環境悪化で絶滅の危機に瀕した動物たちの保護活動が進む中、生態系の回復を目指す取り組みに希望をもたらす朗報が舞い込んだ。
かつてガラパゴス諸島のサンチャゴ島に多数生息していたものの、乱獲や外来種の持ち込みで絶滅したガラパゴスリクイグアナたち。
その同一種の再導入が成功し、島内で自然繁殖が確認できたのだ。
自然科学者ダーウィンによる初記録からおよそ190年。長い時を経て昔のように仲間とのびのび暮らし始めている。
【画像】 サンチャゴ島で絶滅したガラパゴスリクイグアナが再び繁殖
IGGY SPOT: Iguanas Extinct For Centuries Make Comeback
先日ガラパゴス国立公園の広報が、サンチャゴ島で絶滅したイグアナのうれしいニュースを発表した。
およそ200年経った今、リクイグアナがサンチャゴ島で生まれ変わりました。
ガラパゴス国立公園の専門家と科学顧問がモニタリングを通じて、ほぼ2世紀ぶりにリクイグアナ属ガラパゴスリクイグアナ種のリクイグアナがサンチャゴ島に再び現れたことを確認しました。
この標本のうち3,143匹は、島の生態系を回復するため3年前に再導入されたものです。
チームは島の約36平方kmを調査し、さまざまな年齢の新しい個体を発見しました。この種がうまく繁殖している証です。
このほど繁殖が確認されたのは、ガラパゴス諸島を成す島の1つ、サンチャゴ島に再導入されたガラパゴスリクイグアナ(Conolophus subcristatus)だ。
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有鱗目イグアナ科リクイグアナ属のガラパゴスリクイグアナは、国際自然保護連合 (IUCN)のレッドリストが定める危急種(絶滅の危険性が高い種)で、サンチャゴ島では1800年代末には絶滅とみなされていた。
ガラパゴスリクイグアナは大人と赤ちゃんでは、外観が全く違う。
赤ちゃんは斑点のような模様があるのに対し、大人になると手足や頭が黄身を帯びてきて、模様が薄くなる。また、オスの方が大きくメスに比べて色が薄い。
ダーウィンの記録以降ガラパゴスリクイグアナは絶滅
かつてのサンチャゴ島は、おおぜいのガラパゴスリクイグアナが暮らす島だった。
本種が初めて記録されたもこの島で、1835年にダーウィンがサンチャゴ島にはさまざまな年齢の個体が多数生息すると書き残していた。
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ところがそれから約70年後、1903年から1906年にかけカリフォルニア科学アカデミーがサンティアゴ島で実施した調査では、この種の生きた標本は見つからなかった。
その原因は人為的なものだ。悲しいことにこの島にたくさんいたイグアナやカメたちは彼らを食料とする船乗りに乱獲されていた。
それだけではない。食用になる動物を狩り切った船乗りたちは外来種を島に運び込んだ。ネズミはもちろんブタやヤギまで食料として持ち込んだのだ。
ブタやヤギはのちに野生化し、残る個体の生息地を荒らすなどして絶滅に追い込んだ。以来サンチャゴ島はガラパゴスリクイグアナが絶えた島になっていたのだ。
リクイグアナを迎えたい!ガラパゴス国立公園の地道な取り組み
とはいえ今回の成果は一朝一夕で得られたものではない。3年前の導入にこぎつけるまでの取り組みについてガラパゴス国立公園はこう振り返っている。
群島最大の島の1つであるサンチャゴ島の生態系の回復に着手したのは2002年。始まりは野生化したヤギと豚を完全に駆除する「イザベラ プロジェクト」の実施でした。
それから数年で生態系が回復し始め、この島で絶滅したリクイグアナと同種の個体群を迎えるために必要な条件がそろってきました。
なおサンチャゴ島に運ばれた個体は同じガラパゴス諸島の島の一つであるノース・セイモア島に生息していたガラパゴスリクイグアナだそうだ。
2019年1月にサンチャゴ島に放たれたガラパゴスリクイグアナ
[BOLETIN] Iguanas terrestres ayudaran a la restauracion ecologica de la isla Santiago.
— Parque Galapagos (@parquegalapagos) January 7, 2019
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有意義な保全で島を回復。すでに前向きな変化も
今回の調査で、導入された個体は3年ぶりの身体検査を受け、島生まれの新たな個体には識別用の印がつけられた。
島になじみ始めたイグアナにガラパゴス国立公園の園長のコルドバ氏は喜びを隠せない様子だ。
187年経たサンチャゴ島でリクイグアナの健康な個体群を再び目にするようになりました。成体から生まれたての幼体まで、あらゆる年齢の個体がいます。
これは有意義な保全の成果であり、外来種の深刻な影響を受けた島々を回復したい、という私たちの願いもより強くなりました。
また導入後の変化について調査団の責任者カテドラル氏はこう述べている。
イグアナの分布のおかげで、すでに島には前向きな変化がみられます。イグアナが道の開拓や土の除去、種の散布や個体群動態の変化などの成果をもたらしました。
あと数年でタカなどの固有種もみられるようになるでしょう
徐々にかつての生態系に近づきつつあるサンチャゴ島。たくさんのリクイグアナがのんびり暮す楽園に戻るころにはいろいろな固有種がみられる島になりそうだね。
written by D/ edited by parumo
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