見た目の可愛らしさと、思わずクスっと笑ってしまうシュールさの絶妙なバランス。そんな不思議な“癒し”の魅力にあふれたキャラクターを生み出すサンエックスの創業90周年を記念した初の大展覧会『サンエックス90周年 うちのコたちの大展覧会』が8月11日(木)から松屋銀座にて開幕。世代を超えて愛されている「たれぱんだ」「リラックマ」「すみっコぐらし」を中心に、初公開となるキャラクター原画や貴重な資料、映像、立体物などで“うちのコ”たちの誕生の秘密を多角的に展示している。
歴代の人気キャラクターが出迎えるウェルカムゲートを抜け、まずたどり着くのが「たれぱんだ」の展示コーナー。自社デザイナーによる100%オリジナルキャラクター商品の製造・販売・ライセンスビジネスを手掛ける同社にとって、1990年代はオリジナルキャラクター作りの試行錯誤が重ねられた時期。そんなときに、光を放ったのが「たれぱんだ」だった。
展示コーナーには絵本の原画をはじめ、積み上がるたれぱんだを表現した映像、さらに2メートルという巨大サイズのたれぱんだが、天を見上げ、ごろんと寝転ぶ姿も。「気がつくとそばにいる」。癒しブームの火付け役ともなった人気者の親しみやすさを会場でも体験したい。
「たれぱんだ」のブレイクをきっかけに、「アフロ犬」「みかんぼうや」「モノクロブー」など数多くのキャラクターがヒットを飛ばした2000年代に誕生したのが、OLのカオルさんの家にいきなり住み着いた着ぐるみのクマ「リラックマ」。居候の身でありながら、特に何をするわけでもなく、毎日だらだらゴロゴロしているその姿が共感を集め、仲間(?)のコリラックマ、キイロイトリ、チャイロイコグマも根強い人気を誇っている。
会場でも変わらず、だらだらする様子の立体作品が展示されており、思わずほっこり。また、人気商品「あつめてぬいぐるみ」から、さまざまなテーマデザインやコラボデザインで発売された約200体が勢揃いし、来場者を圧倒する。貴重なぬいぐるみの図面、Netflixシリーズ『リラックマと遊園地』の撮影で使用されたセットや小物も必見だ。
そして、近年の代表作が映画化もされ、社会現象を巻き起こしている「すみっコぐらし」。2012年に「ここがおちつくんです」をキーワードに誕生し、かわいいだけでなく、ちょっとネガティブでシュールなキャラクターやストーリーも魅力となり、旋風は今も続いている。
今回は作者・よこみぞゆりによる原画に加えて、「喫茶すみっコテーマ」や、最新の「おばけのナイトパークテーマ」などのサンエックスデザイナーのラフスケッチを初公開。劇場公開後、ロングランヒットを記録した『映画すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』の絵コンテや設定画資料も展示。すみっコたちが仲良く展示を見てるような、かわいい立体作品も見逃せない。
サンエックスのニュースターたちにも注目!
展覧会を締めくくるのは、2010年以降に生み出されたサンエックスの新しい仲間たち。アニメ放映で人気急上昇中の「チキップダンサーズ」からは番組制作資料や、クレイモデルなどが展示されている。また、サンエックスがYoutuberエミリンとコラボした仕掛け絵本に登場する「くまうさ」は、同社の次世代を担うニュースターの予感。熊みたいに体の大きなウサギで、いつもモヤモヤを抱えているという設定も、世知辛い日々を送る現代人の共感を呼びそうだ。
今回の展覧会には「みんなの生まれたところの話」という副題がついており、「たれぱんだ」「リラックマ」「すみっコぐらし」の誕生秘話が、初期カンプや試作ぬいぐるみを通して公開されているのが大きな特徴。知られざる作り手たちの思いに触れながら、誕生日に買ってもらったぬいぐるみ、友達とのシール交換、ファンシーショップで選んだお気に入りの文房具といった“うちのコ”たちとの思い出が鮮明によみがえるはず。この夏、新旧キャラクターの思い出を語り合えば、親子の絆も深まるかも?
オープニングセレモニーには、タレントの安めぐみが来場し、いち早く展示を堪能。7歳になる長女ともどもサンエックスのキャラクターの大ファンだといい、「疲れたときに、すごく癒されています。私は『リラックマ』が好きで、娘は『すみっコぐらし』。パジャマや食器などたくさんありますし、リビングはグッズであふれている」と日常を明かし、「力の抜けた感じが良いですね。心が洗われて、明日もまた頑張ろうと思える」と魅力を語っていた。
取材・文・撮影:内田涼
【開催概要】
『サンエックス90周年 うちのコたちの大展覧会 たれぱんだ・リラックマ・すみっコぐらし~みんなの生まれたところの話~』
2022年8月11日(祝・木)~8月30日(火)、松屋銀座 8階イベントスクエアで開催
※全日程日時指定制。時間指定枠に空き枠のある時間帯は、会場入り口にて当日券を発売
https://san-x90th-ten.exhibit.jp/
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