8月に入り、ヒカル山口県阿武町の誤送金事件で田口翔氏を雇い入れたニュースと、きりたんぽが過去動画の流出をきっかけに活動休止に追い込まれたことが話題となった。一体なぜYouTuberたちの動向に注目が集まったのか、考察してみたい。

参考:【写真】保釈された田口翔氏を迎えにいくヒカル

 山口県阿武町が、新型コロナウイルス対策の臨時特別給付金4630万円をとある青年に誤って振り込んでしまった事件。突然高額を手にした田口翔氏が、阿武町へ返金せず、出金したことで逮捕されたことは、誰もが知るところだ。そんな田口氏に手を差し伸べたのが、カリスマYouTuberのヒカルだ。

 8月1日に勾留先の山口南署から釈放され、報道陣に向けて頭を下げた田口氏を車に乗せたヒカルは、用意したホテルでそのままインタビューを実施。同インタビューでヒカルは、田口氏の弁護士から救済の依頼を受け、「なにか力になりたいと思って」と、田口氏に340万円を貸したことを明かした。田口氏はというと、4630万円をオンラインカジノですべて使い込んだことを告白。メディアで注目されてきた騒動の真相の一部が明らかになっただけでなく、今回の出来事に納得がいっていない部分もあるという田口氏の胸中も語られることとなった。

 ヒカルは今回、田口氏の更生を手助けするため、自身が30%の株を保有する「究極のブロッコリーと鶏胸肉」での雇い入れも発表。この事業の運営会社であるDORAYAKIの塚本洸介代表は、裁判の関係で山口県から出られない田口氏のために、リモートでできる仕事を用意したという。ヒカルが田口氏に手を差し伸べたのは、単に田口氏を救うという目的だけではない。ヒカルは全国区でその名が知れ渡った「田口君を使ってこっちも稼ごう」と断言しており、田口氏とWin-Winの関係になる未来を望んでいるのだ。

 現在でもテレビや週刊誌が中心となって行っている釈放後のインタビューを、YouTuberが独占的に行うというのはこれまでなかったこと。動画クリエイターの中でも第一線を走り、絶大な影響力を誇るヒカルだからこそできたことではあるが、社会においてYouTuberの存在が大きくなっていることがわかるニュースであったことは間違いない。

 そしてこの翌日には、人気女性YouTuberのきりたんぽが動画で活動休止を発表し、大きなニュースとなった。きりたんぽが活動を休止したのは、ガーシーこと東谷義和参議院議員が7月下旬、「YouTuber達へ オレにあまりかまうな」というテキストとともに、東海オンエア・てつやがきりたんぽにキスする動画をInstagramに投稿したことがきっかけだ。

 きりたんぽによると、問題の動画が撮影されたのは4年以上も前のこと。東谷氏とは2年ほど前に食事会で一度会ったことがあるだけだといい、東谷氏については「優しい方」と話す。きりたんぽは同動画で東谷氏へ「何か私が失礼なことをして怒らせてしまっているのであれば、お詫びいたします。本当に申し訳ありません」と頭を下げるとともに、東海オンエアのメンバーや関係者、ファンに向けて謝罪した。

 このキス動画が世に出たことで、きりたんぽのもとには殺害予告や誹謗中傷のDMが寄せられているといい、中には「『尻軽クソ女』『クソクソビッチ』『クソビッチ』ていうコメントもあったとのこと。きりたんぽはこれらのDMに「私は尻軽女ではありません」と反論しているが、今回の動画流出がきりたんぽのストレスの原因となったことは想像に容易い。結果、きりたんぽは突発性難聴を発症し、活動休止を余儀なくされた。

 東谷氏は後日、Instagramで行った配信でキス動画を流出させた理由に言及。「あるYouTuberが、俺に対して喧嘩売ってくみたいなのをちょっと聞いたから。(中略)警告として出しました」と激白している。チャンネル開設時から注目を集めていた東谷が国会議員となったことで、これまでとは比べほどにならないほど大きなニュースとなってしまったきりたんぽの過去と活動休止。このニュースが大々的に報じられたことは、YouTuberの存在感が増していることを示していると考えられる。

 田口氏に助け舟を出したヒカルと、きりたんぽを活動休止に追い込んだ東谷氏にはさまざまな意見が寄せられているが、YouTuberが大きな注目を集め、社会的存在感が日々増していることは紛れもない事実だ。これまでは逮捕や騒音問題などネガティブなニュースで世間を賑わせてきたYouTuberたちだったが、今後はヒカルのように意義のある活動で存在感を示すYouTuberが続出するかもしれない。

出典:
https://www.youtube.com/watch?v=BqQZ7pPbJX0
https://www.youtube.com/watch?v=sX9C_eZdsPs

(せきぐちゆみ)

動画サムネイルより