平成バブルのとき、とんでもない高値の不動産を購入する人が続出しましたが、結果はご存じのとおりです。難しいのは、渦中にあるとき「これはバブルだ」と判断しにくいという点です。さて、昨年末から今年の初めにかけて株価が下落しましたが、果たしてこちらもバブルだったのでしょうか? 経済評論家の塚崎公義氏が「バブルかどうかを判別する」オリジナルの「4つの指標」を紹介・解説します。

「バブルか否か」はその瞬間にはわからない

株価や地価の異常な高騰が起こり、それをあとから振り返ったとき「なぜ、あんな高値で買った人がいたのだろう?」と疑問に思うことが、ときどき起こります。平成バブルは、まさにそうしたバブルだったわけです。

じつは、バブルには2種類あります。ひとつは「だれが見てもバブルだ」という場合です。「株価は高すぎるけれど、今日買って明日売れば儲かる確率が高い」と人々が考えているならば、株価が上昇を続けることは十分にあり得るわけです。

強欲なバクチ打ちたちが踊っているわけですが、踊っている人が愚かだとは限りません。株価がゼロになる確率が4割、2倍になる確率が6割だと思われるならば、投資することが合理的という考え方もあるからです。実際、かの有名な物理学者のニュートンも、バブルに踊っていました。結果は御想像にお任せしますが(笑)

もっとも、こうしたバブルは歴史の本に載っているだけで、最近では稀です。政府日銀がバブルを潰すからです。例外としては、ビットコインがこの型のバブルかもしれませんが。

最近のバブルは、「人々がバブルだという確信を持てない間に膨らむバブル」です。平成バブルのときには、「株価や地価は高すぎるからバブルかもしれない」と思っていた人がいた一方で、「日本経済は米国に勝ったのだ。世界一の国の土地や株が高いのは当然だ」と考えていた人も大勢いました。

そうしたときには、政府日銀がバブルを潰すことが困難です。人々が株高で儲かってハッピーなときに「バブルか否かは不明ですが、バブルだといけないのでバブル潰しをします」などと宣言しても、大ブーイングが起きるだけだからです。

さらに重要なのは、政府日銀の中にもバブルだと思っていなかった人が少なからず存在した、ということです。日本経済を動かしているような人のなかにも、バブル期に住宅ローンを借りて自宅を買った人が大勢いたのです。「今買わないと、一生自宅が持てないから」ということだったようです。

バブルだと思っていれば自宅を買うことは考えられません。バブルが崩壊して地価が暴落してからゆっくり買えばよいのだからです。つまり、バブルのときに自宅を買った人は、バブルだと思っていなかった、というわけですね。

そうしたことからわかるように、最近のバブル「そのときにはバブルか否か判別できず、崩壊してはじめてバブルだったと皆が知る」というものなのです。

したがって、バブルか否かを判断しようとするのは無駄だ…ということもいえそうですが、それでも少しでも手がかりを得たいと考え、筆者は「バブル判定の4条件」を使っていますので、以下にご紹介します。

昨年末の株価下落「バブルだったか否か」を検証しよう

さて、昨年末をピークとして、株価が下落しましたが、あれはバブルだったのでしょうか? 結論からいえば「一部にバブルの匂いを感じたが、全体としての大きなバブルではなかった」ということだったようです。

【第一の条件】「今回は従来と事情が違う」という人が出てくる

平成バブルのときには「日本経済は米国に勝って世界一になったのだから」ということで高値が正当化されていました。しかし、昨年末の時点では、「金融緩和が続きそうだ」という以外に特段の株高要因は無かったわけで、第1の条件は満たされていませんでした。

【第2の条件】株価や地価が高騰しても、金融の緩和が続いている

通常、株価や地価が高騰するのは景気がいいときで、インフレが懸念されるので、金融が引き締められ、株価や地価に悪影響をもたらします。

しかし、平成バブルのときには、プラザ合意後の急激かつ大幅な円高によって物価が安定しており、金融の引き締めが行われませんでした。それ故にあれほど大きくなるまでバブルが成長できたのです。

昨年末の時点では、景気が過熱していたわけではなく、むしろ新型コロナ不況によって金融が緩和されていたわけで、第2の条件は今回の場合には、判定の材料に用いないほうがよさそうです。

【第3の条件】投資に無関心だった初心者が、大量に参入してくる

「あなたの配偶者が、隣人が儲けた話を聞いて投資を始める決意をしたならば、あなたは持っている株を全部売りましょう」と筆者はいっています。

この条件については、米国でロビンフットなる新種の証券会社が大勢の初心者を集めて活況を呈していたようなので、そうした投資家が集中的に投資していた一部の銘柄はバブルだったようです。当時からバブルの匂いは感じていましたが、彼らの投資が一部の銘柄に集中していたため、局所的なバブルだった、ということなのでしょうね。

【第4の条件】国内では盛り上がっているが、諸外国は醒めた眼で見ている

平成バブルのときも、諸外国では醒めた眼で見ていた人が多かったようです。

今回は、世界的な株高だったので、諸外国を見るわけには行きませんが、「投資をしている人だけが盛り上がっていて、それ以外の人は醒めて見ていた」ということはいえるかもしれません。そうだとすると、それもバブルの匂いだった、ということかもしれませんね。

バブルの気配があっても、小遣い稼ぎ程度なら面白い

欧米の金融緩和が一段落すれば、株価は再び上昇するかもしれません。その際はどう考えればよいのでしょうか。「バブルの匂いがするから、投資は危険だ」と考えて手控えるというのはひとつの選択肢です。

しかし「短期売買は手控えるとしても、長期で行っている老後資金のための積立投資は、相場観に左右されずに続けるべきだ」ということはいえそうです。バブルだと決まっているわけではないので、あとから振り返ったときに「実はバブルではなく、そのまま上がり続けたので、老後のための投資ができなかった」ことになる可能性もありますから。

実は、短期投資でも「小遣い稼ぎ目的」なら面白いかもしれません。投資家の多くは臆病(慎重?)なので、バブルかもしれないと思っただけで、「確率的には儲かりそうだけれど、やめておこう」と考えるわけです。そうだとすれば、世の中には「確率的には儲かりそうな投資案件」が多数存在していることになります。

つまり、他の投資家よりも少しだけ大胆な(臆病さが少ない?)投資家にとっては、バブルの匂いがするときは通常時以上に儲けるチャンスなのかもしれないわけです。

もっとも、そうした投資に大事な老後資金を投じるべきでないのは当然です。あくまでも、余裕資金で遊びましょう。仮に儲かる確率が高いとしても、老後資金を賭けるのは危険すぎるからです。

本稿は以上ですが、投資は自己責任でお願いします。なお、本稿は筆者の個人的見解であり、わかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があり得ます。

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塚崎 公義 経評論家

(※写真はイメージです/PIXTA)