インド西部グジャラート州のボタッド地区で、 2日間で 30 人も偽酒を飲んで死亡した。現地メディアである『The Indian Express』が報道した。
■危険な偽酒とその成分とは?
人々を死に至らしめた偽酒は「ラッタ」とも呼ばれ、アーメダバード、ボタッド、スレンドラナガルの各村で、1ボトル20ルピー(約30円)で販売されている。100人以上の労働者が購入したことが判明した。
グジャラート州政府の発表によると、死因は「化学中毒」。被害者が摂取した成分を分析した結果、98.71パーセントから98.99パーセントのメチルアルコールが含まれていた。
主犯格のジャジェイシ・カヴァディアは化学品包装会社に勤務しており、そこからメタノールを違法に入手したと言われている。警察は、489リットルのメタノール化学物質を押収し、これまでに逮捕された6人を含め、その他にも14人もの名前が事件関係者として挙がっている。
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■被害者家族の苦しみ
死亡したヴァスラームバイさんは7月24日の夜に酒を飲んでおり、家族は彼が定期的に「ラッタ」を飲んでいたことを認めている。
また妹のカヌベン・パルマールさんは、「兄は都市部で側溝や下水道の清掃をしていました。酔わずに下水の掃除ができるでしょうか?」「ラッタへの依存が、妻と3人の子供を残して、兄の人生を奪ってしまいました」と述べた。
死者30人のうち6人はアーメダバード地区、22人はボタッド地区の出身で、少なくとも51人が病院に入院しており、死者数はさらに増える見込みだという。大雨が村を襲ったにもかかわらず、7月26日の朝に死亡者11人の集団火葬が行われた。
■政府の対応と野党の批判
今回の問題により、全国で野党からの批判が高まっている。今年3月、バルワラ警察署で副署長に違法な酒類販売の横行に対する処分を求めたのは、野党インド国民議会(Indian National Congress )のパテル議員だった。
パテル議員は「警察に苦情を言い、密造酒を製造している者を名指ししても、数ヶ月間何の対策も講じられませんでした」「それどころか、1人も密造者を逮捕できなかった」「警察が積極的に動いていれば、この悲劇は避けられたはずだ」と述べた。
一方、カランラジ・ヴァヘラ警視総監はパテル議員の主張を否定するように、「苦情申し立ての後に副警視総監クラスの警官に調査を依頼した」と述べている。
また、偽酒を飲んだ場合、緊急の医療援助を必要とする可能性が高いため、警察や保健当局に報告するようにボタッドの村人に訴えた。
■偽酒や密造酒は政治絡みの可能性?
インドでは飲酒を完全禁止している州もあるが、グジャラート州は特に厳しい禁酒州である。旅行者でさえ証明を見せ、特定のホテルの部屋でのみ飲酒を許されるほどだ。
そのため、違法でも飲みたい地元住民のために販売されるのは、通常価格の数倍で販売される政府公認の酒の他、安値の密造酒である。
労働者が多い貧困層は、仕事のストレスで飲酒に頼りがちになる。そこで安値で購入できる危険な密造酒を飲酒し、グジャラート州のみならず各州で多くの労働者が依存症になり、命を落としている。働き手がいなくなった家族にとって、飲酒は大きな問題なのである。
それらの裏には、政府や警察が密造者と賄賂で繋がっていることが密かに囁かれている。今回の問題も、グジャラート州を治めるインド人民党(BJP)の議員が賄賂を受け取り、密造酒の隠蔽に絡んでいると、多くの現地メディアが報道している。
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