常に見つめ、潜在・顕在ニーズに対応していくことが必要になる。
 
近年、食用油は「調理に必要だから使うが、出来るだけ控えたいモノ」から、「健康性や料理をおいしくしてくれる期待」、「加熱調理だけでなく、生でかけたり、飲み物に入れたりして、積極的に摂り入れたいモノ」に、生活者の意識や期待も大きく変わってきていると感じている。
 
「味つけオイル」の提案を通じて、ごま油オリーブオイル市場拡大の背景にあった「油は料理をおいしくしてくれる」期待をさらに高め、「このオイルそのものがおいしい」、「このオイルの味でさまざまな料理を楽しみたい」といった能動的なウォンツ(消費者の欲求)を引き出し、将来的にはオイルを料理の基本「さしすせそ」や「だし」に次ぐ調味料として、生活者のもっと身近な存在になることを目指している。
 
この新たな価値創造を実現するには、商品企画や開発、コミュニケーションなどを推進する各部門が連携し、生活者や流通の皆さまの期待に応え、信頼と親近感を勝ち取っていくことが重要だと考えている。
 
「日清やみつきオイル」、「BOSCOシーズニングオイル」とも、新たに「オイルが実現できるおいしさ」の可能性を探求し、中央研究所と何度も検討を重ね、さらに社内モニターへのヒアリングを繰り返し、絶妙なバランスの風味を作り上げた。
 
昨秋発売した「日清やみつきオイルアジアンパクチー」の開発にあたっては、担当の枠を超えてエスニック料理が大好きなメンバーが集まり、実際にお店で試食しながら「やみつくエスニック風味」になくてはならない要素を洗い出した。
 
〈秋冬新商品は「旨辛系」を追加、新たな市場創造で食用油市場の持続的な成長を目指す〉
――レシピ開発の工夫や取り組み、担当者オススメのメニューについて

 
BOSCOシーズニングオイル」は、基本的には塩コショウとともに、BOSCOエキストラバージンオリーブオイルならではのグリーンな風味が活きたこのオイルを使えば、肉も魚も野菜も、ただ炒めるだけ、焼くだけ、和えるだけで、簡単に味つけができる。
 
料理全体の香り立ちが豊かになり、ほかの食材の香りや味も引き立つことで「料理をおいしく仕上げられる風味」を実現できている。洋食はもちろん意外なところでは「おでん」にも合う。だしやスープとも相性が良いので、いつもと違うおいしさを楽しんでいただけると思う。
 
「日清やみつきオイル」第3弾として、アジアンテイストに挑戦した「アジアンパクチー」は本物のパクチー代わりにエスニック料理にかけるのはもちろん、普段ご家庭で作る塩焼そばや野菜炒めにかけるだけで、アジアン気分に変わるので是非試して欲しい。

「日清やみつきオイル アジアンパクチー」を使ったメニュー例

「日清やみつきオイル アジアンパクチー」を使ったメニュー例

また、先に記述した通り、今夏テレビ朝日で開催されているサマーステーションでは、「キーマカレー×アジアンパクチー」、「ザーサイ焼きにぎり×ごま油にんにく」、「フライドポテト×ガーリックバター風味」など、組み合わせの面白さを楽しめるメニューを提供しているので興味があれば立ち寄ってもらいたい。
 
――今秋新発売商品の狙い・特徴、そして今後の市場創出に向けて

「日清やみつきオイル海老ラー油」

「日清やみつきオイル海老ラー油

使い方が想起しやすく、長引く内食傾向により再び注目されている「辛さ」をコンセプトとし、その中でも旨み、香り、風味を楽しめる「旨辛系」の新商品を追加した。
 
「日清やみつきオイル海老ラー油」は、旨辛系で想起しやすいベトナム風の味付けで、唐辛子の辛さに、海老のうま味レモングラスの香りとともに、近年すっかり食卓に定着した花椒の痺れ風味をアクセントとしてプラスしている。まさにラー油を超えた「やみつき流のラー油」として市場獲得を目指す。
 
BOSCOシーズニングオイルレッドペッパー」は、他ラインアップ同様BOSCOエキストラバージンの風味と相性の良いレッドペッパーの辛味が特徴で、ガーリックの風味が奥深さを演出する。これ一本でレストラン仕様の風味をつけられる一品だ。

「BOSCOシーズニングオイルレッドペッパー」

BOSCOシーズニングオイルレッドペッパー

これで「日清やみつきオイル」で4品、「BOSCOシーズニングオイル」で4品となるラインアップは、現在の市場サイズとしては品数として多く感じられるかもしれないが、まず「味つけオイル」というカテゴリ提案を強力に進めるためには必要な拡充だと考えている。
 
今後も商品開発、コミュニケーション、店頭提案を通じて食卓に「おいしさ」を提供する新たな市場創造を実現し、食用油市場の持続的な成長を目指していく。
 
〈大豆油糧日報2022年8月10日付〉

日清オイリオグループ「味つけオイル」で新カテゴリ創出に取り組み、“オイルをもっと身近な存在に”開発秘話と販売戦略