(平井 敏晴:韓国・漢陽女子大学助教授

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 コロナに感染してしまった。韓国から日本に一時帰国して4日目の発症だった。

 幸い、症状は風邪未満だった。ちょっと喉がイガイガしていて、東京で人前で話す予定があったので、念のために抗原検査キットで検査してみたら陽性だった。恐らく、かなり初期段階でわかったのだろう。実家の家族がコロナにかかったものの、周囲には感染を広げずに済んだ。

 発症翌日の午後あたりから鼻の奥に痛みを感じ、咳がそれなりに出るようになった。その時の体温が37.5℃になったが、それ以外はもっぱら36℃台後半だった。

 かかりつけの医者がなく、のんびりした性格もあり、処方箋を受けるのに戸惑ってしまい、薬を飲み始めたのは発症の翌々日だった。でもその頃には、鼻の奥の痛みが少し残り、咳が出るくらいで、症状はほぼ落ち着いていた。

日本は突出して厳格

 日本ではコロナにかかると、発症日を基準にして10日間の隔離療養に入る。この10日間は、絶対である。短縮はできない。それに濃厚接触者も5日間の隔離が求められる(ただし2日目と3日目の検査で陰性なら3日目から解除が可能)。もしも濃厚接触者になってそのあと感染が判明すれば、2週間ほど学校や会社に行けなくなってしまう。

 この隔離期間の長さは、いくら何でも何とかならないのだろうか。多くの医療関係者から聞いた話では、発症から5日が過ぎると、ウイルスの感染力は低下するのだという。

 ちなみに、韓国や台湾、フランスは検査で陽性になってから7日間だ。アメリカの場合は州によって異なるのだろうが、カリフォルニア州の場合は最低5日で、5日目以降に抗原検査で陰性になれば療養期間が終わる。ドイツの場合は、5日間だ。

 濃厚接触者の隔離期間についても同じだ。参考までに各国の状況を挙げると、台湾は3日。フランスの場合、直ちに検査して陰性ならば隔離なし。アメリカドイツ、韓国では隔離なしで検査の必要すらない。もちろん各国でさらに細かい制限やお願い事項があるが、ここでは割愛する。

 ちなみに、イギリスでは今年(2022年2月24日から、濃厚接触者にも感染者にも、隔離は求められなくなった。もちろん、コロナへの対策と意識は国によって異なるので、このデータを単純に比較するのは難しい。だが、日本は突出して厳格である。

 この厳格さは、入国の時からすでに強く感じていた。

 私が驚愕したのは、日本に到着した飛行機を出てからすぐにはトイレに行かせてもらえなかったことだ。飛行機は着陸態勢に入ると、トイレが使えなくなる。その間、約20分前後だ。今回の帰国便では、着陸30分前くらいからトイレになんとなく行きたくなっていた。ただ、急を要するわけではないので、空港に着いたら用を足すことにした。

 飛行機から降りてトイレに向かおうとしたところ、なんと、乗客の通路にロープが張られていた。トイレは目の前にあるのだが、ロープの外なので行くことができないのだ。

 韓国に入国したときはどうだったかというと、飛行機を降りてすぐ、どのトイレにも自由に行けるようになっていた。動線を指示するロープなどもない。

 日本では海外からの入国者は完全にウイルス扱いだ。推定するところ、私が感染したのは日本入国日前後だと思われるが、仮に入国時に感染していたとしても、渡航者をそこまで厳重に管理する必要があるのだろうか。おまけに日本は、約8割の国民が必要回数のワクチン接種を終えているのだ。

 それともうひとつ、日韓のコロナ意識の差を感じたのは、飛行機を降りてからの雰囲気の違いである。

 日本では、携帯へのダウンロードが求められているアプリの確認がそれこそ何度も何度も(たしか5、6回も!)行われ、その確認を呼び掛ける担当者の声が不気味に響いていた。私が外国人観光客なら、その時点で、日本を旅行先に選んだことを後悔してしまうだろう。それに、再三の確認に動員される人員の人件費がもったいない。もしもミスをなくすためというのであれば、せめて2回で十分だ。日本はそこまでミスに厳しい、殺伐とした国なのか。

 韓国でもダウンロードが求められているアプリがあるが、その確認は1回のみ。それで十分に対応できている。

韓国の病院で診察を拒否された

 日本のこうした厳格な対応の背景には、新型コロナウイルスへの警戒心がある。

 日本に比べると、欧米は明らかに警戒心は少なくなっているようだ。ただし韓国はどうかというと、日本ほどではないが、警戒心はあまり大きな違いはないというのが実感だ。

 先日、軽く肩を痛めて整形外科を受診しようとした。海外渡航歴のある人は、受付の段階でスマホの画面上にその旨が表示されるので、韓国入国日はいつなのかなど、いくつか質問を受ける。

 私は入国からちょうど1週間目の日だった。ただ、耳孔で体温を計ったら、37.2℃の微熱があると言われた。その上で、それ以外のコロナの症状はないことが確認された。そこで、私は何となく、日本で3週間前にコロナにかかったと話をした。コロナにかかったが療養終了して陰性証明書を持って韓国に来たのだから、そんなに心配はすることはないという意味で伝えた言葉だった。

 ところが、これに受付の職員は目の色を変え、すぐに院長に確認に行った。結果は、受診拒否だった。「微熱があるから」と言うのだが、それこそ取ってつけたような理由ではないか。

 8月末までの限定であるが、ビザなしで韓国に行けるようになり、この機に韓国旅行を考えている人もいるだろう。ただ、韓国ではいまコロナが流行っており、渡航中に陽性となった場合はなかなか帰国できなくなる。

 そればかりか、渡航前に日本でコロナに感染すると、1週間ほど経てば韓国が入国の条件とする抗原検査で陰性が出るものの、韓国入国直後に義務付けられているPCR検査では感度が高いので、発症後数週間は陽性が出てしまう可能性もある。

 ちなみに、韓国入国の際に渡される防疫対策の案内文には、入国後10日間のお願いが記載されている。それによると、自主的に抗原検査を実施し、外出時にはPM2.5対応のマスクを着用。客でいっぱいの飲食店には立ち入らないように、とのことだ。

 韓国が外国人観光客を歓迎するようになるまでには、もう少し時間がかかりそうだ。

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