家賃は月収の1/3以内に。よく知られた家計の鉄則ですが、同じ日本とはいえ、地域によって家賃水準はバラバラ。最新の平均家賃ランキングをチェックしてみましょう。
全国平均家賃5万5,348円…10年間、大きな変動はなし
「家賃の妥当額はいくらか」という、よく目にする問い。それに対して、手取り月収の1/3という回答が目立ちます。なかには年収の1/3という回答も目にしますが、賞与を含めて考えると、生活苦は目に見えていますから、月収で換算するほうが賢明でしょう。
厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』によると、日本人の平均月収(きまって支給する現金給与額)は33万4,800円、手取りにすると25万〜27万円ほど。8万~9万円ほどの家賃が適性の上限というイメージです。
さらに別の調査もみていきましょう。国土交通省『令和3年度住宅市場動向調査』によると、集合住宅の家賃の平均は7万4,616円、共益費は5,332円。合計で8万円程度と、やはり手取りの1/3以内というのは妥当な額だといえそうです。
全国賃貸管理ビジネス協会『全国家賃動向』(2022年7月調査)によると、全国の平均家賃は5万5,348円。前年同月が5万5,068円、一昨年同月が5万5,137円、10年前の2012年同月で5万4,802円。昨今、家賃は全国的に大きな変動はないようです。
最新の家賃事情を都道府県別にみていきましょう。
最も平均家賃が高いのは「東京都」で7万3,160円。続いて「神奈川県」「大阪府」「埼玉県」「千葉県」と続きます。一方で最も平均家賃が安いのは「鳥取県」で4万3,801円。「富山県」「山形県」「大分県」「愛媛県」と続きます(関連記事:『【2022年7月】都道府県別「平均家賃」ランキング』)。
【都道府県「平均家賃」上位5位、下位5位】
1位「東京都」73,160円
2位「神奈川県」68,747円
3位「大阪府」61,855円
4位「埼玉県」60,931円
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44位「大分県」45,495円
45位「山形県」44,923円
46位「富山県」44,573円
47位「鳥取県」の平均家賃は、1位「東京都」の平均家賃の6割程度。全国平均と比較しても8割程度です。
家賃ランキングと給与ランキングを比べてみると
平均家賃を、さらに細かくみていきましょう。
まず1部屋の全国平均は5万0,649円、「東京都」は6万8,702円、「鳥取県」は3万7,851円。「鳥取県」の家賃は、「東京都」の55%程度です。
次に2部屋の全国平均は5万7,822円、「東京都」は8万4,970円、「鳥取県」は4万5,728円。「鳥取県」の家賃は、「東京都」の53%程度です。
そして3部屋の全国平均は6万5,928円、「東京都」は9万0,217円、「鳥取県」は5万8,801円。「鳥取県」の家賃は、「東京都」の65%程度です。
どの部屋タイプでも、「東京都」の家賃水準の高さはぶっちぎり。「鳥取県」も1部屋と2部屋については47位。3部屋では「佐賀県」が47位で5万2,333円。「東京都」の58%程度でした。
一方、都道府県別に平均年収をみていくと、トップは「東京都」で595万2,300円。「鳥取県」は35位で401万4,700円、「東京都」の67%です。47位は「青森県」で366万7,900円、「東京都」の61%です(関連記事:『都道府県「平均年収」ランキング…1~47位【2022年最新版】』)。
「東京都」と「鳥取県」で200万円弱の年収差があるのですから、平均額換算で年間35万円程度の家賃格差があっても納得でしょうか。
ただ一概に家賃が安い地方がいいとはいえないでしょう。「物価は東京と変わらない」「車がないと生活できず支出は多い」などといった声が聞こえてきます。もちろんさらに“田舎”となると事情は異なるのでしょうが、都市であれば東京も地方も、家賃に対する負担感は変わらないかもしれません。
「家賃が安いから」と地方を羨むのは、少々短絡的なのかもしれません。
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