多くの人が憧れる大手企業ですが、入社前に抱いていたイメージとは全く違うことでショックを受ける新入社員も多いそうです。新卒向け就職エージェント「career ticket(キャリアチケット)」の調査(2022年3月14日、新入社員300人対象)によると、新入社員の3人に1人が、入社した企業に対して入社前よりもマイナスなギャップを抱いていました

 大手IT企業に勤める関根優馬さん(仮名・25歳)も、実際に働いてみて「こんなはずじゃなかったのに」と頭を抱える一人。現在も理不尽な会社での生活を強いられているのだとか。

運よく内定をいただいた

 関根さんは、夢の大手IT企業に入社しました。

「当時は、大手企業と聞くとキラキラしたイメージがありました。私が勤めているIT企業は、ネームバリューがあることはもちろん、給料、福利厚生、残業代の支給など、条件的にも問題ありませんでした。運よく内定をいただいたので、入社を決めました」

「飲み会=仕事」とされる文化

飲み会 乾杯

 憧れの会社も、いざ入社してみるとガラリとイメージが変わることも……。

「フタを開けてみると、伝統を重んじるような堅い会社だったんです。特に上下関係が激しく、社内では上司の言うことは絶対といった考えが浸透しています。コロナが流行する前であったこともあり、週に3日から5日の頻度で先輩から飲みに誘われ、朝まで帰れないことも稀ではありません。毎日の平均睡眠時間は3時間で、睡眠不足アルコールで顔が浮腫んだ状態で出勤しています」

 さらに、とある飲み会で二軒目の誘いを断ると、上司から思いもよらぬ返事が返ってきました。

「精神、体力に限界を感じた私は、初めて二軒目へのお誘いを断りました。すると、先輩は『飲み会は仕事のうちだから、若いうちに色々吸収しろ。朝まで頑張ることに意味がある』と答えたのです。そこまで言われてしまうと、半強制的に行かざるを得ないですよね

10万円に及ぶ飲み会の支払い



 定期的に行われる会社の飲み会では、新人が幹事を任命されることが多いのだそう。

「月に一度の社内懇親会と年間行事での飲み会があるのですが、新人が全員分の会計を立て替えるという会社の慣例があります。後日、参加者からお金を回収するものの、毎回クレジットカードで支払う金額は、一次会、二次会を入れて10万円に及ぶこともあるんですね。私のクレジットカードの限度額は15万円までなので、残高がマイナスになることも多く、ギリギリの生活を送っています」

 飲み会への出費が大きいことから、プライベートで使うお金にも気を遣うようになったとか。

「なるべく現金で支払うようにしたり、引き落とし日前は出費を抑えるように心がけています。残高がマイナスになると、毎月コツコツと貯金している別の口座から差額分を引き落とさなければならず、自分のお金を好きなように使ったり、貯金できないことにもどかしさを感じています

結果、借金を背負うことに

 支払った金額が返ってこないケースもあるといいます。

「後日、参加費を集めるのですが、何度伝えても忘れてしまう人は稀にいます。結果、上司に何度も催促しづらくなり、私が余分に支払うこともあります。もちろん催促できない私が悪いのですが、会社で毎日顔を合わせるたびにお金のことを話すことも気が進まず……」

 その結果、関根さんは最悪の事態に陥ります。

「過去最大の参加者人数20人の飲み会では、約15万円を支払いました。家賃や生活費なども払っているため、次の月の請求金額が一人では払えないほど高くなってしまい……。恥ずかしながら母親に借金し、徐々に返しているところです

 コロナが流行したことにより、社内での飲み会は減ったそう。現在は大惨事は免れたものの、大手企業だからこそ、いまだに過去のしきたりが文化として残っている会社もあります。ですが、関根さんのように身を削ってまで守る必要はあるのでしょうか。今後、新入社員の入社後のギャップを減らすためにも、見直すべき点なのかもしれません。

TEXTHonoka Yamasaki イラストカツオ(@TAMATAMA_GOLDEN)>

―特集[本当にあったブラック職場]―

【Honoka Yamasaki】

ライターダンサーpurple millennium運営。
Instagram :@honoka_yamasaki