米ドル高と原材料価格の上昇が、商売でなんとか生計を維持している北朝鮮庶民の暮らしを直撃している。

両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋によると、恵山(ヘサン)では、先月中旬ごろから、店を畳む露天商が増えている。ドル高のせいで、商品の卸値が上昇している。

例えば、1ドル(約135円)が7000北朝鮮ウォン(約140円)から8000北朝鮮ウォン(約160円)になれば、卸売業者の販売価格は14.2%上昇する。だからといって、小売価格を上げてしまえば、商品が売れなくなってしまうため、値段を上げられず、売れば売るほど赤字が出る状況となってしまった。

「少額でもドルを持っていなければならないと骨身に染みてわかった。ドル高になれば、卸売業者は北朝鮮ウォンではなくドルでの支払いを要求するが、ドルがなく北朝鮮ウォンで買おうとすると、その分損をする。自国通貨に対する信頼が消えている」(コメ販売商人)

加工食品の値段も上がっている。人造肉(ソイミート)1キロの価格は3700北朝鮮ウォン(約74円)から5300北朝鮮ウォン(約106円)に上昇した。

人造肉飯(ソイミートにご飯を挟んだいなり寿司風のもの)を5年以上売ってきたという商人は、1キロ作って丸一日売っても3分の1も売れない日が続き、種銭が底をついたため、商売を畳むしかなくなったと嘆いた。

「人造肉飯の人気は安くて美味しくて腹いっぱい食べられるから。だからお客のほとんどは生活の苦しい人だったが、量も減り値段も上がったので売れなくなった」(商人)

市内の恵花洞(ヘファドン)に住んでいたある商人は、「この世とおさらばする」と言って、家を売り払い、家族とともに山に入り、テント暮らしをしているという。畑を耕し、木の実キノコ採りなどをすれば、なんとか暮らしていけるのだ。

情報筋は、最近になって、家を売り払い山に入る人が増えているとして、それほど生活が苦しいのに、政府は人民の暮らしには目も向けず、体制の宣伝にばかり熱心だと、政府の態度を批判した。

平壌市民の日常(2018年9月19日、平壌写真共同取材団)