安倍晋三元首相の来歴の中でインパクトがあったものといえば、2016年ブラジルリオデジャネイロで開かれた夏季オリンピックの閉会式で見せた「安倍マリオ」だろう。

 閉会式には次大会の開催地へ引き継ぐ要素が入る。そこで、土管の中からスーパーマリオに扮した安倍氏が出現したのだ。東京を走り回ったバーチャルマリオが、ドラえもんの力を借りて作られた土管の中に飛び込み、地球の裏側の会場に安倍マリオが出現する流れ。

 この演出に、日本では戸惑いを覚えた視聴者もいたようだが、世界での評価はおおむね好評だった。閉会式ではドラえもんのほか、ハローキティキャプテン翼なども登場し、世界的な知名度のある日本のポピュラーカルチャーのアイコンが散りばめられていた。世界の人々になじみがある日本のイメージにうまく合致したのだろう。

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 安倍氏は、2012年に第2次安倍政権をスタートさせると外交を積極的に行い世界での知名度を上げてきた。2014年にはアメリカの雑誌『TIME』の「世界で最も影響力のある100人」に日本人で唯一、選ばれたことも。安倍氏の死去を受けて海外から追悼の声が相次いでいるのも納得の話だ。そうした人物が、ゲームキャラクターに扮して現れたギャップに世界が沸いたと言える。のちの国際会議の場でも要人たちから「あれは良かった」と言われたと安倍氏自身が2021年7月の「読売新聞オンライン」のインタビューで述懐している。

 この安倍マリオの発案者は誰であったかといえば、2020年東京大会の組織委員会の森喜朗会長(当時)だった。もともと開催地の「リオデジャネイロ」の略称である「リオ」と「マリオ」の響きが似ていることから、マリオを登場させるプランはあった。森氏はその役を「総理にお願いしよう」と提案し直接交渉する流れがあったという。遊び心にあふれる演出のきっかけが“ダジャレ”というのも興味深い。

 これまでにない異例続きの型破りな演出がウケたのが安倍マリオだったと言えるだろう。

安倍晋三元首相